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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第三章 過激なフェスティバル
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第七話 ここに来た理由

「さて、話を戻すぞ」


俺とシリウスの戦いはイワンとアレスに止められた事により一時停止となり、今はアレスからとんでもない言葉を聞いた所だ。


「今回、人帝からの情報だと動いたのは魔帝と神帝だ。現時点では何も言えないが可能性としては奴ら、また戦争を始めようとしてやがる」



アレスの話を聞いた所、いくつか疑問が浮かんでくる。

確かロイテが言うにはこの国は上から二番目だと言っていた。なら、その一番の国以外ならどこでも勝てるって事になる。



「そんなに心配する事なのか?この国って二番目じゃないの?」


「二番目なのはグレーン大陸での話だよ。他の大陸や空中都市も合わせれば下から数えた方が早いと思うよ」



一気に俺の中でこの国の信頼が落ちた気がする。ってかロイテが言ったんじゃねぇか!

あのジジイ!



「それで?ここに攻めてくるかもと?」


「あぁ。この国は各国要人が多く住んでるからな」



各国要人?誰だそれ。

この国にそんな重要人物なんていたっけ?



「なぁイワン。各国要人って誰のことだ?」



俺が率直にイワンに聞いた所イワンは驚きそして呆れた。自分が物凄く無知であると言う事に改めて気付かされた。



「え!?あ…。各国要人って言うのは貴族様達の事だよ。彼、彼女らは元は他の国の王家なんだよ」



イワンは平然と言っているが俺はそんな話聞いたことがない。確かにどこか高貴な感じはあるのは知っていたがそんなに立場が上だとは思ってなかった。



「へ、へぇー。あいつが王様かスゲェなー」


「カルロス様は元々ここの国の王家だったから今も彼らの血族はここの王家を務めているんだ。他の国の王家にいきなり自国の政治を任せるのも嫌だろ?」



イワンは通常通りわかりやすく説明している。それ以外の騎士は「え?知らないの?」と驚くか呆れている。



「なるほど。理解した。で、そいつらは俺らの勝手で守れ、と。そんな事する暇があるんならその魔帝と神帝とか言う奴ら殴ればよくね?」


「あのな黒染め。お前の言いたい事もわからんでもないが相手を考えろ。勝てるわけがねぇ」



ケイルがほとほと呆れた様子で俺にそう言った。他の奴らも「馬鹿だろ」と鼻で笑ってくる。



「ふーん。んじゃ、俺はしっかり警備してろって事ね」



もう気まず過ぎてこの部屋から早く出たい。明らかに俺だけ場違いだ。

これならゆっくり可愛い子探しでもしとけばよかった。


俺はアレスに目で合図を送り早々と終わらせろと訴える。アレスはそれに気づくがスルーし、紙を一枚ずつ配り出した。



「これで最後だ。その紙には国の警備の当番表が書かれている。お前らは日替わりで警備隊の奴らと合同で門の外で警備してもらう。

あまり問題は起こすなよ?」



アレスは俺とシリウスに釘を刺して椅子から立ち上がる。そして「解散!」と彼が言って会議は終了した。






「水着回の優勝者は第一貴族マリー・ブルースだー!!!」



会議室から出て会場に着くと聞き慣れたローウェイの声が聞こえた。一日一つずつ競技は行われるので今日は終了である。


舞台の上を見るとマリーがお辞儀し他の候補者が拍手を送っている状況だった。別に俺は勝ち負けに興味は無い。ただ、穏やかな日々を送りたいだけだ。




時間は経ち今は夜の十時を回った。


さて、日中がイリス達の舞台なら俺の舞台は夜である。が、別に何かするわけでは無い。

国の外をジーっと眺めると言う暇人の極みだ。



「暇だー」


「黙れ異邦人」


「はぁ…、今度は誰だよ」


「俺は第二貴族騎士オーロンだ。異邦人、お前は我が主君の話を聞いたのだろ?なぜまだこの国にいる?」


「なぜって言われてもねぇ…。来たくて来たわけじゃねぇしな…。まぁ、異世界って場所に行きたかったのは正しいけど」



思えばスッカリ忘れていた。

ーー俺は誰の思惑でここに来ることになったんだ?

