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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第七章 真実と嘘でできた世界
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第四十三話 終焉

……何故三つも同じのが投稿されているのやら。

すみません、多分どれも同じです。

三つの内好きなのを選んで下さい笑(○ケモンかよ)

暗い廊下に太陽の光が差し込む。松明の光では到底表せない明るい光。それを見てここが出口なのだと理解した。

隣を歩くイリスは急ぎ足で階段を登り、出口を目指す。俺はそんな彼女の様子を後ろから微笑ましく眺めながら、ロイテに肩を貸して彼女の後を追う。



「━━━━━━━━」



外へと辿り着いたイリスは何も言わず、ただ見つめた。しかし、それが今この光景を表すには十分足りる物だろう。無論、俺もロイテも彼女と同じ態度だ。

━━━━火は地獄の如く燃え盛り、倒れる尸の数は無限に等しい。手っ取り早く「ここは地獄です」と叫んだ方が早い気さえする。それほどまでに、ここを人間が住む地だとは言えない現状だった。

あちこちで人の雄叫びが聞こえる。その雄叫びも残すのは血と動くことのない肉の塊のみ。

笑えて来る。ここまでして何が世界を治めるだ。ただの虐殺王にしか成り下がらない。神と言う名の悪魔がやろうとしているのは、正に虐殺。神からの虐殺だ。



「人の事言える口じゃねぇが、あの野郎相当イかれて来やがったな」


「ん、そうみたいね。……ライ、私の騎士らしく盛大に綺麗にこの戦いを終わらせなさい」



彼女は、イリス・トルエノはそう命を出す。

久しぶりに命令された気がした。否、多分そうだろう。彼女は貴族だが、人の上に立つ事が嫌いだ。彼女が奴隷を、騎士を持たなかったのはそれが理由だ。

なぜ嫌うか。そんなのは後で当人の口から聞けばいいだけのこと。俺と似たり寄ったりの道を通って来たんだろう。答えた道は全く違うかったとしても、そこへ辿る過程は似ている。



「━━━━━承りました、イリス様。これより騎士オオガミライ、命を賭してこの戦いを終わらせに参ります」



なぜか異様なまでに体がムズムズする。心意気は変わっても、やはり恥ずかしさとやらは抜けきれないらしい。スゲー気持ち悪い。



「はい。いってらっしゃい」


「おう、行ってくる」



少年は洞窟の中から足を一歩踏み出す。目前の門を両手で開け、戦場へと参った。

焦げた物の匂いが終始続いている。何が焦げたのか、そんな事を考えている暇はない。敵の場所は、嬉しいほどにデカデカと見えている。『神の軍勢』、その全軍の大きさは大名行列の比でないほどの長さと量だ。

