第八話 社会的地位の陥落
俺の魔法人生が終わりを告げてから3日が経過した。あれからは正に「色々」あって結構疲れた。なぜかその次の日、シャロに宣戦布告されて模擬戦をやらさせられた。ん?勝ったのか?って?まぁ一応勝ったのは勝ったがあいつ人間じゃねぇ。
普通の女の子が自分の身長程の大きさの鎌を振り回せるかっての。あいつも魔法はあんまり得意ではないみたいだから、殆ど鎌での攻撃だったがあいつマジで殺す気だった。一発当たっただけで俺の体はスパッと逝ってたよ。それで今、なぜか今度はヘリスから挑戦状を貰ってる。もしかして、こいつら全員戦闘民族?
そんな馬鹿な事を考えていたら、中庭に出て来た。真ん中に幼気な少女が立っている。
「まぁ、その子が手に武器なんか持ってるから台無しだけどな。はぁ…、さてそろそろ始めるぞ?準備はいいか?」
「はい。手加減はなしでお願いします。」
「んなコト言われてもなぁ…。女の子相手に流石に手は出せねぇよ。まぁ、真剣にはやるからそれで許してくれよ。」
「はい。まぁライ様がここでその様な発言をされても信頼にはかけますが。」
「なんでだよ…。」
「男はみんな狼って言葉知りません?」
「いや…、それはまた別の話だよ。」
「では、参ります!」
「あぁ!来い!」
ヘリスがまず魔法を詠唱し、持っている大剣に炎の力を宿す。そして、その剣を上段に構えながら距離を詰めて来る。ライとの距離が剣の間合いに入った途端、横一線に斬りつける。
ライはその攻撃を後ろに下がり避ける。そのまま第2撃の斬りあげも右に避ける。反撃に剣に蹴りをいれようとしたが、剣の炎が余りにも威力が高い。この中庭を焼け野原にするかのような炎が振り回されてる。
「羨ましくて仕方がねぇな!こんな攻撃を夢見てたのに!」
「御愁傷様です。」
「あっ、なんか無性に腹立ってきた。」
俺は今まで通り彼女自身には攻撃を与えず、ひたすら避けて隙あればそこを突くっといった戦法だ。けど、流石にこれでは埒があかない。
少し立ち回りを変えて挑む。今までは後ろや左右に跳んで避けていたが、今度は余りその場から動かずにそして前に詰めながら避ける事に変更する。
ヘリスが突きをかましてくるが、それを左に体を開いて避ける。次の横払いはしゃがみこみ、その後の打ち下ろしは一回転して避ける。
「チッ!」
ヘリスが舌打ちをしながら、一気にキメようと大きくタメ振り下ろそうとする。
「長かったな…。」
それだけ言ってライは左手でヘリスの手を抑え、右手を彼女の首に当てる。
「はい俺の勝ち。」
「・・・・完敗ですね。」
「んー。まぁ最後のが少し焦ってたな。それ以外は別に悪くなかったぞ。まぁ俺が反撃してなかったからだけどな!」
「えぇそうですね。確かにライ様が反撃をなさっていたら秒でカタがついてたでしょう。最後の攻撃を見ればわかりました。」
「とりまそれは置いといて、今日は魔法について教えてくれんだろ?」
「えぇそうですよ。では始めましょうか。」
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この世界に存在する特殊能力。
それは「魔法」。現代日本ではアニメやマンガなどで多く使われる異能力。その力は幾千の種類があり、一つ一つ詠唱の内容が違ってたりもする。
この世界の魔法は炎、雷、水、風の四つの魔法が主軸でそこから枝分かれしていく。また、その四つとは別に闇、光魔法も存在する。しかし、闇、光魔法は枝分かれせず単体である。
そして、枝分かれした先の魔法の数は未だわからず、謎に満ちている。
とまぁ説明としてはこんな感じかな。
確かイリスは雷の魔法が得意で、ヘリスが得意なのは炎魔法。シャロはあんまり得意ではなくて、一応水の魔法は使えるらしい。王宮の魔道士さん達ほどにもなると四つの魔法ぐらいは完璧に熟せるらしい。イリスも初歩の魔法なら使えるらしく、洞窟では氷魔法も使ってた。
聞くところによると、約9.99%の人が魔法を使えるらしい。あれ?俺って結構凄いんじゃね?針の穴ほど小さな門をくぐったとか有名間違いなしだな。
