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四話

時間がないのにキリがいいとこまで書こうとしたから投稿日時の間隔がががががが。





 

 「おいっ!逃げるぞ!!」

 

 「え、きゃっ!!」

 

 俺は少女を抱きかかえ、今来た道を全速力で逆走し始めた。

 瞬間、今いた場所に棍棒が叩きつけられる。


 ズドンッッッッ!!!!

  

 「ウワッ!!」

 「ヒャッ!!」


 叩きつけられた衝撃で地面が揺れ、転びかけるが何とか立て直し再び逃げ出す。

 サイクロプスも攻撃を外したと分かり再び追いかけ始める。  

  

「GIAAaaaaaaa!!」


サイクロプスは足元にある木を棍棒で木を薙ぎ払いながら追ってくる。

どうやら木が邪魔で上手く走ることが出来ないようだ。

 とはいえ、こちらは人一人抱えている。到底逃げ切れるとは思えない。


「クソッ・・・一人だったら逃げ切れるんだが・・・」


 そうポツリとつぶやいた所、


 「止めてくださいっ!!見捨てないでっ!!」

 

 つぶやきが聞かれたらしく、服を掴み、必死になって少女が叫んできた。


 「ちょ、おま、暴れんな!走りにくいだろうが!!それにこんな揺れてる中で声出すんじゃねえよ!!舌噛むぞ!」

 「じゃあ、見捨てないでください!一人で逃げようたってそうば、っ~~~~!」

 

 フードを深くかぶっているせいで表情はよく見えないが、案の定、思いっきり舌をかんだらしい。

 

 「つーかお前、何したんだよっ!!サイクロプスがあんなにキレてるとこ初めて見たぞ!」


 この世界のサイクロプスは、他のゲームと違い非常に温厚な性格をしており、知能もそこそこ高く中には人間相手に商売をする奴もいるくらいだ。

 そんなサイクロプスでも怒らせると非常に危険で、手が付けられなくなる。その為、基本プレイヤーは彼らを怒らせるようなことをしない。

 一方、非常に飽きやすくもあり、一旦怒って追いかけ始めても、すぐにやめることがほとんどだ。

 

 ちらりと後ろを見るが、サイクロプスは邪魔な木にめんどくさがって帰る様子もない。相当キレているようだ。


 「・・・べ、別に何もしてないです・・・。」


 そっぽを向いて明らかに動揺した声で少女が答えた。

 

 「分っかりやす!嘘つくんじゃねよ、さあ言え!」

 「・・ほ、本当のこと言っても怒らないですか?」

 「いいから言え!!一番手っ取り早いのはあいつの怒りを鎮めてやることなんだからよ!原因がわからないことにはどうにもなんねーんだよ!」


 そう言うと、ためらいがちに、


 「・・・あいつのキ〇タマに、巨大な岩を崖の上から落としちゃいました。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


 俺はそっと抱きかかえている腕の力を抜いた。


 「ワァーーーーーッ!ワーーーーーーーーーーッ!!、止めて!置いてかないで下さいっ!怒らないって言ったじゃないですか!!」

 「自業自得だろうがっ!!そりゃサイクロプスも怒るわ、お前なめてんだろ!!さっさとミンチになってこい!」


 離そうとする手を、少女は必死につかみながら叫んでくる。

 

 「やめてっ!!やめてええええええええ!!もしここで見捨てたらあなたのパソコンや携帯に一日百通エロサイトの広告送り付けますよっ!!」

 

  ・・・・・・・・・。

 

 「・・・・本当に死にたいみたいだな。」

 

  腕を振りかぶる予備動作に入る。

 

 「ごっ、ごめんなさいいいいいいいっ!! 」


 「だったら黙ってろ!!走りにくいんだよっ!!」


 叫ぶ少女を黙らせ、頭の中でクルグスの森の地図を出し、現在地と照らし合わせる。


 (クソッ・・・、安定地域バランスエリアまでは遠いな・・・どうすれば・・・)


