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第十五節 続く戦い

「――で、連絡もせずに、二人だけでゾムビーに戦いを挑んだんだな?」


 ため息をつくように、呆れ返った爆破は言う。




「はい」


「うス」




 主人公、逃隠の二人は下を向き、答える。


「こんなボロボロになって……全く、サケルのお父さんが来なかったらどうするつもりだったんだ? こうして助かったからよかったものを」




「すいません」




 爆破の辛辣な言葉に対し、謝るしかない二人。ふう、とため息をついた爆破は続けて言う。


「まぁ、過ぎてしまったものは仕方ない。これから帰って始末書を提出するくらいで勘弁してやろう」




(ぎゃ――)




 絶句の二人。




「それから――、今回の戦いでの報告……あれは本当なんだな?」


 爆破のその言葉に、真剣な表情に変わる二人。


「ハイ。前回沼地で見つけた、あの宝石のようなものを体に取り込んだゾムビーは、明らかに他と違いパワーアップしていました」


 主人公は言う。


「……そうか。分かった。これから緊急に会議を開き、この事を理事会に報告する! 二人とも、ラボへ帰るぞ!」


 爆破は言う。


「ハイ‼」


 二人は答える。




――数時間後。狩人ラボ、会議室にて。


「……以上が、今回の戦いの結果で分かった、新たな脅威です」


 爆破が10名ほどの男達の前で話す。ざわつく室内。



「どうしたものか」


「ここに来てヤツらが強力になるとは」




「……簡単にまとめると、耐久面の強さ、攻撃力の強さ、回復力。この3つが、宝石を取り込んだゾムビーの特徴となります」


 話をまとめようとする爆破。


「宝石を取り込んだゾムビーを、石のゾムビーと名付けます。ゾムビー達の手にあの宝石が渡るのを防ぎ、石のゾムビー発生を食い止めていく事を、今後の課題としていきます」




――主人公らが以前寝泊まりしていた部屋。


「だァアア――――! くっソ! 始末書なんテ、どうやって書けばいいんダ――――‼」


 逃隠が嘆く。


「…………」


 無言の主人公。


「こーなったラ、テキトーに2枚くらい反省文書いテ、提出するゾ。ツトム!」


「あ……う、うん……」


 逃隠の言葉に、力無く答える主人公。




――爆破のオフィスルーム。大きな木製の机に爆破が腕を組んで座っている。その正面に、下を向き、うつむき加減で主人公、逃隠の二人が立たされている。



「パラ……」



 二人が提出した始末書を手に取り、目を通す爆破。だらだらと汗をかく二人。



「…………」



「…………」

「…………」



 爆破の、数分の沈黙が二人を襲う。暫くして爆破は口を開いた。




「……ダメだ、書き直し」




「NOOOOOOOOOOOO‼」




 二人、絶叫。




――数日後、平々凡々中学校教室にて。窓を開け、桟に寄りかかりながら考え事をする主人公。


(まさか、ゾムビーが宝石を取り込むことで強くなるなんて……今まででも大変だったのに、これからの戦いはもっと厳しくなるよな……)


 ふと、空を見上げる。逃隠の影が浮かぶ。


(サケル君、強くなったよな……あんな敵にも臆さずに立ち向って行って……)


 手のひらを見る。それを力強く握った。


(僕も負けてられない。もっともっと、強くならないと。共に、戦い抜く為に……!)




――逃隠邸、庭にて。逃隠が、軒下に立っている逃隠カイヒの前で土下座をしている。


「どうした? サケル」


 逃隠カイヒは問う。


「親父、俺ニ……刀の扱い方ヲ、教えてくれないだろうカ」


 頭を地面につけたままの逃隠。


「フッ」


 逃隠カイヒは笑みを溢す。




――狩人ラボ、トレーニングルーム。身体がダンベルを持ち、トレーニングしている。


(隊長が仰っていた事が本当なら、俺はそのゾムビーを倒せるだろうか……?)


「ガチャ……ガチャ……」


 ダンベルを動かす。


(ツトムのリジェクトが通用しない相手、その相手に、今のままのパワーで通用するか……?)


「ガチャ……ガチャ……」


 ふぅ、と息を吐く身体。


「トレーニングのメニューを強化せねば」


 真剣な眼差しの身体はそう呟く。




――夕方、とある路地。抜刀が歩いている。


「尾坦子……オタンコ……おたんこ……。くぅ――あの日の返事、いつ返してもらおうかー。明日か? いや明後日か? いやいや明々後日。その次…………。ん――、ガチであの狩人ラボとやらに住み込むか。そうすりゃ毎日会いたい放題……いやぁしかし、連れ出せねぇのが、辛いところだなー」


 独り言は続く。




「ブロォオオオオオオ」


 一台のバイクが、河川敷を走る。乗っているのは爆破スマシ。


(新たな超能力者が仲間に加わり、戦力も不足分を補い始めたと思った矢先、これか……)「一難去ってまた一難、か……」


 小言を呟く。


(……いや、弱気になっている暇は無いぞ)


 キッと目つきが鋭くなる。


(石のゾムビーへの対策を考えねば。刃物は意外と効くと聞いた。あとは宝石を体内から素早く奪い取る事が出来れば、勝機はある……。それと……狩人の人材募集、ビラ配りでも始めるか?)


「ブロォオオオオオオ」




 周囲との理解、協力の下、決意を新たにゾムビーとの戦いに力を注ぐ主人公ツトム。精神的な成長を遂げ、パワーアップした逃隠サケル。筋トレを止めない身体スグル。新たな戦力として期待される抜刀セツナ。新たな課題を抱え、過労気味の爆破スマシ。そんな中、敵であるゾムビー達もまた、手強くなって来た。激しさを増す戦いは、これからも続いていく。




 第二章 完

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