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監視対象と同じクラスになった

紫の二つの名を変更しています。

「普通の中学校って何するんだ?俺、一回も学校に居ったことがないから、もしよければ教えてくれ」


これはマジ。WSNには学校はついていない。


「え?ハンターって、勉強しないの?」


「いや、学業試験に落ちたから、勉強をしに高校に入ってって言っただろ?勉強はしなくちゃいけない」


実際に学業試験はあるけど、ものすごく圧倒的な力でねじ伏せれば、免除される。俺も、パーティーメンバーも当然免除された。


「じゃあ学校に行ってなかったら、どこで勉強するの?」


「講習会がある。15歳までは、月に何個以上の学業講習を受けなきゃいけないっていうのが決まっている。クランに、入っている子供は一か月丸まる迷宮に潜るってことも珍しくないから、エヌタブとかエヌスマで、授業をつないで、うけるってこともある。俺は、エヌスマメインだった」


俺は、ダンジョン潜りが多いから基本的に、エヌスマで授業を受けていた。講習会には、2,3回出たことあったけど、あんまりおもしろくなかったから、地上にいても、エヌスマ授業を受けていた。


「エヌスマとエヌタブ?って何」


「エヌスマっていうのは、異石を使ったパーツで作られた、能力素で動くスマホのことだ。エヌタブは、それのタブレット版。迷宮内では、電気を使う製品は使えないからな。」


懐中電灯一つつかない。一回試したことあるけど、まじでつかない。俺の能力で作った電気を流し込んでも、つかなかった。


「エヌスマって、かっこいいなぁ。使ってみたい」


「すぐに使うことになるぞ。迷宮は、討伐作戦でよく入るから、買い替えることをお勧めする」


エヌスマなしで、迷宮に入るとか自殺行為。連絡手段が立たれるし、迷宮内でアップされている魔物情報にもアクセスできない。そんな状況で入るとか、今なら絶対に無理。


「エヌスマって、どこで買える?」


「学校の購買にも売ってるらしい。俺は、WSNで買ったから詳しく知らないが、異能者関連の店ならどこでも買える。安くて500円、高くて上限なし」


高いのは、まじで高い。本当に高い。高いエヌスマばっかそろえているところに行くと、億越えと珍しくない。俺が使っているのは、性能と値段の兼ね合いで、一千万程度だったはず。詳しくは、虎華に聞かないとわからない。


「安っ。スマホって何?」


「500円のやつは、Fランクの魔物スライムの異石を強制的に連結させたやつで、画質悪い・音質悪い・能力素流しすぎると、爆発する・使いすぎるとすぐ壊れる。の5拍子だから、使うやつは、駆け出しの小学生か、持ってくるの忘れた馬鹿が使い捨てるときだけだ。ちゃん使えるのが欲しいなら‥‥‥‥」


こいつの力量がわからなくてアドバイスができない。迷宮は、深さが深ければ深いほど、エヌスマでの通信状態が悪くなる。だから、こいつがいく階層に合わせて、どのくらいの値段のやつがいいか。ということを聞かなくてはならない。一千万くらいだったら、どの階層に対応できるが、値段がネックだ。剣術道場で、そんな額を用意するのは、無理だろう。


「いや、急に黙らないでよ」


「いや、お前の力量がわからなくてな」


それがわからないと、値段のアドバイスができないんだよ。元非異能者だから、自分がどれくらいの階層に潜れるかもわからないだろうしなぁ。


「なんで、エヌスマを…グフッ」


神澤海斗が、急に変な声を上げた。ん?背中に、黒い物体がくっついている。


「カイト、おいていくなんてひどい」


その黒い物体が、神澤海斗の背中から顔を出して、言った。こいつ女だったのか、かなりかわいい部類だな。濡羽色の黒髪と垂れた深い黒目、左目の下には涙黒子。黒髪黒目だから、こいつは特殊系異能者だな。高等部の制服を着ているが、身長は、そこら辺の小学生と同じくらい、ちょっと低い。飛び級してるのか、優秀だな。ただ、スタイルは抜群で、制服の上からでもはっきりと胸の大きさがわかる。最近の小学生は、発育がいいんだな。


「ごめんごめん、璃々。楽しみすぎて早く起きちゃって、璃々を起こしたらかわいそうかなって思っちゃって」


あわあわと、神澤海斗は言い訳した。璃々って子は、神澤海斗の近所の子なのか?


