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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第二章 亜人と人間
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第十話 他人から見た自分

ハーピーどもを肉片へと変貌させ、血を川の水で洗い二人に追いつくため馬を走らせた。


国を出てから僅か3時間も満たない内にライのキル数は50を超えた。イワンのも合わせると七、八十に値する。ライ自身に殺めた事による後ろめたい気持ちはない。



「なんも変わって無いもんな…。これで俺も殺人鬼入りか?」


「さぁ?まぁ、人間の心を持ってたら違うんじゃない?」


「なら、ライは殺人鬼入りだね。」


「なんでだよ!俺の心は人間だよ!闇落ちしてないから!」


「けど、ライが戦っているときは獣みたいだよ?」


「うるせぇよ!見る人が悪いんだよ!」


「はいはい。喧嘩はおわりー!早く行かないと敵に見つかるよ!」


「シャロも反論しろよ!」


「ライ君は変わってます。はい!行こう!」


「解せぬ!!」



バカな会話を終え、馬に乗って先へ進む。途中で昼飯を食べて休憩し、一番近い村を目指して馬を進めた。


村の名前はバレシア。大きな村ではないが、宿舎や売店など充実しているらしい。旅人の人には人気な村らしい。


村は俺達を歓迎してくれた。宿屋の場所を教えてくれたり、この村の特産物をくれたりと優しくしてもらった。


日が暮れ夜になると魔獣の動きが活発になる。どの村にも結界が張られていて魔獣が入ってくる心配はないのだが、ここで変な襲撃に遭っても困るので俺は見回りに出た。


見回りをしていると、この村の村長であるゼンというお爺さんと出会った。彼は俺が見回りをしている事に気付き終わるまだ付き合うと言った。



「ライ殿。そなたはとても若く見えますが、いくらなんですか?」


「17かな。まぁ、年齢詐欺みたいなもんだけど。」


「17ですか。まだまだこれからですな。ウチの孫にもあなたのような立派な人間になってもらいたいですな。」


「俺が立派なら頑張って下さいって言えたんだが、生憎立派じゃないからどうも言えねぇよ。」


「ご謙遜を。騎士の身分であるのですから、もっと自信を持ってみたらいいですよ。」


「頑張ってみます。多分用が終わって帰って来る時もこの村にはお世話になると思いますんでよろしくお願いします。」


「わかりました。待っていますよ。」


「はい。・・・見回りも終わったので俺は宿屋に戻ります。お休みなさい。」


「ありがとうございます。はい、お休みなさい。」



宿屋に戻り自分の部屋に帰る。部屋割りは俺とイワンで一室、シャロが一人で一室だ。イワンは寝ているだろうから寝顔でも写真撮ってやろうと思っていたら、部屋の中にはパッチリと目が開いているイワンがいた。



「・・・起きてたのかよ。」


「流石にライが見回りをしていると言うのに寝るわけにはいかないからね。お疲れ様、どうだい?少し話そうじゃないか?」


「眠いから無理。」


「即答!少しだけでいいから!お願い!」


「わかったよ、少しだけだからな。」


「やったー!ねぇ、ライk…ライはどうして騎士になろうと思ったんだい?」


「・・・・。なんだろうな、カルロスになれって言われたのもあるけど…俺に聖職は向かないしサービス業も無理だと思ったからかな。手が真っ赤な奴の物なんて買わないだろ?俺には汚れ作業が似合ってる。」


「騎士なんて言わば子供達の憧れの職だよ?それを汚れ作業って言ったら子供全員を敵に回したね。」


「それはあいつらが知らないからだろ?人を殺す事を知らない純粋な心の持ち主なんだ、汚したらいけない。」


「ふぅん。良いこと言うね。ライk…ライの手は汚れてないよ。自分の激情に流されて剣を振るっているわけじゃないんだから。」


「まぁ、そう言われればそうだけど。殺した奴には帰りを待つ家族だっていたはずだ。理由は何であれ俺はその願いを潰したのだから俺の手は汚れてる。そうだろ?シャロ。」


「え?え?何を言っているんだい!ライ君!・・あ…。」



イワンの体が白く光ってグニャグニャになった。そして、その中からシャロが出てき舌を出して反省アピールをしてくる。



「ちゃんと俺の部屋に入ったんだけどな。なんでシャロがいるんだ?」


「ん。ライ君が見回りに行っている間にイワン様に言って部屋を交換してもらった。」


「なんて言ったんだよ?あいつがそんな簡単に信用するか?」


「少しベッドが気に入らないって言ったら…女の子は大変だねって言って変わってくれた。」


「おい、そん時のあいつの顔を教えてくれ!呆れてたか?」


「うん。ライには私が言っとくって言ったし。」


「ふぅ。なら、明日は安全だな。」



あの野郎の勘が鋭くなくてホッとした。明日の朝に「昨日の夜は・・・・」とか言われたら俺の社会的地位が死んじまう。そんな気持ちはないけど。



「それで?何の用だよ?態々こんな事までして言いたい事があるんだろ?」


「ねぇライ君。シャロの事そんな気使わなくて大丈夫だよ。ちゃんと戦える。相手が鬼だとしても。」


「そっか。けど、俺とイワンがいる時にあんまり武器を持って欲しくないだよな。お前は女の子、なら愛嬌が優先だろ?」


「・・・・・」


「確かにお前は戦える。けど、それは戦って傷つけられていいとは言ってない。傷つくのは俺だけで十分だからさ。これはお前だけじゃなくイリス達にも言える。お前らには俺が戦う為の動機になってくれればいい。」


「それは…。」


「あぁ。戦闘は俺が命を賭して戦う。だから、お前らはゆっくり飯でも作っといてくれよ。俺が食べに帰るから。」


「わかった!待ってるから!」


「あぁ!待っといてくれ。」


「ねぇライ君。・・・・・襲ってもいい?」


「駄目だ。」


「イタイ!イタイ!あぁーー!!」




いきなりなんて事を言いだすんだコイツは。何も考えずシャロの頭を鷲掴みにしてそのまま握る。

悲鳴をあげている彼女をそのまま横にし、上から掛け布団を掛けて寝かせる。



「明日ちゃんと起きろよ!おやすみ。」


「フグッ!お休みなさい。」



落ちてあった枕を上から抑えつけてから部屋を出る。早く部屋に帰らないとどっかのホモに怪しまれる。



隣の部屋に入りイワンが寝ている事を確認して俺もベッドに入った。







翌朝、俺達はいつも通りに起きて朝食を食べ馬に乗ってゴラド王国へ向かった。



そこからの道は比較的安全に進む事ができた。けれど問題はあった。ゴラド王国へ向かうためにはいくつか関門を通らなくてはならず毎回遠回りに進まなくてはならなくなった。


俺とシャロだけなら問題なく通れたのだがイワンが物凄く邪魔だ。王国騎士団は伊達ではなく大抵の人は知っているらしい。だから、関門なんぞにその一番隊隊長を突っ込んだりしたら自分の国を取りに来たのかと争いになる。


魔法も効かない特殊な鏡で見ているらしく誤魔化す事も出来ないので獣道を通って行くしかなかった。



「よしゃあ!着いた!ゴラド王国!!」


「ハァ、ハァ。なんでライ君はそんなに元気なのよ!」


「ホントだよ。どこにそんな元気があるのやら。」


「なんか湧いてくんだろ?」


「「この化け物め!!」」








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