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結局俺は不信のまんま  作者: ◾️
第六章 ある冬の思い出
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第七話 ゲームスタート

「ご機嫌よう!我が国民、そして来客者達!!!よく余の遊戯祭に集まってくれた!さぁ、快く踊り狂うがいい!!」



マイク?みたいな物を片手に、茶髪紫瞳の青年が大声で叫び散らす。観衆もそれに応じるが、その声は全て同じ声、同じ音程で聞く方からすれば気持ち悪いとしか言えなかった。あと、機帝の演説の内容がウザい。



「眠い。マジで眠い」


「仕方ないでしょ。綺麗な朝焼けだったんだから」


「確かに綺麗だったのは認めるけどさぁ……」


「まぁまぁ、ライも変な意味で楽しんでたし」



昨日あんだけはしゃぎまくったのに、今日の朝には完全復活。しかも早朝から昨日のテンション。生活担当兼保護者の俺やロイテからすればキツイの一言だ。ホント勘弁して欲しい。あ、俺が寝ぼけてあいつらの寝間着姿に欲情したのは別の機会で詫びます。



「さって、余興はここまでとして。では皆の衆!!今ここで遊戯祭の開催を宣言しよう!!!」


「「「うぉぉおおおおお」」」


「なんかホント気持ち悪いんだけど」


「ラー君それ聞こえてるよ?」


「えっ……うわぁ、めっちゃガンつけられてる」



隣の大柄なロボットが俺のボヤキを聞いて物凄く睨んでくる。一歩下がってミツの後ろに隠れると、さすが龍帝ちょっと龍化しただけで相手はビビって人混みの中へと逃げて行った。



「さて、じゃあ班ごとで持ち場へと移動してくれ。客人達は余が自ら案内してやろう」


「俺あいつじゃなくて女の子が良かった」


「ここにたくさん女の子いるじゃない」


「あ、ホントだ。女の子いるじゃん一人だけ」


「……ねぇライ。なんで僕の所に来るの?」


「えっ、だってアレは女の子に見せた男共だろ?」←それに欲情しました。


「遊戯をする前に幽霊にして欲しいの?」



愚痴はさて置き、俺達一行はるんるん気分の機帝と一緒に控え室とはまた別の場所にある一室へと連れて行かれた。中にはエステの店などで使われてそうなカプセルベッドが五つ並んでいて、頭を置く所からは長いコードが流れている。



「ぶ、VRだと……!?」


「ライ君、知ってるの?」


「知ってるって言うか、アニメとかでチョットな」


「貴様が知っているのは少々意外であったがまぁいい」


VR、まだ現代の技術じゃ夢物語止まりだが、魔法ありチートありのこの世界じゃ完成することも可能なのだろう。ホント、最高過ぎる世界だ。



「あぁ、そうそう。トカゲと獣、あと誰か一人は出場できん。あとは誰が出ようと構いはしない」


「なんでだ?」


「席がないのと、貴様らが化けられたら結界を維持できるかどうかわからん。途中で終了は嫌だろ?」


「なるほどね、了解。決めたら寝とけばいいんだよな?」


「あぁ。それで構わない。━━━━━━━余を楽しませてくれよ、改変者」


「任せとけ、お花畑頭」



フンッと鼻で笑い、フエーゴは入って来た扉を開けて外へと出て行った。シンっと静かになった空気を解そうとミツが何か喋ろうとする。



「ぼ、僕とラシエルさんの事は大丈夫だよ。龍化に獣化は世の理に反するものだからね」


「あぁ、すまねぇ。それで誰が抜けるかなんだけど………」


「「「「(期待の眼差し)」」」」


「ですよねぇ……」


「私の心配は大丈夫ですよ、ライ殿。あなた達が遊戯祭に参加している時は、私とミツ殿そしてラシエルであなた達をお守りします」


「ホントすまねぇ、恩にきるよ」



ロイテは静かに敬礼し、イリスの指示を仰いだ。シャロやヘリスも同じように、彼女の方を向く。あぁ、と彼女は声を漏らしたが、すぐに凛とした表情に戻し下命した。



「ライとシャロ、ヘリス、ラミには私と共にあの帝を倒すこと、ロイテには私達の身を命に代えても守ってちょうだい。━━━━━━それじゃあ、第四貴族の戦いを始めましょうか!!」


「「「はい、イリス様」」」


「んじゃ、ひと暴れして来ようぜ!」



彼女の命にそれぞれが返事をし、俺達特攻組はカプセルベッドの中へと体を沈めた。機械特有の音が聞こえ、足元から蓋が閉まって行く。そして最後まで蓋が閉まった途端、俺の意識は刹那のウチに刈り取られた。











ーー



「……んぁ」



意識が戻り、徐々に体の感触が戻って来る。短い嘆息の後にゆっくりと目を開けた。



「……高い、ビル?」



視界の中に入って来たのは、ここ最近では全く見る機会が無かった縦に長い巨大建造物。真っ青な空を幾つものビルが見せまいと防ごうとしてくる。手を地面に付きゆっくりと体を起こすと━━━━━━━





━━━━━━そこはある意味異世界で、別の意味では廃墟と化した世界だった。





「な、なんだココ……!?」



ビルは横倒しになって、道路?のような地面は所々盛り上がっていたりまるで映画のワンシーンのような世界へと変貌していた。



『全員、転移に成功したようだな。聞こえるか、改変者ども?』



不意に頭の中に声が聞こえた。声の主は言わずともわかる、機帝本人だ。俺は立ち上がって周囲の警戒に当たりながら、機帝からの声に応える。



「あぁ、聞こえるよ。テメェの気持ち悪い声がな」


『フン、まだ威勢だけは十分だな。なら軽くここの説明をしようか。聞きたいか?』


「チュートリアルは聞いてた方が身の為だかんな。一応聞いてやる」


『媚びてみる努力もせんか。まぁ良い。その辺にお前の仲間が寝転んでいるだろうから探せ。安心しろ、余はつまらん余興には興味がない。貴様らへの説明が終わるまでは他の参加者は入れぬ事を約束しよう』


「ハッ!テメェの首もまとめて取ってやるから綺麗に洗っとけよ」



そう挑発し、俺はこの灰色の世界でまだ安眠しているイリス達を探しに歩き出した。














ーー



「フン、ただの童が。……余の説明が終わると同時に参加者を転移させよ。そうだな、『山犬』辺りを向かわせておけ」


「はい。直ちに準備に入ります」



通信が切れライとの交信が途絶えたのを確認すると、フエーゴは参加者の調子を見ている人形へ命令した。説明が終わるまでとは言ったが、終わってから何秒後までは言っていない。その迫真の演技に自らで満足し、高笑いを浮かべながら次の準備へと向かった。














はい!どうも!■です!


イリス達の寝間着姿で欲情してしまったライさんの言い訳は、「エロかったんだよ!」らしいです。寝間着姿の破壊力が証明されましたね(笑)


次回は火曜日の夜九時です!

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