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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第二章 亜人と人間
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第二十話 騒がしい帰路

俺達は地下から出て、放ったらかしにしていた馬と合流して一番近い村のバレシアに到着した。


俺が目覚めたのは夕方でそこから出発したのでバレシアに着いた時には外は真っ暗だった。簡単にゼン達に挨拶し行きしと同じ部屋でグッスリと深い眠りについた。


翌日、俺やイワンの体調はまだ疲れはあるものの殆ど完治した。なので族長から報告が入っているであろう亜人族の村々を訪れる事になり、今はその道中である。


亜人族の村と言っても大きく言えば街である。一つ一つの村の間に距離はあったとしても道は整備されていて、その周りは公共の遊び場のようなモノになっている。子供達が遊んでいたり、大人達が武器を持って狩に行こうとしているのが垣間見える。



「亜人族どうしで結構仲良いんだな…、俺の予想だったらずっと喧嘩してるもんだと思ってた」


「うん。確かにそんな時期もあったよ。けど、三代ぐらい前の族長達が同盟を結んで敵対関係はなくなったって聞いた」



俺の勝手な想像に対する綺麗な解答をラシエルが提出してくれた。



「ふぅーん。まぁ、その同盟内容は聞かないでおくよ」


「それはいい判断!」



同盟とか大きな事を言っているが、簡単に言えば「あいつウザいからいじめよーぜー!」みたいな感じだ。その「あいつ」は多分俺らの国のことだろう。



「小学生かよ…」


「けど、その考えも今回で終わりだと思う。ライお兄ちゃんが私達を救ってくれた。それだけで私達の英雄だよ」


「・・・英雄なんて俺には合わないな。結果としてお前らを救うことはできたけど、俺はあの場所に行き着くまでに多くの亜人族を殺した。だからそんな英雄って言われるのは少し嫌だな」


「なら、私の英雄なら文句ないでしょ?私の家族は誰一人殺されてない、私は助けてもらった。ほら?なんの縛りも無い!」


「最近の子は恐ろしいな…、いいよ、お前の英雄様になってやるよ」



俺はラシエルの髪を撫でてやる。なんでラシエルに懐かれてるのかはわからないかはが、特に嫌でもないし逆に嬉しいぐらいなので俺は何にも言わない。


無邪気に喜ぶラシエルを微笑ましく眺めていると、左後方から絶対零度にまで達する程の冷たい視線を感じる。理性は「やめとけ!」と叫んでいるのだが、ちょっとした好奇心にまけて俺はチラッと後ろを見てしまう。


俺の視線の先には・・・それはもう素晴らしくご立腹のシャロさんがいました。



「えっと…し、シャロさん?ど、どうかしましたか?」


「?なんでもないよー、別に怒ってたりはしてませんから!」



あぁ、怒ってらいらっしゃるようで。ここは早めに話題を変えないといけないな。



「ん?あ!あれが亜人族の村かー!スゲー!」



ちょうど道を抜けた先に柵で囲まれた大きな村を発見した。高い柵と後ろに大きな物見やぐら、柵の周りには堀があり戦国時代の小国のようである。入り口は一本の橋が設置されておりそこには屈強な亜人が二人いた。



「・・・襲われてはないのか?てっきり団長達が血眼になって探していると思ってたんだけどな」


「確かに団長達は亜人族の村の近くまでは行ったらしいね。けど、今から突撃と言う時に国から報告が入ったらしくとんぼ返りしたらしいよ」


「なるほどね。なら俺達の仕事はギリギリ間に合ったってことだな!」


「そうですね!シャロも頑張ったかいがありました!」


「あぁ!そうだな!・・・えっと…よしよし」


「ふふふ!」



俺が感心していると、シャロが「撫でて!撫でて!」と言わんばかりに頭を出してきたので渋々撫でてあげる。どんだけ幸せそうな顔すんだよ…。



「んじゃ!とりま中に入りますかー!」



俺達はそのまま検問を抜けて亜人族の村に入って行った。







亜人族の人から俺達は大いに歓迎された。広場に出ると店の店主から誘われ、戦士の人達に会うと手合わせをお願いされたりとどんちゃん騒ぎだった。


次から次へと誘われ、挑まれで完全に有名人である。何とか魔法で団長と連絡を取ることができ現在の状況を報告できたのだが、団長からは完全に呆れられた。


最後に「早く帰って来い」と言われたのだが、声がもう怒っていた。前みたいに笑って済ませれるような空気ではなかったと思う。






「グァー!疲れたー!」


「お疲れ様、大変そうだったね」


「イワン!お前!手合わせ全部俺に擦りつけやがって!許さねーからな!」


「仕方ないじゃないか、僕にだって一番隊隊長としての責務があるからね。それにライだって楽しそうに受けてたじゃないか?」


「あ、アレは楽しんでたと言うか流してたと言うか…そ、そんなことより仕事って何だ?」


「認めなよ…。僕の仕事は新たに亜人族と条約を結ぶ事だよ。こんな戦争はもう懲り懲りだからね」


「ふーん。団長も結構考えてるんだな」


「はは、それは失礼だと思うよ?」


「お前も笑ってんじゃねぇか。ま、これで一件落着だな。そういやお前夕飯まだだろ?どっか食いに行こうぜ!」


「中々ライも考えてるんだね。いいよ、行こうか!」


「テメェ!コラ!逃げるな!」



俺達は夕飯を食べに部屋から出た。夕食と言っても殆どハシゴの旅のようなものだったのだがとても楽しめた。酒は飲んでないからな、その辺はちゃんと守るつもりだ。





翌朝、俺達は朝食を食べ終え王都に帰る準備をしていた。いくつかお土産を回収して俺達四人は亜人族の村を出発した。



「ん?四人?」



俺とイワンとシャロと・・・ラシエル!?人数確認してみると一人多い事に気付いた。当の本人は全く気付かないフリをしているがバレバレである。


今の馬での配置は俺とイワンが一頭、シャロとその後ろにチョコンとラシエルが座ってる。俺はイワンに少しスピードを落としてもらいシャロ達と並走する状態になる。


俺はシャロの後ろで座っているラシエルの頭を鷲掴みにする。



「うわーー!?ライお兄ちゃん!?やめてー!!頭が!!」


「お前は何でちゃっかり座ってんだよ?目をそらすな!」


「あ、見つかったんだラシエル。絶対バレない!って言ってたのに」


「お前も止めろよシャロ!」


「ライ君が心配している事は大丈夫だよ。昨日の夜にロイテに頼んでおいたから」



ロイテの爺さんか…いくら報告するにしてもあの人じゃイリス達は説得できないだろ。



「ってことで大丈夫だから!これからよろしくねお、に、い、ちゃ、ん!!」



来るな!俺のロリコンスキル!俺のスロットに勝手に入ろうとするな!



「おいシャロ、お前もイリスを説得するの頼んだぞ?」


「え?それは無理、ライ君じゃなきゃ多分、了解出さないよ?」



グダッと俺はうなだれる。シャロにはイリスをいじる事はできても説得は無理だった事を思い出す。


俺はこれからの予定と作戦を練りをブツブツ言って考えながら王都を目指した。


















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