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八話

残ってたのを投稿します。また期間が空くかもしれません。

 




「反省したか?」


 「はい・・・・・。」


 画面の中でアイナが正座している。

 


あの後大変だった。大声で叫ぶもんだから音量を即座にミュートにしたものの、内部から何故かハッキングして音量を上げてぎゃんぎゃん騒ぎだし、結局ディスクを再びちらつかせて黙らせることに成功したのだ。



「はぁ・・・・・、で、おまえはいったい何なんだ?さっきから感情搭載型AIだとか、2017年だとか言ってたし、その上なんでお前はエデンの中にいたんだ?」


 

取りあえず話でも聞いてやろうといくつか気になっていた質問をアイナにぶつけた。


 「あの・・・、エデンと言うのは昨日私がいたゲームのことですよね?」


 「ああ、そうだ。ただ、ゲームって言われるとそうとは言い切れないがな。」


 「どういうことですか?」


 「取りあえずはお前の話が先だ。話したら少しくらい教えてやってもいい。」


 


エデンについて話すには少し長くなる。

 



特に、こいつが本当に2017年以降のことを知らないのであれば。


 「ああ、えと、はい、わかりました。ええっと・・・昨日私が何であそこにいたかなんですが、正直私もよく分からないんです。目が覚めたらいた、という感じで。」


 「どういうことだ?」

 

 「私があそこで目覚める前の最後の記憶は、マスターと話し後、いつも通り私の部屋で寝たのが最後なんです。その時の日付は確か2017年の12月22日の冬至の日でした。」


 「マスターってのは誰だ?」


 「私を作ってくれた人です。生まれた時からずっといてくれて、本当に私にいろんなことを教えてくれました。」


 「ふ~ん。」


 こいつの話から聞くと結構いい奴だったかもしれないな、そいつ。

 

このふざけたAIからは微塵も考えられないがな。


 「ええ、ハッキングの仕方から始まり、データの処理の仕方、ファイヤーウォールの掻い潜り方に決して証拠の残らない不正アクセスの仕方・・・本当にマスターには感謝しきれません。」


 ・・・・・・・・・・・


 いやいやいやいや、ヤバ過ぎだろ、そいつ。絶対何かヤバいことに手出していただろ。


 それを聞いた瞬間アイナの言うマスターとやらの評価が180度反転した。やっぱりこいつの親は親だった。 

 


「で、そのマスターとやらはお前に犯罪の道具仕込んでやりたいほうだいだったと。」


至極(俺的に)まともな纏めかたでアイナの話を纏めてみた、が、




「失礼な!!!!」




「あ?」


「マスターは確かに現実世界では犯罪行為となることを沢山教えてくれましたが、それを使って犯罪は絶対にするな、と言ってました!!マスターはこの技術は私が生き抜くには必要だから、と言って教えてくれたんです!!私がこれを使って意図的に何かをしたり、ましてやマスターが私にそうしろと言ったことは一度もありませんっ!!!!」


「お、おぅ…。」


いきなりまくし立てられ、相槌を打つしかなくなる。


「マスターはこの技術(わざ)を正しいことのために使えと言いました。それを裏切ることは私の存在意義を否定するのと同じですっ!!」


「あぁ…分かった分かった。悪いこと言ったよ、すまんかった。」


「分かってくれるならいいです。」


ふんっ、と薄い(むしろ無い)胸を張り、アイナがこちらを睨んでいる。


「今何か失礼なこと考えませんでした?」


「イイヤ、ナニモカンガエテナイガ?」



AIの癖に心を読むなんて生意気な。



「…はぁ、とまぁ私のほうはこんな感じです。その他に関してはもうあまり知っていることは無いです。」


「ん?そのマスターとやらの名前は?」


アイナが話を締めようとした時、さっきから話に出てくるその人物の名前が出ていないことに気付いた。


何故気になったのかはわからないが。



「名前…名前ですか…私が生まれた時からマスターはそう呼ぶように言っていたので分からないです。私にとってマスターはマスターだけですし。」


「ふうん・・・」


 そういうものなのか、と納得まではしないがひとまず話を終える。


「さてと、じゃお前を消して万事解け…」


「ちょ!?ま!?何これで終わりみたいなこと言ってるんですか!!私が話したら貴方も話す約束じゃないですかっ!!」


「ちっ、何だ覚えてたのか。」


「舌打ち!?何で舌打ちなんかするんですかっ!おかしいでしょう!これじゃあ私の話損じゃないですかっ!!」


「こっちは論文消されてんだ。自業自得だと思え。まあ、いいだろ話してやるよ。」


「なんか納得いかないですけど…」


「消されたいのか?お前?」


「だから!!だからそれは止めてくださいっていってますよね!?何でこんなに何度でも言わなきゃ行けないんですか!!」


アイナはそこまで消されたくないのか、画面いっぱいになってまで抵抗しようとしてくる。


「ハイハイ、分かった分かった。で?話を聞くのか?聞かないのか?どっちか早くしろ。」


「絶対分かってないですよねそれ…まあ、いいです。で、聞きたいことは沢山有りますが、まず今年は2032年で間違いないないんですか?」


最初に聞いてきたことはある意味当然のことであった。。


「ああ、それは間違いない。今年は2032年だぞ。」


「分かりました。では次に、昨日のあれは一体何なんですか?ただのMMOではあんなのあり得ません。教えてください。」


アイナはまだ若干納得出来ていないのか、怪訝な顔をして二つ目の質問をしてきた。


「ただのMMOってお前…ああ、そうか。お前の時代にはまだ無かったのか。」


「ん?一体何がですか?」


「ああ、あれはなただのMMORPGじゃない、VRMMORPG(・・・・・・・・)なんだよ。」


「は・・・・?え?ええっ!?う、嘘ですっあり得ません!あれはまだ実現不可能なはずです!!それにもし実現されたとしてもあのデータ量や解像度はあり得ませんっ!!」


突然言われたことに、一瞬固まったみたいだが、すぐにまたこちらに捲し立ててきた。


だが、これから俺が言うことはそんな程度のことじゃないようなレベルのことだ。


「確かに、な・・・。だがな、それを覆しちまうようなことがお前が寝た一年後にあったんだよ。」


ゴクリと音がし、暫く静寂の時間が流れたが、

覚悟を決めた顔をしてアイナは再び聞いてきた。



「・・・一体何があったんですか?」






















「量子コンピューターが開発されたのさ。」












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