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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第三章 過激なフェスティバル
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第八話 荒くれた戦場

「ほらね。ライはちゃんと考えて行動してたんだよ」


「まぁね。ホント、何を考えてるのだか。それにクエリルも。何で精霊を呼んでるのよ」


「彼なりにライへの対抗心があるからね」


「対抗心?何に対するよ?」



イリスは頭にハテナマークを付けながら首を傾けている。カルロスはそれを見て「可愛い」と思いつつ「鈍感だなぁ」と嘆いていた。




ーー


勝手に積もって行った山の上で悪態をつきながら、俺は三方にいる化け物を睨む。



「おーい、実況ー!そんなわけでコイツはオッケーって事でいいな?」


「えぇ…。は、はい!両者の承諾が得れたなら問題無しです」


「それじゃ、了解も取れたし時間稼ぎ頑張りますか!」



俺は死体の山から飛び降り二人と一体を見る。厄介なのはケルベなロスとイワン。シリウスは実力の知りようがないから「?」で済ます。


残りの方々は半分戦意喪失で、残りは手を出したくても出せない状況になっている。

これもアレスの陰謀の一つなのかな…。

ふと、そんな考えが俺の頭をよぎった。



「はぁ…。それじゃ弱い奴から消えて行くスタイルで」



俺は死体の山を下敷きに大きくジャンプする。そして、三人目掛けて大玉をお届けしてあげる。ケルベロスはそれを薙ぎ払いで吹き飛ばし、イワンは真っ二つに、シリウスは魔法を纏った剣で弾いた。



「この国の騎士って強くね?亜人族ですら直撃してたのに」


「ふん、こんなんで俺を倒せると?貴様も尻の青い若造だな」


「いやいや、結構力を込めて斬ったよ」


「小癪な」



三者三様のご回答を頂き、俺は着地する。

俺の着地と同時にケルベロスが噛み付いて来た。ミツ首を起用に使い三人に同時攻撃を決め、闇の魔法で大量の鎖を出現させる。



「ウザ」


「彼ばかり気にしてると周りを疎かにしてるよ」


「んなわけねぇよ!」



襲い来る牙をローボで受け止め、背後から攻めて来るイワンにぶつける。そしてケルベロスの後ろから飛んで来る鎖をアンチ魔法弾で打ち負かす。乱射しギリギリのタイミングで鎖を抑え、ケルベロスに斬りかかっているシリウスに一発撃つ。



「細かい奴だな傀儡」



俺の死角からの弾は一閃されどこかへ吹き飛ばされた。が、そのシリウスもケルベロスの三本もある尻尾によって太刀打ちできない。四人の攻防は一進一退。勝負がつきそうでつかない状況である。ライは自身の武器を全て晒し、イワンは元から剣しかない、シリウスも剣と魔法のみ。よって一番の難敵は地獄の番犬と言う二つ名を持つケルベロスである。



「あと十分。苦しいな」



点数は運営に隠されたせいで見ることができない。あとは運が俺の味方につく事。それと俺が目の前のケルベロスに殺されないように生きる事。以上の二つだ。



「 どうしたニンゲン?貴様もここまでか?」


「何言ってんだポチ公。いや、ワン吉か?どうでもいいや。テメェに一つ言ってやる!テメェは俺に負ける!」


「ほう…。面白い!お前を噛み砕いてやる!」



そう言えばこいつを召喚した奴はどこ行ったんだ?

あ、いた。

って何逃げてんだよ!お前のペット戦ってるよー!



「術者には手は出せないから別に問題は無いか…」



俺はポチを後回しにしイワンとシリウスをターゲットに設定する。これによりポチも参戦するからここで一揉め、その間に俺はトンズラ。いい作戦だ、これで行こう!


イワンにはハクロウで牽制しつつシリウスと剣を交える。ガキンッッ!!と言う音と同時にシリウスを蹴りつけ吹き飛ばす。その反動で後ろに飛びながらイワンを空中から斬りつける。防がれるがそれを踏み台にし横から突っ込んで来るケルベロスの背中に乗る。俺が背中を斬り裂こうとした瞬間ケルベロスの首回りから大量の蛇が姿を現した。



「何でもありかよ…」



攻撃を強制終了し背中から飛び降りる。飛び降りた先ではシリウスが詠唱を開始していた。



「四色の精霊よ 炎獄のような灼熱よ 津波のような激流よ 竜巻のような豪風よ 雷神の怒りのような激雷よ 我が剣に力を与えよ!」



シリウスの長い詠唱のあと、彼の剣はまるで神剣のようにこの世の災いの発端を美しく現していた。閃光が走り全員の視界が一瞬だが眩む。シリウスは真っ先に俺を標的に設定し突進して来た。



「は?何で俺なんだよ!?」


「貴様は傀儡だ。つまり、この中で敵は貴様だけだ!」


「まだ言ってんの!?そろそろ自分が違うって認めろよ!どんだけ頑固なの?」



あの剣をローボで防げば確実にローボが折れる。流すか?いや、無理だ。触れただけでもローボにダメージが行くだろう。あの魔法をどうにかしなければ。


ん?魔法?



