第3章〜私の決意〜
更新が遅くなって申し訳ございません。今回は、主人公の祖母にあたる方が出てきます。名前は、ヴァンアティレーネです。
…私が、ティンディーヌ帝国の次期帝王…。3年後…つまり、私が成人を迎える年に正式発表されるのですよね…?覚悟は決まっているものの、未だ学ぶことが山積みになっている私が、ティンディーヌ帝国民の代表として立つのですわよね…。
帝国民の皆様にかかる負荷が少しでも減らせるよう、今から執務のお手伝いをして実践経験を積まなければなりませんかます…ティンディーヌ帝国では、成人する1年前である18歳までは執務をさせてはならない、という法がございますから、次期帝王である私が破ってしまっては意味がありません。
…斯くなる上は、ヴァンアティレーネ様にお伺い致しましょうか…。
あ、ヴァンアティレーネ様は私の母方のお祖母様ですわ。ヴァンアティレーネ・アルンベル・ティレーゼンという名前ですの。そしてお祖母様は、ファンティーヌ様の実の姉君ですの。
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ヴァンアティレーネ様の座す居室の前へと辿り着いた私は、深呼吸をいたしました。そして、ノックを致します。
コン、コン、コン。木製の扉を叩く、無機質な音が廊下に響きます。今の私の心情を表しているかのようです。
「…誰なのですか?名前を名乗ってからお入りなさいね。」
「ヴァンアティレーネ様。ジュリーネルティアと申します。相談したいことがあり、こちらへと参りました。」
「…ジュリーネルティアね。さ、お入りなさい。」
「ヴァンアティレーネ様、ありがとうございます。では、失礼致します。」
「ジュリーネルティアが相談に来るのは珍しいわね。なんの相談なのかしら?」
いよいよ言う時が来てしまいました。相談する、と決めた筈なのに、その決心が揺らぎそうになります。…ですが、怖気付くのはこれでおしまいです。
「私…私は、今年からでも少しずつ執務を覚えていきたいのです。…将来困らない為にも。」
ヴァンアティレーネ様は私の言葉を聞いた後、すっと目を細めました。
「ジュリーネルティア。我が国の法には、"未成年の者は執務をしてはならない。但し、18歳以上の者のみ許可を下す。"というものがあることを把握した上で言っているのかしら?貴女はまだ、16歳ですよ?」
「はい。ですが、3年後には次期帝王としてのお披露目がされると、ファンティーヌ様に伺いました。そして、その更に3年後には、戴冠式を執り行う…とも。」
私の言葉を聞いた後、ヴァンアティレーネ様は少し考え込み、
「ファンティーヌ様が決めたこと…なのですね。ならば、ファンティーヌ様と相談した後に、貴女からの相談に答えさせてもらうわね。」
「かしこまりました。貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございました。」
「えぇ。どういたしまして。ジュリーネルティア、また日の重なりし時にお会いしましょうね、」
ヴァンアティレーネ様はふわりと微笑み、別れの挨拶を致しました。
「はい。また日の重なりし時、お会い致します。」
そうして私は、ヴァンアティレーネ様の居室を後にしました。
ここまで読んでくださりありがとうございます。次回は、ヴァンアティレーネとファンティーヌの会話を書きたいと思っています。