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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第二章 亜人と人間
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第九話 腑抜けた戦闘

「あー疲れた。・・・それにしてもよくあんな短時間でこんな洞窟見つけたな。」


「いや、走っていたら偶々見つけただけだよ。敵が潜伏しているかと心配したが誰も居なかったからね。」


「さて、敵は引き返したし安全だろ。そろそろ行くか?」


「そうだね。ここも戦場になるだろうから敵に見つかる可能性もありうる。早めに場所を変えた方が得策だろう。」


「そういや、このメンツだと回復役は誰がするんだ?俺の弾に回復弾はないぞ?」



回復役、つまりヒーラーは戦闘では必須なメンバーだ。普通なら包帯や痛み止めのような粗末な回復薬しか持ってはいけないが、魔法なら別だ。瞬時に傷を治してくれるから即死攻撃以外なら命を保つ事ぐらいならできなくはない。



「シャロは魔法は苦手だろ?俺は論外でイワンは・・・・」


「僕も魔法は苦手としているからちょっと…。」


「おい…。これじゃあ誰が回復してくれんの!?怪我したら終わりでみんな頑張れ!」


「シャロは少しぐらいならできます。けど、ちょっとした擦り傷ぐらいしか治せません。」


「まぁ、なんとかなるだろ。シャロを後衛として俺とイワンが適当に前で前衛をする。後ろから敵が来た場合は、シャロが少しの間持ち堪えている間にどっちかが加勢に行く。これでいいか?因みに異論は認めないから。」


「勿論異論は無い。その作戦でいいだろう。」


「了解しました。疲れたら交代します!」


「よし!それじゃ行こうぜ!」



洞窟を出て、イワンは一人で俺とシャロは二人乗りで馬に乗る。俺の馬はいつの間にかどっか行ってた。ま、乗る人がいきなり目の前で首切ってたらそら逃げるわな。


今からは森を抜けた先にある整備された道路。確かその道路は国と国を結ぶ大切な道路とか言っていたから、国道みたいなものだろう。


洞窟から出て数分程経った頃、前方からさっきとは別の部隊を確認した。今度はイワンが先頭を切り駆け込んで行き、あっさりと壊滅させた。



「綺麗な戦い方だな。俺みたいな我流とは天地の差だ。確実に命を刈り取って行ってる。」


「そらそうだよ。イワン様の異名は聖神。あんな程度じゃやられるわけがない。」


「へぇー。聖神か…。俺も欲しいな!そんなカッコいい二つ名!なんて名前が付くかなー。厨二までは行かず、ダサくもない名前!」


「とても素晴らしい名前が付くと思いますよ!何せあんなにカッコよく敵を倒してたんだから!」


「いやー照れるな!あ、森抜けたんじゃね?」


「そうみたいですね!ここからは見晴らしがいいので敵に見つかる危険が高くなります!注意して下さい!!」


「あぁ。了解した!ライも気をつけろよ!」


「名指しなのが解せないんですけど!!?あ、アレが言ってた道か?」


「そうです!あそこまで行けば行商人のフリができるのでそこからは簡単です!」



森を抜け、一気に視界が明るくなり少し目を細める。目が白黒するのを何とか我慢して辺りを見回してみると大きめの道路が奥に小さくあった。敵のような人影は見つからず安全に進めそうだ。



「人影はない、か。逆に違和感が働くな。見かけたのは二部隊。両方が武器置いて逃げ去ったから後ろの奴らも驚いて逃げたとか?」


「それもあるかもね。けど、幾ら何でもあれは戦い慣れしていない気がする。あまりにも弱腰だったね。」


「そうか?そりゃあ相手が聖神様だったらそうだろうけど、俺みたいな名前無しが暴れても襲って来たぞ?」


「けれど、ライ君が蹂躙していたら逃げたんでしょ?敵さん。」


「蹂躙とか女の子が言う言葉じゃないよ!?確かに正しいけど…。」


「ん?アレなんだ?」



俺は地面に映る不審な影に気づき二人に問いかける。俺の指の先には羽を広げて空を飛んでいる人間がいた。



「人面鳥かよ。この世界なんでもいるな!」


「あ、アレはハーピー!!戦闘力はあんまり無いけど、空中戦が奴らの十八番だから気をつけて!!」


「クッ!ここに来て魔法の力が欲しくなるとは!」


「なら、イワンはシャロを頼む。ここは俺が引き受ける!俺を置いて先に行け!!・・・やっぱり正直言ってみると恥ずかしいな。」


「了解した!先で待っている!」


「カッコいい……。は、はい!了解です!」



シャロはそう言って器用に馬を止めながらイワンの馬へと飛び移る。俺は止まった馬から降り、二人を見送る。そして、ハクロウを取り出し上空に向ける。先頭を飛んでいる奴に狙いを定め、撃つ。



