魔術師の法
「...えーっと、私は魔術の世界に入門することをここに宣言します。」
宣言とともに魔法陣が輝いた。
光は俺の体の中にはいりこみ、腕を伝って心臓へ戻る。
ドクンッ。
心臓の鼓動と共にそ光は全身へ伝わっていく。
ドクンッ。
全身が暖かな光で包まれる。
しかし、徐々に輝きを失っていった。
「どうだい。気分は。」
「なんだろう。不思議な感じだ。周りの様子がはっきりわかる。それに...体が熱い。」
「ようこそ、魔術の世界へ。これで理論的には君は魔術を使えるはずさ。」
でもその前に、とキムラは付け加えた。
「この世界の法を知らなくちゃね。」
「未成年が魔術を使っちゃいけないとかか?」
「ああ、ハリー〇ッターのね。そうそう。でも魔術関連の法律はおいおい説明していくとしよう。君が知らなきゃいけないのは『神秘の秘匿』『一般人への非加害』『根源の追求』の三原則。『神秘の秘匿』というのは魔術師ではない人々つまり一般人に魔術の存在を知られちゃならないってこと。『一般人への非加害』は一般人を魔術師で攻撃したらダメだよってこと。」
「魔術を使わなかったらどうなんだ?」
「それは、大丈夫。魔術での殺人は一般人の法で裁けないってのが問題だからね。最後の『根源の追求』だけど、魔術の仕組みを解き明かすのが魔術師の本懐だと言っているんだね。」
神秘の秘匿、一般人への非加害、根源の追求、か。
何か難しいなぁ。
「まあ、魔術師同士のつながりはあまり強くないから法を守らないやつとかもいるんだよね。だからどの国でもそういう輩に手を焼いてるんだよね。あまりにひどいと懸賞金をかけられたりするから。」
はぁ?怖すぎるやん魔術師。
いや、犯罪者に懸賞金?かけるのは普通に行われていることか。
「三原則さえ守っとけばだいたい大丈夫だからあまり身構えなくてもいいよ?」
それなら、安心。かなぁ?
そういえば、初めに参加を拒否したとき俺のこと殺しにきてたよな。
あれって一般人への非加害に当たらないのか?
「あのさキムラさん。最初俺のこと殺そうとしたのって法違反なんじゃないのか?」
「あーあれね_記憶消去_何か言ったかい?」
あれ?何言おうとしたんだっけ?
「いや、何でもない。」
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