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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第一章 黒髪黒瞳の憂鬱
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第十六話 物騒な少女達

あの爆発があったせいでステージは大きな穴が空いた状態、周りの壁も所々に亀裂が走っている。

走っている途中でサルテを見つけたが特にさっきと変わっていなかったのでスルーする。


俺は高く跳び観客席に降り立つ。そこには未だ目を瞑ったままビクビクと震える人や擦り傷などをおって負傷している人がいた。命に別状がないか確認してから周りより高い場所にある貴族達がいる客席まで走る。



窓ガラスがマジックミラーのようなガラスなので中の状態を見ることは出来ない。窓ガラスが壊れていないから爆発でのけが人はいないだろうが、新手の敵やモーロンと組んでる奴が居るかもしれない。だから俺は今急いでいる。


螺旋階段を二段飛ばしで駆け上がり、鍵がかかっていて閉まっている扉を蹴って開ける。



「イリス!シャロ!大丈夫・・・・」



俺が部屋の中に入って目にしたのは顔を真っ青にしている貴族の奴ら、そして血塗れで倒れている男三人と血をたっぷりと浴びているイリスとシャロだった。



「おい!何があった?!こいつらは誰だ?!」



「あぁライ。よかった無事で。えっと…、これはあんたが戦っていた奴と同じ奴らよ。」



彼女はいつも通りの声でそう答えた。俺には何があったのか大体想像できる。


多分俺が戦っている最中、もしくは爆発があった時にこの貴族達の部屋に、あいつの仲間つまりサマエルの傀儡どもの一団が強襲したのだろう。それに気づいたイリスとシャロが男三人を真っ二つにし斬り殺したのだろう。死体は見るも無惨な形になっており見ただけではわからない。それにこの二人が浴びている血の量や、血の飛び散り方、そうそう大袈裟に殺さなければこんな惨劇にはならない。



「そうか…。大まかにはわかったから話さなくていい。俺が聞きたいのはそんな事じゃねぇ。マリー・ブルース、お前あいつがそこに死んでる奴らに唆されてたの知ってたのか?」


「は?妾はそんな事知らん。あいつと初めて会ったのは今日の大会が始まる少し前、そんな事知りもしなかったわ。」


「そうか…。なら別にいいんだ気にしないでくれ。もし知っていたのならテメェは今から俺が殺す!」


「し、知らんと言ってるだろ!妾はそんな面白くもない事などしない!」


「わかったって…。そんな甲高い声出すな鬱陶しい…。」



「ねぇライ。決勝はどうなったの?あんたが戦っている最中にこいつらが来たから今どんな状況なのかわかってないのよ。それに、あんた!いきなり剣を寄越せって言われても無理よ!あんなに遠い距離に精製魔法を使わせるなんてどれだけ大変か知ってるの!!」


「知るわけねぇだろ、俺魔法使えないんで。あん時は助かったサンキューな!」



俺は両手を挙げて知らないのポーズをとる。そして、特に何も出来ないからイリスの頭を撫でて感謝する。

・・・・・なんで俺睨まれてるんだろ?




「まぁ、誰もけがしてないならいっか!それで?俺への優勝特典は?」


「それはまた後日だよライ。流石にこの状況だと無理があるからね。観客の皆さんを家に帰してあげて、負傷者の手当てを急がせる。これが今の最善の考えだからね。」



貴族達の後ろから青年の美声が聞こえる。俺はその声の主が誰であるか直ぐに察し少し身構える。





「まぁそれが妥当だろうなカルロス。一週間後ぐらいが目安か?」


「うーん…そうだね。それぐらい先になるかな。その間に街の観光でもしていてよ。ここからの仕事は今回何にも役に立っていない僕たち貴族がやるからさ!」


「別にお前らがやるのは構わんがイリスは置いとけよ。流石にこいつなしでは迷子になるからな。」


「あぁわかっている。イリスは例外だ。それ以外の人で事に当たるとするよ。」


「悪いな。」



俺はそう言ってシャロとイリスに目配せして帰るように促す。二人はコクリと頷き外に出ようとする。



「んじゃ俺達は先に王宮に帰ってるわ!こいつらを洗わなきゃならないし、流石に疲れた。それに多分、骨も何本か逝ってるからな。手当てしなきゃならない。」



「折れているのかい!なら早く休む方がいい!ここは僕達に任せてくれ!」


「あぁそうするよ。そんじゃ一週間後〜♪」



俺達三人は倒されている扉を跨いで外に出る。そして階段を歩き馬車までの道を歩きながら話す。



「んで?お前らは何したの?」


「え、えーと……その…。」


「敵が襲って来たのをシャロとイリスが察知したから迎撃しただけだよ?」


「それは知ってるよ。そうじゃなくてお前ら加減って事を知らんのか?」


「入ってくるのはいいんだけど、あいつらこっちが気付いてないと思っていたらしくて、塞がれるのを承知で魔法をはなったら見事に全部当たってしまって・・・・・。」


「おいおい…。大丈夫かよそれ…。襲撃するのに防御なしで突っ込んでくるとか、唯の特攻隊じゃん!」


「うん。そうなの。だから多分彼らも洗脳された奴隷達と一緒だと思う。」


「そんな感じ〜!」


「そうか。あいつらは一体何がしたいんだ?」



俺の予想では幹部か誰かがやって来ると踏んでいたが、まさかの三下を連れて来やがった。普通に考えておかしい。兵の削減を抑えているのか?それならまだマシなんだが、一番怖いのは戦争の準備ってときだ。戦争をするからその為に兵力を温存しとく、それなら納得がいくが、多分相手はこの国だ。あいつらが考えている事は理解出来ないから、他の策もあるのかもしれないが俺があいつらの立場なら同じ事をする。



「そこそこ頭もキレる奴らか。それに加えて死の恐怖を感じない、相当の曲者揃いじゃねぇか…。」


「それが代々この国を恐怖に落とし入れて来た集団よ。幹部を倒せることが出来たのはあんたが初めてなんだから。」


「はるほどな。居場所も掴めないのか。面倒くさいな。」





そんな話をしていると、馬車の発着所に着いた。

こいつらの服とかの所為で中々乗れなかったが、最終的には乗ることができた。












10分程掛けて王宮に戻り、服を洗濯に回し風呂に入る。イリス達も同じように着替える。


その後、俺は肋とか色々折っていたみたいでシャロに集中治療して貰い体を治して貰った。魔法での治療ってのは慣れるまで結構気持ち悪かった。体の中を変なモノがクルクル回っている感じがして、こそばゆい感じにゾワゾワして不愉快で仕方がなかった。



その後、夕食を食べ自室に戻った。


今日を振り返っていると、段々睡魔に襲われていき体に疲れが溜まっていたせいもあってものの数分でノックアウトされた。









次の日の朝、体が未だに怠いのを我慢して朝食を摂りイリスとシャロと一緒に街を探検した。鍛冶屋は今日は休みの日らしくやっていなかったのでまた別の機会に取っておく。広場や商業通りを通りこの国の経済とかを教えて貰った。







そんなこんなで中々有意義な1日を過ごしてその日を終わる。


次の日は早朝から色々と騒動が巻き起こったのだがそれはまた別の話。













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