夢オチ
「_三重詠唱_身体強化_武器強化_火属性付与_」
俺は目の前の粘性体をサバイバルナイフで切りつける。
切り傷から炎が上がり粘性体を包み込む。
「ふぅ、この程度か。」
およそ三十体の粘性体を倒した。今日はこの辺で終わりにするか。
しかし、突如として爆音が鳴り響く。
それに反応して俺は再び警戒態勢に入る。
「なにっ。」
空から無数の岩礫が降り注ぐ。
「_二重詠唱_反応速度上昇_超身体強化_」
全てかわし切り、あたりを確認する...間もなく巨大な金棒で吹き飛ばされる。
「くっ。」
あの巨大で筋肉質な体、浮き出ている血管、そして頭の角_大鬼か。
何体か倒したことある。
油断できるような敵ではないが、距離を詰めさせなければ比較的安全に倒せるはずだ。
「_空中歩行_」
即座に空を飛んで距離をとる。
「_四重詠唱_魔法強化_貫通付与_生物特攻_火球_」
渾身の魔力を込めて魔術を発動させる。
大鬼は動かない。
どうやら俺のことを見失っているようだ。
よし、当たる。
火球が大鬼に着弾する。
炎は周囲一帯に広がった。
しかし、大鬼には全く効いていないようだった。
俺の方をじっと睨みつけると、何ごとか囁いた。
しゃがみこみ、飛ぶ。
俺が浮遊している高さまで飛び、金棒を振り下ろす。
「_衝撃吸収_」
衝撃は確かに吸収したはず、しかし途轍もない勢いで吹き飛ぶ。
俺の魔法が効かないうえにあの高さまで飛べるとは...強い。
ただの大鬼ではないな。
撤退するか?
いや、久々の大物だ。
やってやろうじゃねぇか!
ヂリリリリリリリ。
何の音だ?
俺は音の方へ手を延ばす。
カチ。
音を止める。
「ん?朝かぁ。夢だったのか、アレ。」