第七話 宣告
生麦生米生卵生麦生米生卵只今編集中(超早口)
ご了承下さい。
「ん・・・。」
第10の傀儡プリヘニトとの戦いの次の日、ライは何事も無かったように朝を迎える。昨日の出来事がフラッシュバックし、色々あったなという感想に行き着く。
「おはようございます。ライ様。今日もいい天気ですよ。」
「ん、あぁそうみたいだな。ーーーん!くはぁ!あーよく寝た。おはようシャロ。」
朝の挨拶をする。一見シャロがライを起こしに来たようなシチュエーションだが、違う。時刻は日本時間で言う朝の5時。まぁ、通勤をする人達は起きている時間だ。なぜ通学もましてや通勤もないこの時間にライが起きたかというと・・・・
「んじゃ外で少し体動かしてくる。着替えるから…まぁなんだイリスのとこにでも行っといてくれ。」
「えぇー!こんな時間から外で体動かすんですか?!今度シャロも連れて行って下さい!行きたいなー。あと、イリス様はこの時間なら、まだぐっすり寝てますよ。」
「ん?そうなのか…。大丈夫かよ。まぁいいや。それに、俺の運動なんて面白くないぞ?別に普通に走ったりするだけだし。朝飯ぐらいには帰るから、朝ごはんよろしく!」
はーいとだけ言い残してシャロは外に出た。
そういえばあいつはなんでこんな朝っぱらから、俺の部屋にいるんだ?まぁ、考えてもわからんし着替えるか…。
昨日の夜に用意しておいた服を着る。一番動きやすそうな服を選んだんだが、少しまだ動きにくい。その上から黒いコートを羽織り外へ出て行く。
「よし!じゃあ走るか!距離はどこまでにしようかな…。そうだな…あそこの木にするか。」
準備運動を終え、少しジャンプをして走り始める。走り始めてたら色々な事が頭をよぎる。
例えば昨日の一件。プリヘニトはあそこまで弱かったが、多分いるであろう他の奴らはあんなに弱くない。あいつは魔法を使ってこなかったが、他の奴らはどうかわからない。それに奴が持っていたあの藁人形はなんだ?傀儡って意味か?別に俺はこの世界を攻略しに来たわけではないから、そこまで深く考えるつもりはないがもしもの備えとして、考えておかなければならない。
「なーんか色々考えてたら直ぐ着いちまった。次はなに・・・。ーーーッ!誰だ?!」
「・・・・・。」
「傀儡の奴らか?なら即刻殺すぞ?」
「ふーん。やっぱりライって結構やるのね。」
目的の木まで着いた時、いきなり林の中から氷の魔法が飛んでくる。ライはそれらを容易く避け、襲撃者を脅す。が、その襲撃者はよく知った声の人物だった。
「おい、イリス。お前殆ど殺す気じゃねぇか…。
てか、お前この時間は寝てるんじゃねぇのかよ?」
「?何を言ってるの?あぁシャロね…。私はこの時間、魔法の練習をしてるの。」
「あいつか…。帰ったらやり返してやる。んで、その練習中に俺を見かけて俺の力量を見極めようって腹だったんだろ?」
「そう大正解!にしてもよくわかったわね。しかも、撃たれた方向まで正確に。やっはライは化け物ね。」
「んなわけねぇだろ?唯の山勘だ。まぁ何かの縁だ、お前の練習手伝ってやるよ。来いよ?」
「へぇー私の練習の相手になるんだ。いいわよ受けて立つわ。」
イリスは木から飛び降り、ストンと着地する。これだけで身の軽やかさがわかる。ライは少し後ろに下がりイリスの攻撃を待つ。
「?ライ、それは喧嘩売ってるの?舐めてたら痛い目見るわよ?」
「俺の故郷にはレディファーストって言葉があるんだよ。つまり、女の子に先を譲りなさいって事だ。先手はやるよ。」
「そう。なら、遠慮なく行かせてもらうわ!」
「あぁ!来い!」
イリスは魔法を展開し、右手に力を入れる。そして魔法陣が変化し、雷を纏った矛となる。イリスはそのまま前に走り出し、ライを攻撃する。
