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朝起きたら不審者がいた

な・ん・で・こ・い・つ・ら・が・こ・こ・に・い・る・ん・だ


もし、一人暮らしをしている自分の家に、朝起きたら女の子が二人、勝手に上がり込んでいたらどう思いますか?


ふつう戸惑う。今、俺がその状況。


「あっ、おはようですの、蓮夜様」


朱雀朱莉が、ホコホコと、湯気の上がる純和風の朝食の配膳をしながら、にっこりとうれしそうな笑顔を浮かべた。


「おはようなの、ロー」


シャルロット・A・アズリアが、お行儀よく席について、二パッ効果音がしそうな無邪気に笑った。


うん、お前ら人の家に上がり込んどいて、よくそんな輝くような笑みを浮かべられるな。


「お前ら、なんでここにいるんだ?というかどうやって入った」


朱莉が、小首をかしげ不思議そうに真紅の瞳を細めると、


「どうって、もちろんドアを異能で燃やして、合法的に入りましたの」


……どこが合法?もし、道行く100人に聞いたら、99人違法って言いますよ?


「ちゃんと、シャルが異能で消火したから火事になる心配はないなの」


エッヘンと無駄に大きな胸をそらしながら、シャルは自慢げに言った。


消火したとか、消化してないとかそういう問題じゃないから。


「それより蓮夜様、朝ご飯で来てますの」


「あーわりぃ、すぐ席に着く。・・・・・じゃなくて、どっから食材持ってきた、というか人家の台所勝手に使うな」


つい、昔の癖で受け入れそうになったが、朱莉のやっていることは、絶対的におかしい。人の家の台所を勝手に使うなんぞ、言語道断だ。


「食材は、シャルとアカリで昨日、買ったなの」


俺の家の冷蔵庫にあるものが、ひとつも使われていない。だからこれは、本当のことだろう。


「台所を使ったことについての言い訳は?」


「蓮夜様が、寝ているときに許可を取ったら、寝言で、うん、って言っていただきましたの」


・・・・どっから突っ込んでいいかわかんない。


「寝言は許可じゃねぇだろ」


どこの世界に、寝言の返事を許可ととる変人がいるのでしょう?アッここにいます。


「大丈夫なの。水はシャルの異能、火は朱莉の異能を使っているから、光熱費 日本語これであってる? には、影響ないなの」


あいかわらず、シャルと朱莉の異能超便利。俺の異能は、電気を操るだからな。せいぜいゲーム機の充電くらいしかできない。


「日本語はあってる。いやいや、そういう問題じゃねぇだろ」


現実逃避して、朱莉とシャルの異能を便利だなーとか言ってる暇なかった。


「ちゃんと調理器具は洗ってますの」


「あっどうも。いや、当たり前だろ」


勝手に使ったのは、朱莉ですよね?使ったら直すとか人間の常識ですよね?アッそいえばこいつには、常識が欠如していたな。3年前まで、俺もそうだったけど。


「アカリー、早く朝ごはん食べたいなの。ローも早く座るなの」


シャル、この家の家主は俺だぞ?人の家で、その態度取ったら礼儀知らずのあんぽんたん扱いされるぞ?


「そうですの蓮夜様。せっかく作った朝食が覚めてしまいますの」


……俺の記憶が正しければ、お前は名家のご令嬢だったはずなんだが、令嬢作法はどこに行った?でも、このまま突っ立ってても、何も始まらないしな。


「わかった、とりあえず食べよう。食べている間に、不法侵入・器物破損・街中での攻撃的異能行使を行った犯罪者への尋問を行いたいと思う」


お前らが、朝行ってきたこと、全部犯罪だからな。朱莉は、少年院行きと、WSNハンター資格剥奪。シャルロットは、自国フランスへの強制送還とWSNハンター資格剥奪にあうぞ。俺が通報したら。


「大丈夫ですの。欣莹から、ある程度能力を使ってもいいと許可は出ておりますの」


「そうなの。リーダーからOKもらってるなの」


朱莉が、慎まやかな胸を、シャルが、大きな胸を張る。うん、ちょっと対比がかわいそうだな。・・・・って、リピート アフター ミー、お前らなんて言った?


