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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第一章 黒髪黒瞳の憂鬱
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第三話 トルエノ家での生活 上

「な、何でこうなったのよ….」


木々がざわめき、太陽の光が全く入って来ない深い密林の奥。そこで金髪碧眼の少女━━━━イリス・トルエノは嘆く。確か昨日は彼を家に招いただけだったような……と、思い返してみるが理由は一つしかない。



「あいつ、絶対あいつが悪い」



彼女が言う「あいつ」とは、今彼女の目の前で手に持っている地図をクルクルと回す少年。髪は黒色、身長は175ぐらい。顔は黒目で普通。うん、普通。



「どうしよイリス!!地図見てたけど、さっきのでわかんなくなっちまった!!」



もう我慢の限界だ。ここに来る前から散々我慢してきたが、そろそろ発散しても文句はないだろう。さ、始めよ。



「『黒雲は 雷を轟かし 我が矢に雷光の力を与えん』」



右手を伸ばし魔法を展開する。現れた魔法陣が弓矢の形へと変化する。そしてバリバリと鳴る弦を引き、標準を敵に設定する。



「………ふぇ?!ちょ、ちょっと待ってくれ!!いや俺が悪いのは確かだけどさ、それはちょっとやり過ぎだ「くたばれ」マホウダメッ!!」



彼は紙一重で躱すがその反動で地面に叩きつけられる。イリスはザマァwwwと言った顔をしてライを見下した。



これも何も全てが昨日の私の行動のせいだ。助けてもらったことに関しては感謝している。だが、ここまで酷くなるとは思わなかった。昨日の自分を戒めながら、起き上がる彼の元へと歩を進めた。











ーー




━━━━時は昨日の夕刻へと巻き戻る。




「んで、何で俺を助けたわけ?まぁ感謝はするけどな」


「そうね。端的に言って私はライが死のうが生きようがどっちでも良かったわ。別に深い意味は無いわ」


「ンダそれ。素直じゃねぇな」


「貸し一つね」


「ちょ、ちょっと待てって!俺が先にお前を助けただろ?貸し借り0じゃねぇか!」


「チッ記憶力のいいヤツめ・・・」


「おいおい……。それで?俺は何処に連れてかれるんだ?」


そう俺達は今、王都とは反対側の方へ馬車で向かっている。疑問の解消も兼ねて俺は携帯で今の時間を確認した。召喚されたさいにタイムラグでもない限り今は午後六時、そろそろ晩御飯の時間だ。そのまま色々とできるできないの区別を慣れた手つきで選別していると、不思議そうな顔をしたイリスが聞いてきた。



「そのライが使ってるものって何なの?魔道具?あなた何処から来たの?」



まぁ、お約束のパターンだな。さてどこにしようか。ワノ国でもいいし、黄金の国ジパングでもいいだろうな。今思ったんだけどジパングって何かカッコよくね?



「あぁこれはスマホってやつで俺らの地元の……色んな事ができるもんだ。んで、その地元ってのはずっと東の方にある島国だよ。これ以外にも色々あってまぁ便利なのは便利な所だよ」


「すまほ?へぇー島国、島国……島国って言った?!ライってもしかして『世界の地図』の端っこから来たの?!」


「そんな驚かなくてもいいだろ。その世界の地図ってのが何かは知らねぇけど、多分それで合ってると思うぜ」



彼女は怪訝な様子でほーとかへーとか言いながらスマホを除いてくる。俺はカメラのアイコンをタッチし、内カメラで彼女の顔を撮影した。画面の中に自分が映ったことに対し、彼女はひゃっと驚きの声を上げる。そして自分の変な声を聞かれ、顔を真っ赤にする彼女はコホンっと咳を一つ挟み一番初めの質問に答えてくれた。



「ふーん、よくわかんないけど凄いってのは伝わったわ。今から行く所は私の家よ。もう少し行った所にあるから我慢しなさい」


「いや俺は子供かよ」



などと軽口を交わしながら馬車は彼女の家を目指す。そろそろね、と彼女が言ったすぐ後に馬車はゆっくりと速度を落とし停車した。俺とイリスは扉を開けて馬車から降りる。そこで俺は声も出なかった。目の前には街で見たあの大きな城に引きも劣りもしない大きな豪邸が建っていた。



