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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第一章 黒髪黒瞳の憂鬱
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第六話 トルエノ家での生活 中

「さて、どうしたものかな……。こいつはこのまま置いとくとして、お宝はどこ?」


「うーん。ねぇ、この広場の壁ほとんど黒燐岩でできてない?!」


「ふーん、へぇー、ほー。そんな石のことも詳しいんだねー」(棒)



へぇー、一端の貴族のクセしてボーちゃんみたいに石にも興味あんのか。コイツ絶対子供の頃友達いなかったな。毎日公園で石拾ってただろ。それか図書館行って本読み漁ってたとか。あ、それ俺だった……。あれ?目から水が……。




「何で棒読み?って、なんか泣いてるし。あんた、頭大丈夫?この石はね、黒燐石って言って王都や他の国でも高価で取り扱われる高級品よ?」


「なーんだ、ただの石か………えっ!?嘘だろ!?」


「なんで嘘吐かないといけないのよ。なんなら今すぐ屋敷に戻ってシャロやロイテに聞いて回ればいいじゃない。みんな首を縦に振るわ」


「マジかよ……。えっ?えっ?じゃあ、その石って特に何に使われんだ?」


「確か……武器とか装飾品とかだった気がする。あぁ、そうそう。ウチの屋敷の部屋にも一部使われてるわよ。ほら、応接間の壁とかに」


「武器!?武器って言った?!よし、全部持って帰ろう!そんでこの石フルに使って武器作ってもらう!!」


「装飾品は完全に無視の方向で行くのね……。まぁ、全部黒燐石ってのが可能なのかはわからないけど、試してみる価値はあるんじゃないの?王都には鍛冶屋もあるしね」



なるほどなるほど。サッパリわからん。何で全部それで作っちゃならんのだ?まぁ、いっか。んなことより、金だ金ッ!刀作れる分まで集まったら、全部換金してやるぜ!!これで遊んで暮らせる。アラブの石油王に俺はなる!!



「んで?どうやって採るんだ?ピッケルがないと無理だろこれ」


「ぴっける?何それ?魔法で採るんでしょ、普通?」


「普通なんだ、それ……。つか、それなら奴隷いらないじゃん。奴隷買う金で魔法師雇えよ」


「奴隷はただの権力を見せびらかす為よ。まぁ、魔法なんて戦闘じゃただの付属品みたいなものだしね」


「それ、魔法を夢見る俺に喧嘩売ってるよね?売ってるよね?」


「繰り返さなくてもいいわよ。それじゃ、サッサと始めるわよ」



彼女は右手を前に出し、体全体に力を込める。すると魔法陣が彼女の手の前に展開された。黄色と青白い光が交互に光る魔法陣に、彼女は躊躇いなく手を伸ばして触れる。刹那、彼女の右手は黄色い光に覆われ激しい閃光が空中を走った。そんな非科学的な出来事に、俺はポカーンと口を開けて呆然とする。否、それ以外に反応が思いつかなかった。



「お、おぉ……」



本当は何か言おうと思っていたが、口から出たのはそんな期待外れの感想だった。イリスはそんな俺の様子に少し苦笑及び嘲笑を向けて、サッサと集め始めた。



「あれ?終わり?」


「えぇ。ライの分は取れたんでしょ?ならもう良いわよ。私お金要らないし。それに必要になったらあんたが取りに来たら良いでしょ?」


「お、お金要らない……。石油王かよ、お前。小遣いくれよ」


「残念。奴隷にやるお小遣いは私の家には無いわ。まぁ、あんたが職を得たなら話は別だけどね」


「ヒモになりたい……切実に」



そんな俺の悲しき願いすらも無視で一蹴し、俺に来い来いと合図する。理不尽だ、と文句の一つも言ってやりたいが、俺が彼女と同じ行動に出るとそれはもう大変な事になるので渋々了承の念を送った。これが女尊男卑と言うヤツなのだろうか。人間とは平等に生きられない生物なのだと再確認した。














ーー



「ただ今……」


「あ、お帰り〜!イリス様のお世話ご苦労様でした!」


「シャロ?」


「何でもないです♡」


「ホントご苦労様だよ。あぁ、そうそう。コレお土産だって」


「何ですか、コレ?石?」



もうヘトヘトの状態になりながら俺は玄関に大の字で寝転がった。此度の遠足?での感想は『この金髪少女、鬼の生まれ変わりの気がする件』である。起訴すれば勝てるほどなんじゃ?ってレベルである。いや、しないけどさ。奴隷だから。



「見て驚きなさいシャロ!黒燐石よ!さぁ、讃えなさい!」


「俺は?俺は讃えてくれないの?あの洞窟をコレ持ちながら戦ったの俺だよ?イリス何もしてないじゃん?」


「黒燐石……!?」


「そう、黒燐石!」


「ホント大変でしたね、ライ君。イリス様のお世話並びに、宝石並みの石を取ってきてもらい感謝を示します」


「うんうん。今回に至ってはイリス何もしてないしn……エルッボーッッッ!?!」



軽く口が滑った瞬間、俺の腹に深々とイリスの肘が突き刺さった。今までの疲れと今の衝撃のせいで俺の意識は半ば昇天しかける。もちろん誰もその意識を引き戻してくれないので、半分ほどの意識は明後日の方向へ、もう半分は内臓と一緒にペチャンコ状態である。



「━━━━━お帰りなさいませイリス様、ライ殿。夕食の準備ができておりますが……先にお風呂に入りましょうか」


「えぇ、わかったわ。じゃあ先に入るわね、ライ」


「その風呂の水を飲もうなんて……考えてすらいません。だからその致死の魔法収めてください」



夕食で俺達の武勇伝をシャロ達に十分に聞かしてやり、そこそこ賑やかな夕食となった。今回もヘリスと呼ばれる使用人には会えなかったが、またどこかで会えるだろう。そんな期待を胸に寄せながら、俺は自室へと入るや否や深い睡眠に陥った。




あぁ、やっぱり異世界はロマンに満ち満ちている。












さて、今回はシャロちゃんです。

名前 シャロ・アルザ

性別 女

職業 筆頭使用人

髪、瞳の色 赤、ピンク

身長 158

趣味 イリスを弄ること

その他 ロイテには劣るが、料理、洗濯など家事全般は得意。

ライ情報では、胸はB〜C、性格は明るく子供みたい。

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