 そんな時ふと、あるアイデアを思いつく。


 「・・・しゃあねえ、おい!しっかり掴まってろよ!!」

 

 そういって俺は右へと方向転換し、全速力でそこへと向かう。

 

 「え、何!?、ってそっちは崖ええええぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」


 少女が叫ぶと同時に崖へと飛び出す。

 瞬間、物凄い浮遊感が二人を襲った。

 

 「物質構成コンポウズ!!」


 腰から取り出した石壁の記録媒体メモリーを足元に放る。

 構成された石壁を足場に跳躍、それを階段のようにして三回繰り返し、崖の下にある半径50Mの広場の様なところの中心部に着地した。

 

 「っと、よし上手くいった。」


 少女を降ろし、一息ついた。 


 初めてやったがこんなに上手くいくとは思わなかった。

 何が起こるかわからないこの世界だが、やるだけやってみるもんだ。

 

 「どこが上手くいったんですか!?どこが!?」

 

 崖を飛び降りたのがよっぽど怖かったのか,足を生まれたての小鹿のように震えさせながらそう叫んできた。

 

 「死ななかっただけまだましだろ。それともお前あれか?ミンチになりたかったのか?」

 

 少女が首をすごい勢いで横に振る。


 「嫌ですよっ!!誰が好き好んでミンチになろうとするんですかっ!!」

 「じゃあ文句ないな。ほら、取りあえず逃げるぞ。」

 「え?何でですか?」

 「いくら20Mはある崖とはいえ、あいつらなら飛び降りて追いかけかねないんだよ。ほらいく・・」


 ズッドオオオオオオオオオンンンンンンンッッッッッッ!!!!!!


 「・・・・マジかよ。」

 

 あまりの出来事にそうつぶやくことしかできなかった。

 少女に関してはもはや声も出ないようだった。


 「GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!」


 落ちてきた衝撃によって出来たクレーターの中心部にいるサイクロプスは、捕まえたぞ、と言わんばかりに息を荒げ、一つしかない目でこちらを睨んでいた。


 「追い詰められた、か・・・・・」


 広場の端にある森の入り口までは50Mある。逃げ出そうとしてもすぐにおいつかれ、そのまま死ぬだろう。

 

 こうなると選択肢は一つしかない。


 「・・殺るしかねえか。」


 残りの記録媒体を確認する。


 (石壁が8枚、クナイが20枚、うち二枚が特殊ってところか・・・。)


 閃光フラッシュの記録媒体がないのは正直かなり辛い。だが不可能ではない。


 後ろにいる少女に言う。


 「おい、後ろに岩が見えるだろ。あのくらいの大きさなら多少の攻撃には耐えるはずだ。俺が合図したら後ろを振り向かないであそこまで走れ。」


 そういって指で後ろの岩を指す。

 少女は了解したのか小さく首を縦に振った。


 「ただ、逃げようとはするなよ。あいつの狙いはあくまでお前だ。逃げようとしたら間違いなくあいつはお前に狙いを定める。いいな?」


 再び少女が首を縦に振る。

 それを確認して腰からクナイの記録媒体を二枚取り出した。


 サイクロプスは棍棒を両手で構え、すでに臨戦態勢に入っている。 


 「じゃあいくぞ、・・・1,2,3、走れ!!」


 少女が走り出すのを確認するのと同時に、クナイの記録媒体をサイクロプスに向かって投げつけた。

 空中で構成されたクナイは一直線にサイクロプスの目に飛来する。

 だが、飛来してきたクナイをサイクロプスは両手で持っていた棍棒でさえぎった。棍棒にクナイが刺さる。


 想定通り。そう来るだろうと予期していた俺はすでにサイクロプスの足元に潜り込んでいた。

 腰から短刀を抜き放ち、アキレス腱に向かって短刀の7連撃の技能アビリティ、セプタプルイレイスを発動。サイクロプスの肉を切り裂いた。


 「GYAAAAAAAAAAAAA!!」


 肉を切り裂かれたことに驚いたサイクロプスは足を後ろに振り上げた。

 足が衝突する寸前、俺はあらかじめ地面に置いておいた記録媒体から斜めに石壁を構成し、その構成される勢いを使って後ろへと回避した。


 サイクロプスはこちらを向き声を上げる。

 どうやら標的を俺に変えたようだ。

 