「せっかくカイトと二人っきりで、登校できるチャンスだったのに」


むぅと不満そうにしかし、眠たげな表情は一切変えずに璃々って子は言った。なんかすごい技術だな。


「ごめんって、今度一緒に行こう」


「二人っきりで?」


「うん」


「約束」


「わかった、わかった」


……リア充だ。まじのリア充だ。クランの中の、ヒャッハーなデートとか、高ランク異能者交流会のかぷっるとは違う、ラノベに出てきそうな、あまあまなやり取りだ。


「お前ら、恋人同士なのか。それなら、待ってやれよ」


普通、ラノベでは、近所に住んでいる恋人同士は一緒に行く。いくら、彼女が寝ていたからって、待ったやるのが、男ってものだ。そんなことをしていると、彼女に振られるぞ。


「い、いや違うって」


「別に俺は、飛び級しているから、実年齢小学生だからといって、ロリコンってからかったりしないぞ」


別に、異能力者同士なら、それくらいの年の差とか普通だ。むしろ、全員同い年くらい夫婦のほうが珍しい。


「カイトのいうとおり。私たちはまだ恋人同士じゃない。しかも、わたしは飛び級じゃない、高校生」


……え?どこから突っ込めばいいのだろう。


「えっと……。まず、一個目から突っ込むぞ、お前ら、恋人同士じゃないの?」


いや、あんなラノベっぽい雰囲気出しといて、恋人同士じゃないとか、ありえないだろ。


「違うよ。璃々は、お隣さんで幼馴染だよ」


「私たちは、()()恋人同士じゃない」


なるほど、璃々って子は神澤海斗のことが好きで、神澤海斗は築いていない。ラノベでありそうな、王道展開だな。ちょっと、後押ししてやるか。


「そうなのか?彼氏彼女にしか見えなかったぞ」


こういうことを言うと、意外と意識してしまうらしい。らしいだから、確実性はないが、


「だから、そんなじゃないって」


慌てながら顔を赤くし、言う神澤海斗と、


「そう。まだそういうのじゃない」


少しうつむきながら、璃々って子もそういった。ふむ、これは確実性があるのか。検証終了。


「まぁ、どういうことにしておいてやろう」


「えらそうだな、お前。同業者か?」


篠山璃々の制服には俺同様に、何の勲章もついていない。ハンターか、と聞きたいのだろう。


「あぁ、WSNのCランクパーティー虹色猫のDランクハンター斎藤蓮夜だ」


適当に考えたパーティー名、このパーティー本当にあったらごめんな。


「七色の虹と、白虎戦闘団からとったのか?」


「そうだ。おまえは?」


七色の虹は、俺を含め正確には難ありだが、実績は残している。白虎戦闘団は、俺の実家がやっているクランで、脳筋ぞろいだけど、実績はある。あこがれたハンターたちが、あやかってつけることが多いから、この名前にした。


「WSNのソロC-ハンター篠山璃々」


ソロで、C-かなりの強者だな。特殊系能力だから、どんな能力持っているがわからんが、ソロでC-ってことは、戦闘に使えるタイプだな。


「かなり優秀だなお前」


「当たり前」


何が、当たり前なのかさっぱりわからん。でもなんで、腰にこいつ武器を下げてないんだ?徒手空拳か?