「お帰りなさいませイリス様。?そのお連れの方は?」


「ただいまロイテ、帰るのが予定より遅くてごめんね。それでこの子は私の恩人・・・いやバカだわ」


「言い直すなよ!そしてその顔止めろ!」



してやったりという顔をして俺を見るイリスにツッコミを入れる。そのまま愚痴の一つや二つを溢そうとしたが、目の前にいる白髪の老人から滲み出る殺気を感じすぐにおし黙る。視線をロイテと呼ばれた老人に向け、静かに睨む。アレは異常だ、本能がそれを察知し警戒態勢に入る。研鑽され過ぎた殺気━━━━幾多の死線を乗り越え、それでもまだ戦場へと身を投じる男の気。今の時代じゃ考えられないほどのモノだ。僅かな静寂が訪れ、場の空気が静かになる。イリスはため息を一つ零し、右手を上げて老人を宥めた。



「彼はまだここに来たばかりだから、住む場所がないの。だからね、うちに泊めさせてあげられないかな?」


「・・・いえ、ダメですイリス様。彼の容姿はあの一団と同じ。本当に信用できるかわかりません」


が、彼女の意向も否定される。ロイテはその剣幕な表情のままイリスを見つめ、最後の答えを待った。しかし、イリスは一つ息を挟むと先ほどと変わりない答えをもう一度提示した。



「確かに見た目はあの一団と同じかもしれないけれど、絶対に違うわ。もし仮にそうだとしたらライは仲間を裏切った事になるわ。あの集団が仲間を裏切ると思う?」


「わかりました。至急客室を一つ手配します。イリス様は先に中へ」



そう言って深々とお辞儀しイリスに敬意を示す。ロイテの横を彼女は躊躇いなく通り、開いた扉の中へと姿を消して行った。彼女の足音が聞こえなくなると同時にロイテは口を開く。



「貴様本当に何者だ?もしも『サマエルの傀儡』ならここで肉片へと変われ」


「はは、怖いこと言うなよロイテさん。確かにあんたの言い分はわかるが、人を見た目で判断するのは良くないぜ。イリスの言う通り俺は全くそいつらと関係ない。俺はあんた達の味方の人間だ」



そう言ってロイテを宥める。ロイテは渋々その意見を聞き入れ、失礼しましたとだけ言ってこの場を去った。彼が去り際にポツリと呟いた言葉は、彼以外の耳に入ることは無かった。











ーー




「はぁー疲れたー!!ウグッ!あっすげーふかふかだ、このベッド!久し振りだなー」



と、部屋に着き早々ベッドに飛び込む。昔の頃を思い出しながら、マントを外しコートを脱ぐ。そのまま腰に巻いてあるカバンも外した。ちょっとした思いつきで、カバンのチャックを開く。



「さぁ、持ち物チェックだ。何があるかな?えぇと携帯、財布………中は3500円か。どうせ使えないだろうけど。次に充電器と鍵、まぁこれも要らないだろ。あとは、ハンカチとティッシュか・・・」



簡単に持ち物チェックをしていると、コンコンとノックの音が聞こえた。はーいと返事をするとロイテが夕食の支度ができたから、すぐに来てほしいと言われた。俺は軽く持ち物を整理してから外に出る。無人の廊下を通り広間へと到着すると、イリスが不満そうな顔でこっちを見て来た。



「遅い!女の子を待たせるなんてやっぱり最低ね」


「いや、すぐ来たんですけど?もしかして、お腹空いてて我慢できなかったとかじゃねぇだろうな?」



そう冗談のつもりで言ったのだが、イリスからはマジ殺すって目で睨まれるた。ロイテからはなぜか殺気が出てるし……駄目だこりゃ。



「ま、まぁ食べようぜ!いただきます。…………ん?むっちゃうめー!星貰えるレベルだぞコレ!!なぁイリス、この料理誰が作ったんだ?」



目の前にある豪華な食卓を見て、彼女らの視線を無視して手をつける。すると思っていた以上に美味しくて驚きを隠せない。イリスも嬉しそうに聞いている。そんな彼女を見て、お前が作ったわけではないだろ?と顔で訴えてみたのだが、難なく理解されたらしく笑ってない笑みが帰って来た。