「おい待て、欣莹から許可ってどういう意味だ?」


あのロリババァ何企んでやがる。今まで、特に干渉してこなかったあいつが何で?


「そのままですの。欣莹が、3年間有給休暇を与えてやったから、そろそろ蓮夜様が、自分にかけてもらった封印を解いてもらい、仕事に復帰しろと命令が下されましの」


え?俺って有給扱いになってたの?辞表、提出したんですけど……。


「いや待て、俺辞表出したぞ」


確かに、大きな字でやめるから今までお世話になりました適な文を、礼儀でラッピングした手紙を、欣莹

に郵送した。


「リーダーは、辞表は認めないって言ってたなの」


・・・・・・横暴すぎるだろ、あのロリクソババァ。辞表を出すのは、労働者の権利だぞ。まぁ、基本的に異能者にはその権利は保証されていないけど、WSNは珍しく保証されていたはずだ。


「蓮夜様、国とかほかの魔物依頼討伐会社と違って、自由に辞められる権利を持っていますけど、パーティーをこくんでいる場合は、別ですよ」


「そうなの。パーティーを組んでいる場合は、パーティーメンバーの過半数の許可が必要なの」


え?まじで?そんな情報聞いたことないんですけど?


「え?まじ?」


ハンター時代は、そんなこと聞いたことないんですけど……


「マジなの」


自分の勉強嫌いを、今初めて呪った。うん、これからはもうちょっと真面目にしよう。


「えっ、それなら俺の辞表受理してくれた奴いた?」


一人くらいは、時評を受理してくれるだろ。俺の親友たちは、たぶん受理してくれているはずだ。


「誰一人、受理しませんでしたの」


「え?」


もう一度、お願いします。今、なんて言いました。


「誰一人、受理しなかったなの」


「なんで?」


ちょっとショック。人生の大決断だったんですけど……。


「蓮夜様のやっていることは、ただ逃げているだけですの。私たちのパーティー「七色の虹」は、どんな強敵にも、逃げずに立ち向かうことが、パーティールールの一つということを、お忘れですの?なので、パーティーメンバー全員、辞表を受理しませんでしたの」


……俺のやっていることは、ただの逃げ、か。確かにそうだな。一切合切否定でしない。そりゃあ確かに、まじめな虎華と、曲がったことが大っ嫌いなアレクサンドルが、いくら大親友とはいえ、受理をしてくれないわけだ。


「忘れてねぇよ。そのせいで何十回も、何百回も死にかけたんだし」


七色の虹の活動中、少なくとも、死を覚悟したのは、100回以上あった。くだらない仲間割れによる自滅とか、普通に相手が悪くて死にそうになったとか、迷宮の罠に引っかかって、死にかけたりとか,色々あった。仲間割れ自滅を、超強敵の前でやった時ほど自分は馬鹿だなーって思ったりした。これは当たり前か。


「ローは、私たちが、受理しなかった理由は、納得できたなの?」


キョトンとしたシャルが、話を戻してきた。


「あぁ、納得いった。引きこもっている間にうすうす築いてたのかもしれねぇ」


もし、納得がいってなくて朱莉とシャルに諭されたら、ちょっと俺恥ずかしくて死ねる。


「ならよかったなの。ローが納得してくれなかったら、朱莉と一緒に力づくで納得させていたなの」


うん、本当に自分で納得していてよかった。昔の俺ならまだしも、絶対成長してそうな朱莉とシャルに、一対一でも負けそうなのに、2対1とか普通に死ぬ。俺はまだ死にたくない。


「心の底から、自分が納得していたことに感謝した」


朱莉も、シャルもパーティーメンバーは,全員超脳筋だった。昔の俺もそうだったけど……。力ですべてをねじ伏せ、解決させていた。子供(小学生6人+6歳くらいに見える幼女)のパーティーだったから、からんでくるやつが多くて、そういうやつらを全員ぼこぼこにしていた。俺は、絶対にあんな目にあいたくない。だってあいつら、俺らにやられた後、全員レイプ目になってたから。


「なぜ感謝するのはわかりませんが、お仕事について話しますの」


最初のところをうーん、お仕事について話しますののところは、非常に良い笑顔を浮かべて、朱莉は俺にそう言った。


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