 「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」


 棍棒を右手に持ちこちらへと向かってくる。どうやらアキレス腱までは届かなかったらしい。

 左斜め上より振り下ろされる棍棒を短刀で受け流して再び距離をとる。


 (ちっ・・・、リーチが足りないか。)

 

 影峰夜鷹のもつ二本の短刀、「千鳥ちどり」と「五月雨さみだれ」は、ある魔法効果の付与された業物で、かなりの切れ味を誇る。

 だがサイクロプスの腱を断ち切るにはリーチが短すぎた。


 右横から迫る棍棒を跳躍で回避し、クナイの記録媒体を顔に向かって投げる。

 だが、今度は棍棒で防御はせず、空いている左手で払いのけられた。


 着地と同時に前方へと加速、先ほどの傷口を今度は技能アビリティを使わず再び短刀で切りつける。

 

 この世界のモンスターの倒し方は二種類ある。

 一つ目は他のゲーム同様、MOBにあらかじめ設定されているHPを削りきることだ。

 そしてもう一つの方法は、人間同様、致命的となる器官や箇所を攻撃、破壊をし絶命させることだ。

 

 一つ目の方法は主に大型MOBを複数人で狩るときに用いられる方法だ。

 ただこの世界のMOBはそれぞれ個体ごとに性能ステータスにばらつきがあり、それを見ることは観察眼の技能アビリティか、個体特性スキルでなければできない。

 またどのMOBも基本的にHPはかなり高く設定されている上、10分ごとに全体力の5%近く回復するため、この方法がサイクロプスのような中型MOBに用いられることは少ない。


 二つ目の方法は、人間であれば首をはねる、心臓を貫く、頭をかち割るなどといった相手を確実に仕留める方法のことだ。先ほどのグラスべインもこの方法で倒している。

 

 サイクロプスは大型とは言えその形状は人型だ。心臓か首をはねれば簡単に倒せる。

 しかし今回は相手の目をつぶす手段がなく、また、急所まで離れすぎているためHPを削りきる手段に出た。

 いや、一人であればそのどちらも可能なのだが、後ろに見ている人間がいるためそれが出来ない。

 

 「GAAAAAAAAAAAAA!!」


 先ほどから足の同じ個所を切りつけられているサイクロプスは頭にきたのか、切りつけられていないほうの足で踏みつけようとしてきた。

 その直前、クナイの記録媒体を足元に設置し後方へと回避、記録媒体が踏みつぶされる。

 

 「物質構成。」

 

 記録媒体は生半可なことでは壊れない 

 クナイが構成されてサイクロプスの足の裏に突き刺さる。

 

 「GUAAAAAAAA!」

 

 突然襲ったクナイに驚き、足を上げ片足立ちになる。

 その片足に向かい今度は4連撃技能、ブレイブカルテットを発動。さらに肉を抉る。


 「WUOAAAAAAAAAAAAA!!」


 一旦左手を地につくも、体勢を立て直したサイクロプスは棍棒を縦に持ちなおし、突き降ろしてきた。

 俺は技能の硬直時間が終わると同時に地面に対して斜めに石壁を構成、棍棒を回避した。


 「・・・いけるか?」

 

 サイクロプスの様子から、20%とはいかなくても15%は現在HPを削っているはずだ。

 ここまで約8分。後2分で回復されるがダメージは残る。

 回復されるまでにもう少しダメージを与えておこうと千鳥と五月雨を構えたとき、サイクロプスの左手に何かが握られているのに気づいた。

 一瞬何かわからず行動を止めたが、サイクロプスの横の土が抉られていることに気付きそれが何か悟る。

 