ライは突き出される矛を左に体を動かす事で避ける。そして、矛を蹴って手放さそうとするが雷を纏っている為安安と触る事は出来ない。そのまま攻撃が出来ない状態になっていると、イリスが第2撃、3撃と打ってくる。それらを全て避け、後方に飛ぶとイリスが武器を変形させ弓矢の形にする。
「あれ?どうしたのよライ?防戦一方じゃない。
これじゃあ練習相手にもならないわよ?」
「ハハ!笑わせんな!イリスの攻撃も全く当たってねぇだろ?」
少し戦いがヒートアップし始め、イリスが本気を出し始める。
矢を30本ほど放ち、放ち終わると同時に弓矢を変形させ剣の形にする。そして、矢がライを襲う数秒後に剣で斬りつける。もらった!と思ったがあまり手応えを感じない。その訳は直ぐにわかった。イリスが放った矢もトドメの一撃も全てさっきまでライが立っていた木に当たっている。
イリスは唖然とする。いくら矢のせいでライの行方が見難かったとしても、見失うまでは行かないはず。なのに、今ライがどこにいるのか見当もつかない。辺りを見回すがどこにもいない。
「結構良いところまで行ったんだけどなぁ。でも残念♪相手が悪かったな。」
ライは右でも左でもなくましてや木の後ろでもなく、木にぶら下がっていた。そして宙吊りになりながらイリスの首元に手を当てる。そして、イリスの降伏を嬉しそうに聞く。
「はぁ…。なんなのよ。全然効いてないじゃない。どうやって最後の避けたのよ?」
「ん?初めは驚かされたさ。いきなり矛で来たかと思ったら、弓で攻撃してくるし挙句の果てに最後は剣、なんて幾ら何でも戦い慣れし過ぎだよ。そんで、最後のはうーん…。なんだろ?体が勝手に動いた感じ?あーこれは突っ込んで来るなって思ったから、木の後ろに下がり一気に登った。」
「やっぱりあんた人間じゃないわね」
「へへへ。悪いな。」
そんな感じて朝のトレーニングを終了する。家に帰り、シャロを散々弄ってから朝食をとる。
昼間は魔法の勉強をさせられた。
そして、ライは驚くべき話を聞く。それは・・・
「魔力を溜め込む器官が俺の体に存在しない!?んな馬鹿なことあってたまるか!!」
そう。俺の体には魔力を溜め込む器官が備わってないということだった。おいおい。魔法をがあるこの世界に来て魔法を使えないって、どういうことだよ?!シャロは大爆笑して、イリスも目が点になっている。ロイテも驚いた顔をしている。この悲惨な診断をしてくれた、もう一人の使用人ヘリス・ドランは驚きを通り越して慰めに来やがる。お前ら全員覚えてろよ!そんなことありえるこよ!と言ってもう一回ヘリスに診断してもらったが、結果は一緒。俺にはその器官が存在しないらしい。もうどうなってんだよ!!!
「おいヘリス!本気で言ってんのか?マジで俺は魔法が使えないの?」
「は、はい!そうですライ様!大丈夫ですって、魔法が出来なくてもライ様は十分強いじゃないですか!ね?だから強く生きて!!」
「励ますな!余計に悲しくなるわ!あぁ!俺の魔法人生!さらばだ!」
折角覚えた魔法の知識も今となっては豚に真珠。もうダメだ…。立ち直れねぇ…。
などと楽しい日々が始まり、それが日常となる。
その決まりは何事も一緒。
歩く人が増えればその歩いた所は道となる。楽しい日々が長く続けばそれは日常へと変化する。
奴隷決闘大会まで、あと16日。
今回はライに雑魚呼ばわりされたプリヘニトさんです。
名前 プリヘニト
性別 男
武器 短剣×2
年齢 不詳
趣味 イリスへのストーカー
身長 173
髪、瞳の色 黒、潰されていて不明
その他 ライには雑魚呼ばわりされているが、結構強い方。その辺の騎士と比べれば普通に強い。