「この料理はうちの使用人のシャロが作ったの。今は厨房に居るからすぐには会えないけどね」


「そっか、会ってみたいなーその子に。あっそういえば俺って今どんな状況なの?罪人とか言ってたけど」


「うーんどうなんだろ?罪人……いや多分今は奴隷かな?そうだよね、ロイテ?」


「はい、イリス様。どのような状況で彼を連れて来たのか存じませんが、その回答で正解だと思います」



ん?俺って今奴隷なの?コイツの?絶対に嫌なんですけど!それなら世紀末迎えた方がいいわ。異世界来て奴隷って、神様は何してんだよ!!俺Tueeeeキャラにしてくれないの!?



「ホントに俺、奴隷なの?マジで?なんか脱出するチャンスとかは?」


「その『ちゃんす』ってのはよくわからないけど、その身分を脱出する方法ならあるわよ。二つぐらい……


「なんだよ二つもあるのか、焦らすなっての。で、その二つって何?」


「一つは死ぬことね。そしてもう一つは、あと3週間後にある奴隷同士の決闘大会で優勝することよ」



と、彼女は何食わぬ顔でそう言った。奴隷の男は目を丸くし驚愕した。奴隷と言う身分がどれほどの物なのかは考えなくともわかる。だが幾ら何でもローマのコロシアムじゃないんだから決闘って………。



「いや、ちょっと待て!死ぬか大会で優勝するだ?そんな厳しいの誰がやるんだよ!決闘大会なんて10人揃えば万々歳だろ!」


「?何を勝手に慌ててるのよ。出れるのは貴族の奴隷だけよ。だから…丁度九人ってとこかしら。まぁ去年まで八人だったけどね。でも、大丈夫よ。ライが思っているより相手はそんな強くないしね。あんたなら余裕でしょ。保証はないけど」


「八とか九とか何か意味あんのか?」


「えぇ。この国の貴族は全員で十人。だから出場する奴隷も本当は十人なんだけど去年まで私と王子は奴隷が居なかったからね。多分今年も王子は棄権すると思うわ。けど、私は今年あんたを出すから、ね」


「そっかなんか悪いな……。奴隷を持たないとか、貴族にしては珍しいし。この国は一応平和な国なのか」


「構わないわ。ライは私を助けてくれた、だからその恩返しなだけよ。ぁり…」


「ん?なんか言ったか?」


「なんでもないわ!早く食べましょ」



そう言って彼女はちゃっちゃとご飯を食べ始める。俺は頭の上に?を出していたが、すぐにご飯を食べることに切り替えた。







夕食が終わり俺は自室に帰って来た。今日は色々あったな……異世界に召喚されるし変な奴らと間違われるし災難ばっかしだ、と愚痴を呟く。



「異世界に連れてこられた上に、美少女の存在はなし。嫌われ者の役を押し付けられた挙句奴隷スタート。嬉しいのか悲しいのかわかんねぇ」



今日あった事を整理し布団に潜る。明日は何をしようか、そんな事を考えてたら深い眠りに誘われて━━━━━━━











ーー



暗くジメジメした密林の中。フードを被った男が静かに月を眺めている。すると両手を広げて、歓喜に満ちた声で叫んだ。



「やっと見つけたよイリス!これでまた君に会える。あと少しの辛抱だ。そしたら、君が僕に会いに来てくれる。・・・・やっと会えるよ僕の花嫁ッ!!!」



男はフードを外し夜空を見る。月の明かりによって照らされた男は、長い黒髪で目に傷が入っていて盲目だった。



大神 雷のプロフィール!


1、名前 大神 雷 (おおがみ らい)

2、性別 男

4、誕生日 6月26日

5、髪・瞳の色 黒

6、顔面偏差値 60〜70(自称)

7、体格 中肉中背 身長は180前半

8、その他 剣道6段など。また、ほとんどの

事は容易く行える。普通ならチート

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