「そうか、まぁそんな感じだよな。」
「どういう感じかわかりませんが、そんな感じです。」
「いちいち突っ込まなくていいの。さて、俺は何しよっかな。あっ、そういえばイリスには騎士ってのがいるのか?」
「?いませんよ。イリス様は昔から騎士を嫌っておられて、何回か頼まれてましたが全てお断りしたそうです。」
「そうか、まぁあいつ貴族にしては良いやつだもんな。他の貴族は知らんがな」
「えぇ。私はここで働けて本当に感謝しています。」
「そういや、シャロとヘリスはなんでここで働こうとしたんだ?」
「・・・それは私達をイリス様が拾って下さったんですよ。あの時は本当に嬉しかった。シャロとは同じときに拾ってもらったんです。」
「そうか…。悪いな。」
「いえ、別に構いませんよ。けど…、シャロには余りこの話は控えて下さい。余り彼女にはいい思い出ではないので。」
「あぁ、わかった。」
俺はヘリスと別れ、自室に帰る。色々とヘリスから聞いたが、なんか二人とも事情があるらしい。
多分これフラグだな。まぁそん時は一緒に乗り越えるしかないだろう。
「んー!疲れたもう夜か…。晩飯食べて今日も一日終了!」
夕食を食べ終わり、ライは風呂場へと向かう。
今日会ったことを一人でゆっくり考えるのなら、風呂が一番良い。部屋で考えるのも良いんだが、体がダラけてくる。
「さて、俺もゆっくり休みたいな。最近模擬戦しかやってないし。」
ガララと風呂場への扉を開ける。
「はぁー今日はヘリスが模擬戦したんだっけ?どうだった?」
「はい。やっぱりライ様は強いですね。勝てる気がしませんよ。」
「だよねー。みんな一つも怪我をさせずにしかも、無傷で勝つなんて強すぎだよー。ん?・・・・・」
「ん?・・・・・・・・・・・えっと…これは…その…なんて言いますか、不可抗力です。はい」
体に下着だけを着け、殆ど全裸の3人を見てライは固まってしまう。3人は1人は怒りを露わにし、もう1人は羞らい、最後の1人は何やら悪巧みをしている。
「・・・じゃあ先ずは死のうか♪」
「やっぱり男はみんな狼だ!この変態!」
「あーあ。ライ様やっちゃったね!これは王都全部に報告だ!イリス様と私達二人の裸を見たなんて言ったら、もう終わりだよ♪」
「えっとねみなさん。これは不可抗力であって、ワザとじゃないんですよ、だから…その・・・・
ありがとうございました!!!」
俺は思いっきり扉を閉めて自室に逃げ込む。ヤバい3人とも目がマジだった。俺明日生きてるかな。
てか、明日まで生きれるかな。
コンコンとノックの音がする。俺は全神経を集中させ、反省してる声で喋る。
「・・・・はい、どなたですか?」
「イリスよ。入っても良いかしら?」
ん?なんかあんまり怒ってないような声だな。
もしかして怒ってないのか?
「い、イリスか。どうぞ入って。」
俺はこの時彼女を入れるべきではなかった。これはこの先何十年経っても悔やみ続けることになる。
なぜなら、この後朝までひたすら3人に殺されそうになる。いや、もう殺されたと言った方が良いのかもしれない。朝になると、俺の寝間着はズタボロになり、所々に傷跡がある。それにシャロが言っていたことが行われれば、多分俺は王都に行けない。
あーもう駄目だ!!俺の異世界での社会的地位も0になってしまった!魔法人生も終わりを告げたのに社会的地位も終わりを告げたら、俺に何が残ってるんだよ!!!
そんな嘆きを1週間ほどし、それと同時にひたすら3人に謝った。まだ一人もあの事に対し許してくれてない。普段は普通に話すところまでは回復したが、腹の中ではいつでも復讐のことしかないだろう。
そんなこんなで奴隷決闘大会まで、あと、6日。
さて、今回はライとの戦闘シーンがあったヘリスちゃんです。
名前 ヘリス・ドラン
性別 女
誕生日 二月八日
身長 163
髪、瞳の色 どちらも黄色
その他 いつも通りのライ情報によると、胸はA〜B、スタイルは良いらしい。お姉さんタイプ