5 もひとり
「若。御立派になられて」
十年前は特に何も思わなかったが、ニューミヤファンドの代表は、ルイの父らしくナイスミドルだった。
「連絡できず申し訳ありませんでした」
「従軍されていたのでは仕方ありません。ステラ惑星の軍規は親族以外に連絡はできないのでしょう?連絡代わりに口座振り込みされていたのではないですか?」
「それくらいしか思いつかなかったんだ。でも、かえって申し訳ないくらい資産が増えたんだが」
相続した残った資産を守るために、シオ自身はステラ惑星連合軍に入ることになってしまったが、その資産管理を頼んだら驚くほど育ってしまった。
「これから減る一方になるかもしれないが、使っていいか?」
「もちろんです。私は資産管理を任されただけに過ぎません。減った分はまた増やしますよ。何を始めるか教えてもらえますか?」
「銀河を・・・まずは、双子惑星跡が今どうなっているか見に行きます。星間航路の旅を」
「ぜひともルイを連れて行ってください」
食い気味に言われた。
「跡取りなんじゃ」
「そんなのは誰か優秀なものを用意できます。ここにいるとコイツはそのうち捕まる犯罪を起こしかねないのです。この愚息はもう大人だというのにやることが子供の頃と同じで」
「正当防衛」
「すぐコレだ」
額に手を当て、ため息をつく。
「ジエルに引っ越してきてから毎年2、3人刑事事件が普通だというのか。10代ならまだしも、最近も何かやってるだろう穏便に何とか出来ないのかお前は!」
「甘い顔したらイケると勘違いされるの。2度目はないって分からせないと」
「こんな奴だが、色々役には立つと思う・・・頼めるだろうか」
押し付ける気満々だった。
「よろしく。シオくん、ユージン」