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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第六章 ある冬の思い出
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第六章 番外編 Unhappy Halloween!上

「イリスー!今日って何の日か知ってる?……あ、やっぱいいわ。どうせ知らねぇだろうし」


「何言ってるのよ、あんた。今日はカルロスの誕生日だから、国王誕生日でしょ?」


「えっ!?マジで!?」


「逆にそれ以外で何があると言うのよ……」


「何言ってんだよ!今日はハロウィーン!!何をやっても『トリック・オア・トリート』って言えば許される日だぜ!!」


「あー、またライ君の地元のヤツですか。もういいよ、ホント毎回大変な目に遭うから」



え、そんな大変な目に遭ってる?七夕でみんなの願い事暴露したり、運動会と模して大暴れしたり……あ、結構やってるわ。



「それでラー君、そのはろうぃーんって何をするの?」


「人様ん家に押し入って『トリック・オア・トリート』って唱えるだけ」


「へぇー、じゃあ『トリック・オア・トリート』」


「ちょ、おま、イリス!……お菓子持ってないんで悪戯して下さい」


「悪戯?なんで?」


「トリック・オア・トリートってのはトリックが悪戯をするでトリートがお菓子の意味を持つんだ。だから『お菓子をくりなきゃ、悪戯するぞ』って意味になるんだ」


「ふーん、じゃあ今お菓子を持ってないあんたは私からの悪戯を喜んで受けるってわけね?」


「喜ぶかどうかは内容次第ですね、はい」



あーもう終わったな。ハロウィンを楽しむ前に俺がお化けになるわ、これ。……なんで詠唱してるの?ねぇ、なんで俺の腕拘束されたの?



「さ、今までのお返しをしましょ」


「ねぇ!ちょっと待って!!俺、死ぬって!それ持ってるの、電極だよね?!当たったらビリビリだよね!?」


「悪戯よ?死にはしないわよ」


「ッ!!アギャァァァアアア!!!ちょっ!待っ!あぁぁぁあああ!!!!」


「何を騒いでいるのですか?………あ、ライ殿。何やら楽しそうですね」


「見てるなら止めろよぉ!!」



ちょ!待って!痛い痛い!!何ボルトで流してるんだよ!!死ぬから!マジで死ぬから!コレもう拷問じゃねぇかァァァアア!!!!



「ラー君が変な性癖に目覚めそう」


「大丈夫でしょ、アレより酷いのが王国の国王なんだから」


「あ、そう言えば誕生日会に行かないといけないんだった!」


「マスター、イリス様。誕生日会に行くから支度してってー!」


「……わかったー!ちょっと待ってね、あとちょっとで調教が終わるからー」


「ちょ……教とか、ホント……何してくれてんの?」


「あースッキリした!これで楽しんでカルロスの誕生日を祝えるわ」


「あいつの誕生日なんか、ジェノサイドになればいいんだ……!」



ハロウィン?カルロスの誕生日?ハッ!そんなもんもうどうでもいい!!一人の国民として、第四貴族騎士として、この国を盛大に、豪壮に、誰もが高揚する『ハロウィーン』にしてやろうじゃねぇか!









━━━━━━━さぁ、今宵は誰も彼もが恐慌して泣き叫ぶような国にへと変貌させようじゃねぇか。全責任を取る悪役はイリス・トルエノだ。















ーー




「やぁ、みんなよく来てくれた!今夜は楽しんで行ってくれ」


「えぇ、そうするわ」


「「お誕生日おめでとう、カルロス様!」」


「あぁ、ありがとう。……あれ?ライは?」


「マスターなら、少し『さぷらいず』の準備をして来るって言ってましたよ」


「?さぷらいず?」


「はい」




綺麗なドレスに身を包んだ、女性陣に囲まれているカルロスを遠くから眺める。まさかここで運動会で用いたライフルのスコープが使えると思わなかった。とりあえずまぁ、人、場所、小道具、そしてお菓子の準備はできている。あとは全員が恐怖に陥るだけだ。



「A隊、潜入は完了したか?」


「はい、ライさん!A隊の五人全員、潜入完了しました」


「了解。B隊、そっちは?」


「もちろんですよ、ライの兄貴!あとはこの『ぼたん』を押すだけです!」


「よしよし。C隊、天井裏には無事入れたか?」


「問題ないです、ライ兄ちゃん!通気口、天井裏とも問題ないです」


「ふふふ!!フハハハハハハハッ!!!━━━━━It's Show Timeだ。派手にやれ!」


「「「イエス・マム!!」」」



魔法石での会話を終えた俺は、屋根の上から飛び降りた。悪魔のような角を生やし、真っ黒なマントを羽織り、漆黒の黒刀を腰に下げ、闇夜の中へ駆け出した。











ーー




「……何?!」



急に天井の明かりが落ち、誰かが怖くて叫んだ。誰にも心当たりはない、けれど何となくだが誰が犯人なのかは検討がつく。多分、犯人はライだ。それを察した、私とシャロ、そしてヘリス、ラミはすぐに行動に移した。



「多分、犯人はライ君です。カルロス様は早くこの部屋から脱出してください!」


「ライが来るのか?」


「えぇ。それも悪意に満ちた状態で、ね」


「何だと?!暗殺か!?」


「まさか。多分彼は、この広場にいる全員を恐怖のどん底に陥れようとしています」


「恐怖?」


「……マスターが今どこにいるかは、私からでは辿る事ができません。けれどマスターがいつにもなく楽しそうな事から、私達の手で収集がつくかどうかわかりません」


「そう、だからあんたは早く逃げた方がいいってことよ」


「わ、わかった!皆の者も連れて行こう」


「それは無理です。大勢いては彼にバレます。ここはイリス様と二人で逃げて下さい」


「えっ?私もなの?」


「はい。多分、ラー君はイリス様の事も狙ってます。あの拷問のせいで」


「そうです。この引き金となったイリス様の拷問のせいで」


「私が悪いの?」


「多分、そうでしょう。マスターがそこまでする理由がありませんから」



三人が真面目な表情で、そう語るのを見てイリスは少し考えてからカルロスの袖を引いた。決断の意思が硬いのは、その強さからわかる。全力で逃げる気なのだろう。いや、全力を出してもらわなければ自分の命が危ないのだから当然と言えば当然となる。



「さ、カルロス。逃げましょう。ウチの騎士から、それと……」


「あぁ。僕の親友から、ね」




二人はそう言うと、魔法を全力で使ってシャロ達の前から超スピードで離れて行った。それを見届けた三人は、来たる魔王との直接対決に身を投じる。



「━━━━━━あ?あの二人はどこ行った?」



「イリス様とカルロス様ならもうとっくに出て行ったよ、マスター」


「ラー君、もしかして私達がそう簡単に主人を捕まえさすとでも?」


「ライ君、覚悟してよね。ここから先は一歩も通さないから!!」


「ハッ!せいぜい必死に足掻くんだな!!手加減抜きでお前らをパンプキンにしてやるよ!!!」
















はい!どうも!■です!


あぁ、なんでライはこんなにも悪役が似合うのだろうか……。まさかまさかの前後編!次回は木曜日の夜9時です!お楽しみに〜!

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