 「ッつ!!しまった!!」


 サイクロプスの左手から大量の土砂が投げられ、広範囲にまき散らされた。これほどの勢いでは強行突破は出来ない。

 一瞬止まったことで回避が遅れた。石壁を二枚重ねで構成し、土砂を防ぐ。

 

 土砂が止まると同時に石壁から離れるが、そこには棍棒を両手で構えているサイクロプスがいた。

 両手武器用技能、アースインパクトの構えだ。

 アースインパクトは高速で武器を地面にたたきつけることによって前方に衝撃波を発生させる技能だ。

 衝撃波の効果範囲は広いものの、石壁を使った回避を行えば十分回避できる。

 だが、今いる場所は普段サイクロプスがいる岩山地域ではなく、本来いるはずのないクルグスの森だ。

 

 少しの間逡巡、ありとあらゆる通常での(・・・・)回避方法を脳内でシュミレーション、だがどれも不可能だった。

 

 そして、覚悟を決める。


 「――――---個体特性スキル、発動。」


 それと同時にサイクロプスの技能が発動、棍棒が俺に向かって高速で振り下ろされる。

 だが、俺は左右後ろには避けず、あえてサイクロプスに向かって突っ込んだ。

 棍棒は高速で俺に迫り、その影が俺を覆い…

 

 ズッドガアアアアアアンンンンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!

 

 衝撃波によってクルグスの森特有の軟らかい腐葉土が大量に巻き上げられ、土砂流となってサイクロプスの前方にある木をなぎ倒す。 

 

  「WOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」

 

 サイクロプスが雄たけびを上げる。

 勝った。間違いなく潰した。そう思って立ち上がろうとしたところ、


 ガクン!!


 突然足に力が入らなくなり、膝を地につく。何事かと思い後ろを向くと、そこにはまるで長大で鋭利な得物で切られたかのような傷がアキレス腱に入っていた。


 いったい誰が? 訳が分からず混乱していると、


 「・・・おい、こっちだ。」

 

 不意に後ろから声がかけられる。

 

 声のした方向を向くとそこには間違いなく潰したと思っていた人間の少年がいた。だがその両手に握られているのは短刀ではなく、一切の光を反射しない漆黒の色をした刀身で長大な刀がだった。

 

 「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 

 それをみたサイクロプスは今度こそ潰そうと体をひねり棍棒をたたきつける。

 

 「物質構成。」

 

 石壁の記録媒体を上空に投げ、構成される。

 

 「影ノカゲノナガレ。」

 

 影の中に入ったことで俺の能力ステータスは通常の数倍に強化される。

 俺は棍棒を振り降ろしてきた腕に乗り、強化された敏捷値を利用し、そのまま腕を一瞬で伝ってサイクロプスの顔へと肉薄、両手に握られている影をまとった千鳥と五月雨で一つしかない目を十字に切り裂いた。

 

 「GYAAAAAAAAAA!?!?」


 激痛によりサイクロプスは目を押さえる。


地面に着地していた俺はその隙を見逃さなかった。


「物質構成!!」


石壁による跳躍でサイクロプスの首元へと飛んだ俺は、体を捻って一回転、その勢いを利用してサイクロプスの左腕を切り落とす。


 「U,UOAAAAAAAAAAAAAGAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」


 サイクロプスは視界と左腕を失ったことによる恐怖から棍棒をやたらめったらに振り回し始めた。

 このままでは殺される、そう感じたサイクロプスはとにかく敵が近づけないようにしたのだ。

 その時サイクロプスの右前方より、


 ザッ、


 その音を聞き逃さなかったサイクロプスは渾身の一撃をそこに放り込む。

 瞬間、何か軟らかいものが当たった感覚がした。

 今度こそ潰した。そのはずだった。だがその時、サイクロプスは首に何か細いものがまきついているのに気付いた。

 

 いったい何が?

 

 そう思った次の瞬間、サイクロプスの首が胴体より切り離された。



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