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星間航路の旅人  作者: 水縹
故郷への旅路
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1 あらためて

10年前の3月18日。


シオ15歳。


ルイ14歳。


ユージン10歳。


ステラ惑星連合・双子惑星はテラフォーミングで在住可能になった工業都市星であった。


大銀河帝国の資源衛星群の方が近い、ステラ連合の主星から最も遠い辺境。


エホシの地殻に埋め込む正方形の居住区画を掘り下げながら資源を採掘していた。


エホシとオトホシ2つの天体がお互いを引き合いながら公転している。


その日は惑星の建星記念日で新プラントの大規模な式典が催されていた。


オトホシはエボシよりひと回り小さく、宇宙鉱石が含まれ無いため農水ファームとしてサトウシオヤ商会の管理してる。


その日はエホシとオトホシの大接近の周期であったため、普段はオトホシから離れない面々もエホシの式典に赴いていた。


オトホシの空には開閉式の特殊ガラスがあり、大接近の時にはそこからエホシを目視できる。


そして、オトホシで彼らは見た。


空に浮かぶように見えるエホシに強大な白く赤い光が貫き、丸い惑星が欠けたのを。


慟哭と錯乱するしかなかった。


後にそれは隣接する大銀河帝国の衛星砲だったとわかる。


権力争いの軍事クーデターが頻発する彼の国で貴族軍人同士の攻防で不用意に使われたそれが、双子惑星の2万人の有人部分に直撃したのだ。


そしてオトホシにいた9000人は有無を言う余裕もなく、宇宙条約法の下、双子惑星を放棄し星間移住となった。


①生き残った大人は親族の未成年とともに希望の惑星に避難移住。ルイ等がそうだ。財務部部長だったニューミヤを中心に独立企業の形をもって惑星ジエルや、他の都市へ避難移民した。


②保護者を失った子供は親類の下へ保護避難がユージン。父方の祖父が引き取りメリクリウスへ。


③天涯孤独になってしまったものはステラ惑星連合法の適応で幼年兵学校へ保護。コレがシオである。他に5人ほど居たはずだが意図的に分散さたのか10年1度も会うことはなかった。


壊滅した故郷双子惑星は、大銀河帝国内か、ステラ惑星連合内か、2国の間を通る星間航路があるが、3つの道どこを通っても危険という地帯だ。


シオをユージンが拾ったデブリ帯は双子惑星方面とは反対側のエリアで、広範囲に航行危険ハザードが出ているが、安全ではないというだけで海賊や廃品回収の狩場でもある。


「安全を考えるなら、領内航だろうけど、帝国は立ち入り検査されたら欲しがりそうな艦だから没収されかねないし、いっそステラを堂々と行く?」


昼食を取りながら、星間航路の地図を見てルートの話し合い中である。


「艦は元々試作船で軍の機密になってそうだし、外装も一見分からない風に改修したし、一般兵には分からないとは思うけど。軍に親しい友達とか居ない。髪も伸ばしてオレの見た目大分わからなってると思うんだけど」


短髪を伸ばしたら、少しウネリのある青鹿毛を前髪下ろして、眼鏡着用でイメチェンに成功している。


「顔認証あったら引っかかると思うけど・・・何とかできなくもない」


「ならステラでオレは構わないぞ。袖の下も頻繁に発生するから、現金の用意もしておかないとな」


「元軍人がそれ言っちゃうんだ」


「誰のこと?オレは軍属の経験なんて経歴上無いけど?オレはショックで10年引きこもってました。と言うことで、OK?」


「了解」


セキュリティ方面も万全の対策はしたが、思っていた以上にステラ惑星連合はザルだった。


行政は連合の惑星や衛星で個別に行い、主星の衛星都市ステラで惑星連合議会がある。


警察は各地で持ち、軍隊はステラ惑星連合軍として各地に駐屯する。


軍の発行する通行証を持っていれば惑星連合内の航行はできるうえ、数年前に始めたというステラ圏遊廻パスを申し込めば、加盟衛星の宇宙港に入港できるらしい。


申請はすんなり通り、低速航行で2日で、ステラ惑星連合内の半分くらいまで進んでいた。


星間航路の最高速度は1光年を1時間の高速ワープだが、生活圏航路はワープ禁止なため、法定速度での減速航行が定められている。


ステラ惑星連合の端から端まではワープ禁止エリアのため法定速度で最速3日。


遊廻パスの条件で寄港2日以上制限もあるため、双子惑星まで5日間の予定だ。


2日目の休憩と補給がてら、人口衛星都市アマリリスに入港した。

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