第6章〜退学処分者〜
更新が遅くなってしまい、申し訳ございません。
今回は、ジュリーネルティアが少しばかり気になっている(周りから見れば恋心)方の名前がこっそり出てきています。
わたくしは教材を抱えて、講義棟第四館二階に位置している言語2ー1講義室から廊下に出ました。
すると、それより先に行くのを阻むかのように、数十人の女生徒がわたくしの周りをぐるりと囲みます。…これは…もしかしなくても、お姉様についてでしょうか?
「へ〜え。この娘が、次期帝王と噂されているジュリーネルティアの妹なわけ?ふんっ。ちっとも似てないじゃない。」
この者は愚か者なのでしょうか?わたくし達の家であるティレーゼン家は、現帝王・ファンティーヌ様の姉君であられる、ヴァンアティレーネ様が興して当主を務めているのですよ?そうであるにも拘らず、お姉様のことを呼び捨てで呼ぶだなんて。
「あなた方は誰ですの?1人を大人数で囲むのはマナー違反ですことよ?」
しかもその女生徒たちは揃いも揃って、ヒュクンティリエンカラーのリボンで髪を結っていました。
学院の規則によって、他地方の色を纏うことは禁止と定められております。ですので、この方々はおそらく、ヒュクンティリエン出身の方々ですわね。
「そんなの知らないわよ。マナー違反?ふんっ。あんたなんかに言われても、説得性のかけらもないわね。」
リーダー格らしき女性とがそう言った瞬間に、何故かお姉さまが通りかかりました。
「あら?どうかしましたか?フィーティルン。」
「お姉様。」
わたくしは少しばかり驚きつつ、好都合だと思って、今までのことを余すことなくお伝えしました。
「なるほどね…。フィーティルン。貴女の権限を使えば、容易く処分できるのではなくて?」
確かにそうなのですが…。あまり使いたくないので。
「確かにそうなのですがね。やはり、出来る限り使いたくなくて。」
「そう…。でも、仕方ないわよね。貴女はお母様に似て厳格な性格をしていますが、心根は優しいもの。」
「わたくしが優しいのならば、お姉様は女神もかくやというほどお優しいではありませんか。…ですが、そんなお姉様のことを呼び捨てにした方々ですもの。処分するのは当然かもしれませんわね。」
お姉様がお気づきかどうかは分かりませんが、お姉様の性格に憧れていますもの。…それに、お姉様を呼び捨てにするのは、ティンラーン姉様と将来のお義兄様だけですもの。他の方々は_____わたくしも含めて_____その資格を持っていませんもの。
「ふふっ。私は優しくありませんのよ。フィーティルン。」
クスリと微笑みながらそう告げるお姉様のお顔は、いつにも増して美しく見えました……。確かたる強さを得たのだと実感してしまうほどに_____。
お読みくださりありがとうございます。今回のお話は如何でしたか?
フィーティルンはもともと、もっとおっとりとした性格だったはずなのですが…物語を始めるうちに、厳格な性格になってしまいました…。