第三十三話 戦争の開始
丸二日投稿できなくてすみませんでした。
皆さん注意して下さい。
最近暖かくなって外でわちゃわちゃと遊びたくなる気温なんですが、油断してはダメです。
ぽっくり風邪に倒されるので注意して下さい!
真っ黒な怪物は天使達を蹂躙する。
真っ白な羽根が空を舞い、黒い獣がそれを踏み荒す。白と黒、そして赤が混じり色は混濁し始める。
無数の矢が怪物の体を穿つが、怪物の体に実態はない。故に当たらない。天使だろうが悪魔だろうが、その怪物には関係ない。肉でできた生き物は全て餌。
喰って喰って喰って喰って喰って━━━━━
王宮の屋根には池のように血溜まりができる。その全てが天使の血。神の使者とされる者の血だ。
怪物は気づいた。食い足りないと。
ふと、振り返る。そこにいるのは今まで見てきた天使ではない。もっと上の存在。体こそ小さいがその中に溢れる魔力は、今までの獲物とは桁違いだ。
「ッーーーーーー!!!!」
咆哮と共に空気を蹴る。瞬く間に少女の前へと現れ、その首を一口で喰い千切━━━━━
━━━━━消えた。
少女ではない。怪物が、だ。
少女に変化はない。さっきと変わらずボーっと突っ立っているだけ。だが、今その命を刈り取ろうとした怪物はどこにもいない。
「……君らにまだボクの前に立つ勇気があったなんてね」
「立ってるのは僕一人なんで。わざわざ気にかけたような事言わなくていいよ」
「そうかい。なら、君はサッサとその本性を見せた方が良いんじゃない?」
消えた怪物の後に現れたのは一人の青年。青年はいかにもな丁寧な口調で、カロと会話をする。
その態度には何の謙遜も、尊敬も含まれてはいない。見せかけの物だ。
━━━━━━そして大天使は降臨する。
ーー
「さて、僕の相手は君らって事だ。毎度毎度の小競り合いも飽きて来た。そろそろ本気で戦争をしよう、機帝ッ!!」
島と島が轟音を立ててぶつかる。
大きな翼を広げ、口から炎を漏らす。数多の竜が咆哮を上げて空気を震撼させた。
機械達はすぐさま戦闘態勢に入り、武器を展開する。
「ったく、酷いなぁ。僕は高みの見物で終わらそうと思ってたのに。けどそうだね。もう弄るのは飽きた。改造に移るとしよう」
一人、大きな建物の屋根の上で男はそう語る。利益、不利益などこの際どうでもいい。元よりそんな考えなど、この場に来てしまった時点で考えたら負けだ。
右手を前に掲げ、振り下ろすと同時に大声で叫ぶ。
「戦争だ!!戦闘準備、作戦4-560ッ!その知能を持ってあのトカゲ共を焼き殺せ!!」
機械達は一気に武装した武器を放つ。
ロケット弾、炸裂弾、レーザー。数は十分、空飛ぶ竜を撃ち墜とさんと無数の弾丸が襲い来る。
その中を一際黒い龍が駆け抜けて、機械達の上空を通過した。機械達は一度は狙ったが、瞬く間に距離を取られたので目標を奥の竜へ変更する。
が、視界が真っ黒に覆われた。
━━━━━━━薄れた視界で見えるのは大鎌を持った赤髪の少女。
その額には角が二本生え、少女が振っているとは思えない速度で大鎌を振り回す。
「さて。シャロも戦うとしますか!」
少女はニコニコとした笑みを浮かべながら、機械の首を一閃した。
ーー
魔帝は静かに陣を敷いた。
他の帝達とは違い、此方は好戦的に動いたりはしない。
そしてその陣に対するように同じく陣を敷いたのはアルトが率いる人間の部隊だ。
「イワン、他の奴らはどうしてる?」
「みんな手一杯みたいですね。キッドが召喚した魔獣はその辺の兵で足止めできる強さではないようです」
魔帝がただ黙って見ているだけだと?
あの死神が、命を刈り取る事をしないだと?
笑わせる。
「イワン、兵を三百連れて北西の山へと迎え!そしてアレスに連絡しろ。その山で敵を挟み撃ちにしろとな!」
「!了解です」
あの山を手に入れれば上からの攻撃が可能になり、陣を回せば挟み撃ちも可能になる。
あの山を手に取り、敵の数を減らせばコチラの勝ちだ。残る一手は━━━━━━
「俺が出る。ヘリスの嬢ちゃん、一緒に頼めるか?」
「私は構わないですけど、皆さんはどうするんですか?」
「なぁに。コイツがいるから問題はねぇよ」
コツコツと歩いて来たのは一人の老人。年はロイテ程だろうか。白髪に長い白ひげを生やしている。
「役職、賢者。ハイヤ・イブンだ」
アルトはそのハイヤと言う老人を紹介し、椅子から立ち上がる。
戦闘服に腕を通し、指を鳴らす。
「さて。俺達は正面切って突っ込んで来た敵を殲滅し、遊撃隊に移る。指示は頼んだ」
「ご武運を」
「じゃあ行くか!久々の全力だ━━━━!」