「あっそう。お前、徒手空拳なのか?武器を下げてないみたいだが?」


別に、こいつが強かろうが、強くなかろうがどうでもいい。好奇心で聞いている。


「私の武器は、これ『ドラゴンバースト掃射砲』


篠山璃々の胸元にかけてあったきんちゃく袋から、ニュッと篠山璃々と同じくらいのサイズの筒。いや、砲身が出てきた。


「なるほど、異力石強制加工銃か」


初めて見た。金がかかりすぎる・掃射率が悪い・使う能力素量が多いの3点セットがそろっている不遇武器で、威力こそでっかいけどこんなに欠点があると使いにくさのほうが勝るから、使い手なんてほとんどいない。


「そう、これが一番小さい」


何個も持ってんの?こいつどんだけ金持ち?C-の年収で、やっと小さいのが一個作れる。それを何個も持っているって……。


「あの二人とも、璃々が持っている武器って何?」


不思議そうな顔で聞いてきた。まぁ仕方ないな、異能者でも知っている人間は数少ない。


「脅威度の高い魔物から出てくる異力石を加工した銃だ」


「えっと……異力石って何?」


そこから説明かよ‥‥‥。めんどくさい。


「篠山璃々、説明しろ」


丸投げしよう。めんどくさい。


「異力石っているのは、ちょっとした特殊効果がある異石のこと。すっごい特殊効果があるやつは、霊石って言われて、別格扱い。例えばこのきんちゃく袋についているのは、空間拡張の効果を持っている異力石。この銃は、異力石の持ち主だった魔物の特性を引き出させるために、いろいろ強制的に加工した奴。詳しい原理は、父さんが知ってる」


篠山璃々もめんどくさいらしい。それにしても、省略しすぎだろ。


「へぇ、璃々のそれも異能者の道具だったんだね」


「そう。ちなみにエヌスマも」


篠山璃々は、説明下手なだけらしい。そっか好きな男に、説明を省略するとかありえんか。


「俺は、入学式に遅刻したくないから、クラス表見に行ってくる」


初日から遅刻するとか、ありえないもんな。そういうやつに、依頼は来ないって、うちの祖父母のクランも、ロリババァ率いるパーティーもそこだけは、あくまでそこだけは、徹底していた。


「あ、俺たちも行く」


「私も」


ついてきた。イチャイチャしてればよかったのになぁ。そっちのほうが、面白い。


「というか、僕たちも見なきゃいけないから、おいていこうとしないでよ」


「なんで?」


つまらないだろ。そんなんじゃ。


「‥‥‥‥質問の意味が分からない」


「ねぇ、なんで刀3つ?」


何の脈絡もなく聞いてきた。そういえば、篠山璃々の武器を聞いたな。自分の手の内さらしたから答えろって、意味か。


「木刀は、格下用。黒塗りの鞘の真剣は、同格用。なんか赤黒い鞘の真剣は、本気用。3本用意しているのは、そういう風に分けるようで、3本一気に刀を使うわけでも、二刀流の一派なわけでもない」


二刀流って、一撃の攻撃力が下がるから嫌なんだよな。やっぱり剣は一本が一番だと思う。


「そうなのか」


「へぇ、なんで変えてるの?慣れた武器で、やったほうがいいと思うし、馬鹿にしているって思われないの

?」


こういうところが、認識の差なんだろうな。


「自分より格下な相手に、手加減をしないと間違えて殺したらどうするんだ?そのために、手加減用をわざわざ面倒くさいけど、用意している。それに、スライムとか、ゴブリンとか相手に真剣できると、異石まで切れて、売れる部分が少なくなる」


ちょっとハンターっぽいことを言ってみる。小学生の時の、実体験だけどな。


「あー、なるほど。生活かかっているもんね」


「そういうことだ」


納得してくれたらしい。本当、異石まで切れちゃって、グチグチ虎華に言われるのは、勘弁だ。


「あ、私の名前も、カイトの名前もあった」


「本当だ。斎藤君も一緒だよ」


「マジだな」


ラッキー、監視対象とおんなじクラス。


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