プロローグ~駅
とある小さな村のとある家。すべてはここから始る。
決して大きいとはいえないこの家に彼はいた。名をフレッド・エイバリー。今日が13歳の誕生日。
親は物心ついたころからおらず、養子として引き取ってくれたジョーゼフのもとで暮らしていた。
フレッドは今日、嬉しさと期待で胸がちぎれてしまいそうだった。もちろん、13歳の誕生日というのもある。しかし、もっと特別で、素晴らしい世界がフレッドを待っていた。
『トラスファー魔法戦士城』への入学―――
人は皆、この城(学校)に入学し、生きるために必要な魔法学、剣術、人とのかかわりなどを学ぶ。
期間は6年。13歳で入学し、19歳で卒業。そこから立派な大人としてこの『魔法界』へと飛び立つ。フレッドはそんなトラスファーへの入学が楽しみでしかたがなかった。そしてついに今日、その夢が叶う。トラスファーへは『超特急トラスファー魔法戦士号』という魔法列車に乗っていく。フレッドは列車に乗るのも初めてだったので、少し緊張していた。
コルジーナ村は小さいが、活気のある村だった。ジョーゼフは一軒屋で武器屋を営んでいる優しいおじいさんだった。
「フレッド、準備ができたら駅へ向いなさい。切符を忘れるんじゃないよ」
「どこにあるの?」
フレッドが聞いた。するとジョーゼフが答えた。
「希望を持って西に進みなさい。自然とお前の前に現れるよ」
「・・・希望を持たなかったらどうなるの?」
フレッドが聞いた。しかしジョーゼフは答えなかった。しばらくカン!カン!という作業の音だけが響いた。ジョーゼフはさあ!と言ってフレッドを送り出した。
村を出ても草原しかない。フレッドは外の世界といったら壮大なこの草原しかしらなかった。
フレッドは優しく、時に勇敢な子だった。潜在能力は高いが、自分でもそれに気づいていないよう だ。とにかく目指すは西の駅。とりあず進む事にした。
こんな自然、他ではあまり体感できない事はジョーゼフが教えてくれた。
だから自然を大切にしなさいと言われた。フレッドは今までの13年間を振り返りながら進んだ。
一度深呼吸しようと目を閉じた。すると今まで聞いたことのないような騒音が聞こえた。
そっと・・・目を開けた。すると、駅のホームでポツンと立っている自分がいた。
切符を握り締め、フレッドは人ごみをかきながら進んだ。