第十八話 烈火炎々
「兎にも角にも、全員ちゃんと来れたって事だな」
「当たり前だろ。馬鹿かお前?」
「お前は死んだって報告するわ、ウルス」
「なんだとテメェ!」
俺とシリウスが中央にある敵の本拠地に到着すると、そこには「遅い」と顔で表現してる騎士達が拠点をグルッと一周囲んでいた。
・・・・これって…何?籠城戦?水攻めとかするの?
「な、なぁ…一応聞くけど、お前ら今何やってんだ?」
「何言ってんだお前?見ればわかるだろ。取り囲んでるんだよ」
ウルスはそう言って俺を馬鹿にする。他の奴らも同じように「何言ってんだこのアホは」みたいな顔でこっちを見ていた。
「あー、そうか。なるほど、よくわからん。つまり、こうすれば良いんだよな」
俺はハクロウを取り出して敵の本拠地に向ける。そして、そのままレーザーを発射し星型に斬り倒してやった。
「「「お前は何をしとんじゃーー!!!」」」
「え…これじゃ、ダメだったの!?何なんだよ意味わかんねぇよ!!」
「ライ、僕達は今交渉中だったんだよ。まぁ、答えてくれる気は無いみたいだったけどね」
何人かからか突っ込まれ俺が慌てていると、俺の反対側を見ていたイワンがやって来た。
イワンも流石に呆れたのかフォローもフォローになっていないと言う始末。
わかるわけねぇだろ。普通の人なら戦ってたっての。ラスボスが目の前にいるんだぜ?ゲームだったらラストゲージだっての。
「なら、別に良いじゃねぇかよ。俺はサッサと帰りたいんだ!!」
俺が早く帰りたい宣言をした瞬間、星型に穴が開いた所から一人の大男が現れた。
一同はそれを見てすぐに抜刀し構えをとった。男の体格は約五、六メートル。体は真っ赤に染まっており目が三つあった。
「天さん!!!!」
「・・・・・」
そらそうだよな…。乗ってはくれないわな。なにせここ異世界だしな。仕方ない。
「テメェら、等々ここまで来やがったのか。この第一の地獄末席・・・ッ!?」
目の前にいる天さん(仮)が喋り終わる前にハクロウで炎弾を撃ち込む。天さん(仮)は喋るのをやめて巨体を捻らし弾を回避する。
「自己紹介の時ぐらい待てやコラァ!!」
「え…だって、第一だし…しかも末席って。紹介するのも苦しいかなってお前の意図を汲んで…」
「あ?お前、末席だからってナメすぎじゃねぇか?テメェらを追い込んだ奴らは俺の下の下だぞ?」
「はいはい、凄い凄いー。さ、早く帰ろっ!」
完全棒読みを天さん(仮)にお届けし俺は駆け出した。理由はもちろんこの目の前の野郎を倒すため。敵はただの羽が生え、ツノがある悪魔…見た目は怖いな。見た感じ強くはない。
「・・・お前らが相手して来た奴ら、少し変じゃなかったか?」
俺の振り下ろしを魔法で作った盾で防ぎ、ボソッと奴はそう呟いた。
「あ?変?まぁ、死ぬ間際に変な魔法を使ったぐらいだな」
「おかしく思わなかったのか?急に強くなる事を」
強くなったと言えば強くなった。なにせ不死身プラス大量発生だ。そんなんチーターや!
それは置いといて、確かにパワーアップはした。
が、最高位のチートじゃない。最高位ならハーレム作るわ世界最強と謳われるぐらい凄い魔法を使うとかなんでもありの実力を見せる。あいつは見かけは悪いし不死身だしと引かれる部分しかなかったな。
「いや、別にそんなにチーターじゃなかったぜ?ゲームバランスはしっかり守ってた、と思う」
「なら、説明してやろう」
「え、あ、結構です。」
別に説明される必要もないし、されても興味がない。確かに強くはなったけど、結局は俺達に負けたのだ。大したモノではない。
それにこう言う悪趣味なヤツは、決まって怪人になったり闇落ちしたりするのがオチだ。そこまでして強くなりたくはないね。
「ってか、お前状況わかってんの?敵は俺一人じゃないよ?それに仲間もいない事に気付いてる?」
こいつの敵はもちろんの事、仲間は全員倒されている状況。普通の大将ならここは「無念…!!」とか言う場面だろ。
「逆に聞くが、お前らの勝ちが決定するのはいつなんだ?」
「そうだな…。敢えて言うならチェックメイトと俺が思った時だな」
「貴様はまだ思ってはいないだろ?なにせ俺にまだ一つも攻撃できてないんだからな」
「魔人族。ここまで野蛮で戦闘狂だったのか。死にたがりと戦士は違うぞ?」
「グハハ、戦士?俺は戦士じゃねえ、悪魔だ!!今見せてやろう!!悪魔が魔王の力を吸収した瞬間をな!!」
男がそう言うと体の周りを漆黒と赤の魔力が包み、竜巻のように回転していく。俺は後ろに下がりアンチ魔法弾を放つ。
が、弾は当たる前に風圧で地面に叩き落とされた。
近接戦はまず無理で近づく事すらも厳しい。魔法も俺の弾が叩き落とされるほどの風圧、魔法は弾より遅い同じ結果になるのが目に見えている。ここは様子を見ておくのが最善だろう。
そして、赤と黒で塗られた竜巻は大きな風の波となって辺りに襲いかかった。周りは一気に風圧で吹き飛ばされる。騎士達は地面にしっかりと足をつけ踏ん張り、ギリギリの状態で耐えるのがやっとのことだった。
暴風が収まり、一同が顔を上げて男がいた場所を見る。そこで十人は絶句した。
ーーそこにいたのは龍の顔と体に、巨大なカラスのような黒い羽を持つ三つ目の悪魔だった。
「ッーーーーーーーー!!!!!」
「なんてヤツだよ!!」
「俺らの時と一緒だな…、容姿が急に変わってる」
ウルスとオーロンがそう悪態を吐く。他の奴らは別に恐怖はしていないが警戒が一層と高まった。灼熱の炎を全身から溢れ出し、周囲に生えている植物を全て灰へと変える。
ーーその姿はまさに炎を司る悪魔。
イフリートそのものだった。
「俺は、魔王の力を得た悪魔だ!!!」
目の前の悪魔はそう叫び炎の台風を巻き起こした。
はーい!どうもー!シャロでーす!!
今日は私の番です!!
え?その前に頭のタンコブは?と・・・。
内緒でーす
そんな事よりえっと…次回は明日の夜九時!らしいので忘れず読みに来て下さいね!
シャロのライ君が頑張る話です!
お楽しみに〜!
うんうん。これで良しっと♪
それでは!また明日ー!