「人間が鳥に対抗するために産んだ手段で、テメェら全滅させてやるよ!!!」


バァンと音がし、先頭を飛んでいた人面鳥に炎の弾が直撃する。周りの奴らは何が起こったのか理解できずホバリングを初めて慌て出す。そして、もう一発今度は集まっている中心の奴を狙い撃ち落とす。



「ハーピーでも人間と同じだな。リーダーがやられれば次は一番力のある奴のところに集まる。その辺の子供でも知ってる常識だ。だから、頭狙えば後は何しても構わない。」



先頭を飛んでいた奴は死んだみたいだが、中心の奴は何とか生きているらしい。まだ空中で飛んでいる。そして、俺の方へ指をさし「全員突撃!」と命令した。


全部で30。それぞれが剣や槍、薙刀などを足で持っていて抜刀して襲って来る。ハクロウをシリンダーを器用に回し、魔法の能力を変えていく。これをすることで魔法で封殺される事が出来なくなる為こちらが有利になる。


辺に距離を取られると困るので十発ほど撃ち、一体を蜂の巣にする。そして、その亡骸を踏み台にしグローボを抜刀する。二十体が前衛、十体が後衛とバランスは取れているが鬼や巨人に比べると一発の重みが違う。それに魔法もエルフの方が強力だった。



「テメェ!傀儡かえ!ならば昔の恨みも込めてここで打ち倒すえ!!」


「チッ!だから俺を一緒にすんな!!オラァ!」



薙刀を構えたハーピーを突進して突き飛ばす、そしてその流れのまま体を半分に斬り落とす。


体から鮮血が溢れ出し真っ赤な噴水が巻き起こる。そんな状況も無視して左手でハクロウを操り左右のハーピーに雷魔法を撃ち込む。この銃は連射が可能なので周りに乱射する。頭に当たり即死する奴もいれば腕に当たり剣を落とす者もいる。


即死した奴をまた踏み台にして、また上がりまだ反撃の意思がある奴らから順に腕、脚、上半身、首と斬り落としていく。流石に羽を斬られたら飛べないらしく落下していくので、仰け反った体を盛大に一閃する。


血飛沫が上がり、地面にザーザーと雨のように落ちていく。俺はその雨を浴びながら顔と服を真っ赤に染めていく。


突っ込んできた二十体の半分を瞬殺し、ハクロウの魔法を炎にし撃ち続けることによって空中に浮いている。



「死にたくなかったらサッサと兵を引きやがれ!さもないと全員明日は無いぞ?」


「傀儡の癖に生意気言いやがるえ!異常者が!!死に晒すえ!!!」


「言いたい放題言いやがって!待つのはやめだ!テメェら全員首出せ地面に叩きつけてやる!」


「死ねぇぇぇぇぇええええええ!!!!」


「テメェらに殺される程俺の首は安くねぇよ!」



十人が一斉に俺を刺し殺しに来た。剣先が刺さる前に炎を消し落下する。上ではお互いを刺しあって仲良く輪になっている。血がダラダラと落ちて来るが無視して、後衛の方へ向かう。向こうではリーダーの治療に専念していてこちらの事を見る気もない。



「あいつら、ホントに戦う気あんのか?」



俺はポケットから新たな弾を一つ取り出し、水の弾と交換する。そして、シリンダーを回し一番上に持ってくる。ハクロウを玉になっている所へ向け問答無用で撃つ。



「爆ぜろ。」



ライはそれだけ言って引き金を引いた。すると弾はいつものように弾丸ではなく、サッカーボール程の大きさに膨れ上がった火球であった。


何人かは逃げようと努力したが、弾の速度は変わらない。直撃し爆発した。青空の下、赤い爆炎と真っ黒の煙が上がった。



「ふぅ。片付いた。よし、そろそろ行くか!」



ライは降り立ち、草を食べながらのんびりしている馬に乗りシャロ達の後を追った。














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