1/2
ヒロイン、それは物語の主人公
この世は平等に不平等だ。
生まれた瞬間にそれは決まっていて、ある程度の努力で変えられるというが、そんなものは一握り。
どうしたって馬番の息子は馬番になるし、王城で生まれた男児は王子として育てられる。
物語の中じゃ、それがひっくり返ることもあるけれど。
現実は早々そんな奇跡は起こらない。
だからみんな物語に夢を描くのだ。
「お初にお目にかかります、王太子殿下」
習ったばかりのカーテシー
震える声は緊張が隠せておらず我ながらお粗末だ。
しかしながら父も王も微笑ましい表情でこちらをみていた。
「面を上げよ。」
言い回しは堅苦しいのに反して幼く舌っ足らずの物言いに、この方も緊張しているのかもしれないと、ホッとした。
ゆっくりと顔を上げていく。
華美過ぎない品の良い装飾が施された装い。
まだつるりとした喉元を過ぎてパチリと目が合った。
その瞬間、私は世界が不平等であることを悟った。
端正に整った顔立ち
意思の強い瞳
この世にこんな美しいひとが存在することを初めて知った日だ。
その日、私は恋に落ちた。
まるで出会いのシーンなど一瞬で終わる短編小説のような早さで。