今正にこらから虐殺を始めようとする頃だろう。ベリアがどれだけ持ち堪えていれるか、望みとしてはそれが最後になる。


そして俺は乾いた地面を蹴った。



ーー


屋根瓦を蹴り、速度を緩めないまま音を、気配を消して前へと進む。瞬間、光の球が目の前で弾けた。

攻撃、にしては目眩しの割に光が弱い。その上、攻撃もして来ない。流れ弾か?考えがそっちの方へ行った辺りで声が聞こえて来た。



「やぁ、オオガミライ。私の事覚えてる?」



現れたのは一人の女性。少女と呼ぶには少し大人で、おばさんと呼ぶには若い微妙な年齢の女性━━━━リリィだ。

紫っぽい髪をクルクルと指で弄りながら、リリィは不敵な笑みを浮かべる。



「覚えてる、とだけは言っておこうか」



正直な感想では、リリィは中々疑わしい部類に入る。カロほどではないが、詐欺師としては多分俺の中で上位に入るだろう。

どこから騙されているかわからない。ベリアではなく、リリィが堕帝って線も浮上するぐらいだ。そして、俺を生き返らせたかもしれない人物として堂々の一位に入る。



「そんな怖い目で見ないでよ。今は戦争中でしょ?ほら、大将首が目の前に……」


「わーってるよ、んなことは。だから警戒してんだろーが、お前が今この場で俺の前に現れるから」


「私がこの場に現れた理由なんて簡単な事。山場でネタばらしをするような趣味じゃないし、手短に応援とでも言っておこうかな?」



何のネタばらしなのかを聞きたいのだが、多分問い詰めても求めている答えは帰って来ないだろう。

そこまで俺の思考を読み取った上で、リリィは優しい笑みを浮かべながら手を差し出した。その華奢な手に握られるのは小さな石が一つ。青と赤にユラユラと模様が揺れる石だ。



「……んだ、これ?」


「さぁ?自分で考えるのも大事だよ?」


「最後の最後まで使えねぇな、おい!」


「私の力は随時君に使われてるから。これは軽いハンデみたいなものよ」



使えねぇのか使えるのかわからない。なぜこんなに中性的な奴が多いんだよ、ホント。

だがまぁ、このタイミングで渡してくる物だ。そう安々とゴミになる物じゃないだろ。信用ねぇけど。



「とりあえずは感謝する」


「そんな礼でいいの〜?後で後悔するかもよ?」


「はっ!後悔なんざ山のように積んでるってんだよ!!今更テメェへの後悔ぐらいでグダグタやってられっかよ」



寧ろ今後悔なんてし始めれば、多分あと一年くらいはあの洞窟に籠らないといけなくなる。そん時にはもう地上は滅びてるってんだよ。



「……んじゃまぁ、あんたの夫を助けに行ってくるよ」


「ん、ありがと」



彼女は照れ臭そうにそう答えた。ちょっと、ほんのちょっとだけ彼女が恋多き少女に見えた。気がした。

少年は足早にこの場を去って行った。あとは彼に任せれば全ては終わるだろう。彼は刀を抜き、構える。

あぁ、あの子が彼を思う気持ちが少しばかりわかった気がする。あの背中、ホントそっくりだ。いつもはちゃらんぽらんな彼らも、あぁやって戦う場となった時の頼もしさ。



「やっと君を理解できた気がするよ、改変者」




ーー



地面を蹴り、宙に浮きローボを振り下ろす。

真っ二つとはいかないが、神の手首は血で濡れた。

神にも真っ赤な血が流れているのか、などと感心していると左回し蹴りが俺の頭を掠める。



「ッ!!ラァァァイッッッ!!!」


「おいおい、とうとうヤンデレ方面に行っちゃったのお前?!」



いや、今のカロに今までのカロという存在はいない。操られている、とは少し違う。どちらかと言うと暴走に似た形だ。

そう、暴走。誰かさんもした暴走だ。



「ようやく来たみたいだな、改変者」


「来たのは良いけど、今すぐ帰りたいんですが?」


「いいね、そうしようか。僕は帰るから後は任せたよ」


「おい、なんで帰るのがお前なんだよ」



寧ろ二人とも帰った方がいいんじゃないか?まぁ、帰った瞬間アイツが追っかけてくるのは目に見えているんだが。リリィから貰った石をハクロウの魔石と交換する。

あとはリリィを恨むか拝むかのどっちかだ。



「さて、じゃあ後はアイツを倒すだけか。その魔石さえ当てればコッチの勝ちだ」


「んじゃまぁ、やりますか!」



ベリアは自身に魔法をかけ、そして魔法で鎌を作る。俺は左手にハクロウをいつでも撃てるようにセットし、右手に黒刀『ネ・グローボ』を持つ。

正真正銘、これが最後だ。

そう自分に言い聞かせ、地を蹴った。


初手はベリアの鎌の一撃、二撃目は俺の剣撃。ベリアの鎌はアッサリと躱されるも、反撃を食らう前にナイフを生成し、顔に軽い切り傷をつけた。

俺の攻撃は全て躱され、最後の蹴りさえも余裕と言わんばかりに躱される。


そこへベリアが全く別の魔法を唱える。



「━━━━虚飾魔術」



魔法とは違う何かだ。何かの呪文が終わると同時に、草木から真っ黒い鎖が線を引く。

その鎖らは手当たり次第に繋がりはじめ、結果としてカロを捉えた。



「今だッ!!」


「わーってるよッ!!」



頭へ狙いを定め、引き金を引く。いつも通りだ。寧ろいつもより狙いが定まっていたと思う。魔法の弾丸は真っ直ぐに進み、彼女の頭に直撃した。

彼女の動きが止まる。先程までの咆哮も、暴れる様子も全て。


これで全てが終わった。

この戦いは終わったのだ。

やっと、長い戦い━━━━━━が



刹那、横っ腹に激しい熱を感じる。

腹痛?な訳ない。チカチカと点滅する視界で眺めると、俺の右の腹は千切れていた。ベリアは右腕を。俺は左脇腹を。あの神は食い千切った。

そしてカロは全速力で俺の方へ駆け走る。



「ッ!!まだ終わらねぇよ!━━━━━改変ッッ!!!」



はは、もうこれで効かなければ終わりだ。

魔法の改変は、この世から逸脱される物。禁忌に触れるものだ。

禁忌、つまり聖なる者には毒となる異物。それを直撃且つ、リリィから貰ったこの魔石に埋め込んだとすれば━━━━チェックメイトだ。


走り込むカロの眉間を弾丸は貫通する。



この一発の弾丸を持ち、戦いは終結した━━━━━










これにて本編は終了しました。

約一年間ですかね?長い間ありがとうございました!本編は終了しましたが、エピローグの存在を忘れていたので残りは明日のエピローグへと回させていただきます。


今まで長い間ありがとうございました!

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