神様か?サマエルか?それとも帝の誰かか?


俺が持っている情報はハイヒールを履いていると言うことだけ。それ以外には全く無い。

それに加え動機すらもわからない。わからない事ばかりだ。



「なぁ、ローソン。悪い。一人にしてくれないか?別にうるさくはしねぇよ。あと、俺はこの国から出る気は微塵もないから。それは覚えとけ」


「ローソンではない!オーロンだ!…フン、好きにしろ」



オーロンはそれだけ言って前の護衛隊の奴らの下へと歩いて行った。



ーー久しぶりに今まであった事をまとめてみよう。

先ず、異世界にトリップされた理由。これは相変わらず不明である。動機としてよくアニメとかで出てるのは『世界を救うため』。これは王道だな。が、俺にそんな善良な心は無い。よってこれは成立しない。


次は異世界に飛ばした元凶のは誰かって話だ。簡潔に言おう。誰がやったとしても興味は無い。感謝はするが興味は持たない。裏の世界では当たり前の事だ。。下手に詮索を入れれば首と体がくっ付いてないなんて事よくあったしな。そんなわけで調べる気も無い。


さて、この国。いや、この世界は今のところ平和な世界だ。小さな小競り合いはまだあるが大きな戦争は無い。亜人戦争も世界的に見ればただの内乱だ。戦争とは言えない。

ならば、俺のゲームクリアの為にわざわざ戦争を起こすのもどうかと思う。


ーーー俺はこの世界で一生を終えたい。



これが俺の中で一番の願いだ。

向こうに戻る事で得れる利点なんて便利な機械が使えるってだけだ。後は欠点しかない。

死に方は何でもいい。まぁ、殺されてってのは嫌悪感を覚えるがそれも一つだろう。


讃えられるわけでもなく恨まれるわけでもない。ただ純粋にこの世界で生きたいだけである。



「・・・ん!おい!異邦人!」


「ッ!?何だよ!びっくりした」



耳元で大きな声で叫ばれ我に帰ると目の前に紫の瞳と黄色っぽい色の髪をした男がいた。



「今夜の務めは終わりだ。サッサと戻るぞ」


「ういうい。ふぅ…疲れた」


「何もしてないだろ?異邦人のくせに生意気だ」


「異邦人って言う人が異邦人なんですー」



異邦人呼ばわりにはもう飽き飽きだ。

間違ってはいないけど。



俺とオーロンはそのまま自室へと戻った。

俺が自室に入ると中に読書中のヘリスが座っていた。慌てて部屋のプレートを見直すがそこはオオガミ ライ様と書かれていた。



「あのー何してんすか?」


「ん?あ、おかえり。ちょっと私用で」


「私用?俺と?あの…率直に伺いますが夜這いではないですよね?」



シャロ、イリスと続いている状況の中で俺と私用。可能性はゼロではない。



「そうだったらどうする?」


「お断りさせてもらいます。」


「つれないなー。まぁ、二人にも断ってるらしいし当たり前か」


「全くです。それで?俺と私用とは?」



ホントにウチの女性陣は…。三人が三人共男に飢えてるの?

ラシエルだけは絶対に守らないと!



「そうそう。明日の競技なんだけどラー君に出てもらいたいの」


「競技?何の競技ですか?ってか、なんで?」


「競技内容はただの的当て。そして、理由はラー君が一番向いているからってこと」



的当て、つまりシューティングゲームだろう。基本銃ゲーしかやってない俺にそんな射的見たいなのが通用するとでも?何時間やってたと思うんだ?



「まぁ、どうせ魔法だろうからシャロは論外。そしてイリスとヘリスはぶった斬りかぶっ壊ししかできない脳筋だからこれも無理ってわけね」



ん?ロイテは?って?

ジジイが若者の大会に出るって誰得なんだよ。腐女子ならぬ老女子か?



「ん?ラー君何か言った?ぶった斬られたい?」



ロイテの事を考えてたら目の前の殺気に気づかなかった。


怖い、怖いから!


そんなわけで俺は明日のシューティングゲームに参加されることになった。



ーーー相手、弱いのがいいなぁ…。





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