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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第六章 ある冬の思い出
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第二十一話 明けの明星

「明けの……明星?」


「うん。由来は確か、初代堕帝の異名だった気がする」



聞いたことのあるようでしっくりと来ないその単語に、俺やイリス達は眉をひそめる。なぜなら、その光り輝くようなイメージを持った名前と今俺達の目の前にある島では名前の影すら感じないのである。薄暗く、陰湿で黒っぽい。そんな島を目の当たりにしているのに、あの島は光り輝く星のような島だと言われてもコッチは腕を組んで首を傾げる事しかできない。



「えっと……ミツ?これが本当に明るい星って書く島なのか?」


「ぼ、僕に言われても困るよ!本人からはそう聞いたんだし!」


「本人?ミツは会ったことあるのか?」


「もちろん。前に用事で彼が来た時に、彼が楽しそうに語ってくれたよ」


「今回の内容といい、その……堕帝って話すのが好きなのか?」



今回、俺が呼ばれた、いや呼び出された理由は堕帝が俺と話がしたいっと言うのが事の発端だ。手紙だったから深くは追求できない上に、相手の顔色も見えない。なのでどちらかと言えばアッサリと「ゲームするから来い」と呼び出した機帝の方が警戒心の面ではあまり重要視はしていない。逆に堕帝に関してはカロもとい神帝と同じぐらいの緊張感と警戒心を持っている。



「ねぇ、堕帝に用事があるのってライだけよね?」


「?まぁそうだけど」


「じゃあ主人である私以外は来なくても大丈夫よね?」


「へ?」


「だってそうでしょ?ここで無理にシャロやヘリス達を連れて行った所で、帝相手に戦力になる人達じゃない。ミツは別だけど、こんな大空の中にみんなを置いていくなんてできないから、ここにいてもらうしかないし。それなら逃げやすい少人数の方が効率的じゃない」


「………………!………!?」


ラー君二回驚かなかった?」


「一回目は「コイツが正論言った……!」で、二回目は「あのイリスだぞ!?あの!」って急遽脳内会議が開かれたから」


「つまり死にたいと?」


「九割事実で一割冗談です」



誰だって驚くだろ。あのいつものおちゃらけた表情の後ろに、こんなにも考えて動く彼女の姿があったなんて。約一年も一緒にいるのにそんな彼女の姿を見たことがない。今回ばかりはあのロイテでさえも少し眉を上げたのだから。



「合理的っちゃあ合理的だな」


「大丈夫だよ。彼って見た目普通でも中身ははちゃんとした変人だから」


「ちっとも励ましになってないんですが。気づいてます?わざとですか?」


「あはは。その息なら何とかなりそうだね。それじゃあイリスさんとライ。今から送るから少し羽の近くに座って」




彼女の案で決定し、俺達はミツの指示通りに翼の近くに移動した。すると俺達が乗る黒龍は、もう一度羽を羽ばたかせて高く飛翔した。













ーー



「……門番は?」


「私に聞かないでよ」


「血の跡はないし、戦った形跡もない。今昼飯休憩なの?」


「バカねぇ。昼ならとっくの昔に越したわよ」



そんな軽口を交わしながら、俺とイリスは明けの明星と呼ばれる堕帝が住まう島に足をつけた。あんな馬鹿でかい龍が現れたと言うのに、門番どころか衛兵の一人や二人も出て来ない。軽く地面や周りの調査を行っても、地上と大した変わりはない。唯一あるとすれば、人の姿が見えないって事だ。



「大きな壁ね。誰からの守りなのかしら」


「さぁ?日光とかじゃね?堕落の帝だし」


「まさに休日のあんたね」


「うるせぇ」



テクテクと道の様な道に沿って歩き、人間の数倍の高さを持つ壁の門までやって来た。大理石のようなものでできたその扉は、ミツや他の帝でも殴って壊せるような代物ではないとすぐに察する。軽く扉に手を当てて質感やら何やらを確かめようとした瞬間。扉が一人でに音を立てて開いた。



「━━━━━改変者、それとその主人。貴殿ら二人を我が国へ招待しよう。そのまま真っ直ぐに歩け」



男性の声が聞こえ、俺達に次なる命令が下された。内容から察するに、機帝のように俺達を忌み嫌うような人ではないのだとわかるが、それでも警戒は解かず俺とイリスはお互いを見てコクリと頷き、門の中へと足を踏み入れた。























すみません、遅くなりました!


手短に済ませますがご了承ください。

次回は明後日水曜日の夜九時です!お楽しみに!

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