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第九節 抜刀セツナ

その男の風貌はこうだ。白の特攻服。背中には喧嘩上等と書いてあり、腰には赤い帯を巻いている。髪型はトサカの様に立てており、頭には白い鉢巻を付けていた。


「シュン……」


 男の右手にあった光り輝くモノはサッと消え失せた。河原には無残にも真っ二つになった、ゾムビーの死体が転がっている。


「バースト!」


「ボボン‼」


 死体は木端微塵に爆発した。爆破は死体があった方向に手をかざしている。


「……今の、お前さんがやったのか?」


 男は爆破に話し掛ける。


「ああ、そうだ。目標物を爆発させる超能力だ。バーストと呼んでいる」


爆破はそう返す。


「コイツぁ驚いた。俺以外にも超能力を使える者がいるなんてなぁ」


(やはり、手に現れたあの刀の様なモノ、超能力によるものだったか……)


 男の言葉に、そう思いを巡らせる爆破。続けて言う。


「私は爆破スマシ。政府公認部隊・狩人の隊長を務めさせてもらっている。貴方は?」


「ん? 俺か? 俺の名は抜刀セツナ! セブ〇イレブ〇でバイトをやっている、フリーターだ‼」




――狩人ラボ、会議室。主人公、逃隠、身体が来ている。3人の前に、爆破と抜刀が並んで立っていた。


「紹介しよう。我が隊、狩人の新しいメンバーだ」


 爆破は抜刀を紹介する。


「俺は抜刀セツナ! セブ〇イレブ〇でバイトをやっている、フリーターだ‼」


 抜刀はそう言い放った。


(! コンビニバイトの……店員? すごい服装だけど……制服着たらどんな感じなんだろう?)


 少し想像する主人公。


「隊長、何故この様な者を我が隊へ?」


 身体は質問をする。


「そうだな、説明しよう。私がこの前、趣味のソロツーリングをしていた時の事だ。河川敷の近くを走っていたところ、ゾムビーに出くわしてな。私が倒そうと身構えたが、その前にこのセツナが刀を出す超能力でゾムビーを倒してしまったのだ。戦闘能力に充分な素質あり、と見込んでの事だ」


「そういう事でしたら、承知しました。」


 爆破の説明にすんなりと納得する身体。


「へっ! 刀なんて出す超能力が使えたところデ、身体副隊長にはこれっぽっちも敵いませんヨ!」


 抜刀を批判する逃隠。


「何だぁ、このチビは? こんなガキがいて、ゾムビーと戦っているっていう狩人は大丈夫なのか?」


「んだト! この野郎ゥ‼」


「ああん? やんのか?」


 睨み合う抜刀と逃隠。


「まぁまぁ、二人とも。抑えて抑えて」


 主人公が仲裁に入る。


「はン! こんな奴、戦地では野垂れ死ぬのがオチだゼ」


 逃隠はそう言ってそっぽを向く。


「ハッ。お前が戦いでゾムビー化したら、真っ先に叩き切ってやらあ」


 抜刀もまたそう言ってそっぽを向いた。


「ハハハ。威勢がいいのは結構だが、ウチの主力メンバーはこの5人になるんだぞ。仲良くやって行こうじゃないか」


 爆破は言う。しかし、そっぽを向いたままの二人。


「そうだ。ツトムとサケル。セツナにこの施設内を、少し案内してやってくれ。交流を深める、いい機会になるかも知れん」


「ハイ!」


「はーイ」


 爆破に返事する二人。主人公は元気よく、逃隠はやや不満気に返事した。


「では、解散! 二人とも、後は頼んだぞ」




――特訓の際、主人公らが寝泊まりしていた部屋。3人が居る。


「――でね、ここに泊まって特訓していたんだ」


 主人公が抜刀に説明している。


「ほう……なかなかの部屋じゃねぇか。家賃が安くて済むなら、ここで生活しても良いな」


 本気で引っ越しを考慮する抜刀。


「はは、じゃあ次は――」




 3人は第2訓練場に辿り着いた。


「ここで特訓をしていたんだ」


「ゴゴゴゴ……ガシャン」


 主人公が扉を開ける。


「ほ――、なかなか色んなモノがあんな」


 感心する抜刀。


「あのサンドバッグに衝撃を与えて、その威力を測ってるんだ。僕はリジェクトって言う超能力を強化する為にここで鍛えてたんだ」


「殴ったり蹴ったり、衝撃波を与えたりして、それを測るのか。……まぁ俺の場合は、獲物を切っちまう能力だから、ここは必要ねぇな」


「ははは、そうだね」


 会話を交わす主人公と抜刀。


「ケッ」


 逃隠は部屋の隅で手を組んでいる。




 廊下を歩く3人。


「僕達がよく行く所は次で最後になるかな。僕もよく、ここの施設のこと全ては知らなくて……」


 研究室の前で足を止める主人公。


「ウィ――ン」


 扉が開く。研究室の中ではいつも通り研究員達がいそいそと仕事を行っていた。


「へぇ……結構な設備だな……!」


 何かが抜刀の目に留まる。


「ダッ」


 走り出す抜刀。


「え? ちょっとぉ」


 困惑する主人公。抜刀は研究室の奥、例のガラス張りの部屋まで走って行った。


「あら、貴方は?」


 抜刀に気付く尾坦子。抜刀は尾坦子に向かって口を開く。


「なぁ……お前、俺と結婚しないか?」




「! ! ! ! ! ! ?」




 余りの急な発言に言葉を失う主人公。


「え? ……はぁ」


 キョトンとする尾坦子。


「だから、俺と結婚しねぇかって言ってるんだ」


 真剣な抜刀。


「えーと、……えぇそうですね」


 尾坦子は適当に返す。


「そうですねじゃねぇんだ。ホンキで言ってるんだぜ? こっちは」


 抜刀は続けて言う。


「はぁ……(誰なんだろう? このヒト)……あ! ツトムくーん!」


 主人公に気付く尾坦子。

 

「ハイ……コンニチハ……」


 トボトボと歩き、近付いて来る主人公。


「このヒト、誰なの? いきなりこんなコト言ってきて……」


 尾坦子が尋ねる。


「あ……はい。この人は抜刀セツナさんと言って、狩人の新しいメンバーなんです。超能力も使えるんですよ」


 主人公は答えた。


「……そう……なの(……それにしても、なんでいきなりプロポーズなんてしたのかしら)」


 尾坦子は疑問に思う。すると抜刀は口を開く。


「おい、今度来るときには答えを聞かせろよ。お前はいい女だ。俺には分かる。人の為に尽くせる女だと、一目で分かった。いい男はいい女を良く知ってるってな。じゃあ、そう言う事だから……」


 話を終える抜刀。


(いい男って自分で言うなよ。このぉ……確かに、僕よりはカッコイイかも知れないけど……)


いつになく冷静でいられない主人公。


「じゃ、じゃあこれで案内は終わるね。さよなら、尾坦子さん」


「あ、……ええ」


 尾坦子に挨拶し、その場から出ようとする主人公。3人は研究室から出る。


「ウィ――ン」




――ラボ廊下にて。


(尾坦子――か……)


 腕を組む抜刀。主人公は逃隠にひそひそ話をする。


「サケル君。セツナさんは、僕の永遠のライバルになるかも知れないよ」


「そうかツトム。俺はひとまずいけ好かねぇ奴だという認識しかねぇゼ」


 逃隠は返す。




 主人公ツトム、人生初の恋のライバル出現‼

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