「シリウス。お前、馬鹿だな」



俺は一発アンチ魔法弾を撃ち込む。シリウスはその弾を剣で弾く。シリウスの剣の魔法はライの弾丸により消滅す・・しなかった。



「なっ!?マジかよ!?魔法じゃないのか!?」


「馬鹿は貴様だ傀儡」



あいつは今、何をした?確かに弾は剣に当たったはず。


シリウスは驚いている俺を嘲笑うかのように剣を構え走りこんで来る。後ろにはイワンが二人共を葬れるよう構え、横にはケルベロスが牙を剥いている。俺の逃げ場は無くなった。残り三分。これが最後の攻防である。



「チッ!当たれば即死。躱す場所は無し。無理ゲーもここまで来れば楽しくなってくるな」


「ここでくたばれ傀儡野郎!」



俺はハクロウを取り出し、シリウスに向けて闇の魔法を放つ。銃口から放たれた闇の魔法は弾丸の形で飛んで行く。弾はシリウスに当たる前に炸裂し黒煙が上がった。


シリウスが黒煙に驚き、突進を急停止して煙を払うために剣を横に一閃する。煙はたちまち消え失せ真っ黒だった世界にカラフルな色が塗られる。


が、シリウスの目に見えたのは真っ黒だった。彼の目に映るのは黒髪黒瞳の少年が黒刀を振りかぶっている状況である。



「迅雷流 秘伝 雷火」



俺は頭の上からローボを振り下ろす。刃先は空気を斬り裂きシリウスを斬り裂く寸前で止まった。



「し、終了です!!!」



ビーっと言う音とともに試合終了のコールが響いた。俺は納刀しシリウスの前から去ろうとする。



「ま、待て!」


「なんだ?今のでお前は斬られていたぞ?」


「それは承知の上だ。君を、君と主君の関係を疑って悪かった。許してくれ」


「これだから堅物は嫌なんだよ。いちいち面倒くせえ。わざわざ謝らなくてもいいだろ?今までの関係の方が落ち着くし」


「そうか…。まぁ、一応言っておく。騎士の恥だからな」


「ういうい。なんでもどうぞ」



俺はそのまま歩き出し始めの位置に戻った。競技が開始する前と後で色々と違っている点が多いが気にせず結果発表を待つ。



「集計が終了しました!二日目からくり的当ては第四貴族騎士 オオガミ ライ選手の優勝です!!!」


「はぁ…終わったー。しんど…」


「おめでとうライ。君の技には毎回驚かされるよ」


「そらな。我流だし」


「え?!あの技って我流なのか?」


「んー。非現実を現実の世界に強制的に持ってきたってヤツ」



あんな技現実でできたら凄すぎだろ。まぁ、こいつには教えたらポンポンできそうだけどな。



「小僧、お前が使った魔法について少し話がある。今夜は警護か?」


「おぉー!ワン吉!最後出番なかったなー!ハハハ!おーいいぞ!今日は東だったはず」


「誰がワン吉だ!俺の名前はヴァンだ!」


「え?違うの?左からワン吉、ポチ、ジェームズ。どうだ?いい線いってるだろ?」


「いい線もクソもないわ!!俺の名前はヴァン!顔は三つあっても魂は一つだ!」



ワン吉、ポチ、ジェームズは俺の『犬に付けたい名前上位三位!』だ。いい名前だろ?


ワン吉もといポチもといジェームズはそれだけ言うとクエリルの元へ帰って行った。


俺は壁に映る結果の表を見る。俺が一万百、イワンが一万と俺の勝利はギリギリだった。

イワンが途中で狩に行ってたら俺は負けていたと言うわけだ怖い怖い。




夕食も済まし、俺は真面目に警護をしている。


ん?夕食にタバスコ入れたのか?って?

当たり前だろ。イリスの料理に大量に入れてやった。そん時のイリスの顔は最高に面白かったな。まぁ、すぐに口を押さえながら部屋に逃げたから写真は撮れなかった。


ぼーっと関門の上で夜空を見上げていると、後ろから声をかけられた。



「小僧、昼間に言った話なんだが…」


「あぁ、ワン吉。!?お、お前誰だ?」



振り向いた先にいたのは灰色がかった髪に茶色い目の青年が立っていた。一見年寄りにも見えるが体格を見れば青年だとわかる。



「俺はヴァンだ。?あぁ、お前はこの姿の俺を見るのは初めてだったな。この体は仮初めの体だ。魔法で作ったな」



そう言いながらヴァンは人間の状態で顔を三つに増やした。


「ッ!?絵面がヤバいからやめろ!ホントにヤバいから!それにお前が精霊なのはわかったから!」


「そうか?良いと思うんだが。…小僧、お前知ってたのか」


「いやいや、知ったのは俺の主人がタバスコ大量に食べて寝込む前に聞いた時だ」



イリスからこの話を聞いた時は驚きもしたが納得もした。召喚魔法にしてはあのクエリルって奴とワン吉の関係性が良好過ぎた。普通の召喚魔法ならあの恐竜みたく奴隷のような存在になるはずなのだ。



「精霊か…。俺にも一匹ぐらいついて欲しいなぁ」


「無理だ。お前からは魔力は感じるがすぐ消えて行っているからな。それでは精霊は興味を持たない。俺らの食事は術者の魔力だからな」


「恨むぞこのステータス!何が楽しくて精霊にそっぽ向かれなきゃならないんだよ!いや、待てよ俺の溢れ出ているこの魔力を食べるのはダメなのか?」


「馬鹿言うな。それは落ちているモノを食べろと言ってるのと一緒だぞ?皿に乗せろ皿に」


「クソ…。それで?本題はいつ入るんだ?今日はミールが一緒だからずっとは無理なんだが…」



あの人怖いんだよ。無表情でこっちを睨んでくるし、剣の腕は折り紙つきってイワンも言っている。この世界の女の子は何でこうも好戦的なんだか。



「悪いな。なら、単刀直入に言おう。お前は今、魔法の改変を行なっているだろ?それが帝王達にバレれば今すぐ消されるぞ」



ヴァンは冷酷な表情でライにそう告げた。





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