3 たくはいびん
天の川銀河の人類の居住は先に先に広がり、国家が無数に存在する。自国通貨を制定しているところもあるが、デジタルマネー【U】が共通通貨となっている。
クエストでの支払いは【U】払いの他に、水や食料、宿泊券などの現物払いなども様々あるようだ。
「クエストを受けていただくと、加盟空域の星間航路ルートを無料でインストール出来ます。宇宙港ナビゲートと、加盟空域全ての航行証も付いてますし、宇宙港の事務手続きが簡素化されますよ」
「シオ、便利だからクエスト受けよう」
「賛成。面倒なものの簡素化はありがたい」
「行ったことの無い宇宙港は1速の自動操縦で行けないんだ。ある程度ワープしてナビ見ながら探す手間が無くなるのは助かる。この先、結構長いし」
「ええ。大銀河帝国の向こうは割と近くに有人衛星が多いようですが、MELROSEラインは総距離300光年。国家間距離は25〜70光年ありますから」
「危ないものとか運ばされたりは・・・」
「ご安心ください。モラルに反したものは対象外となっておりますし、輸送品はこちらで精査しております」
「知らない間に犯罪の片棒かつがされないならいいんじゃない?」
モラルとか犯罪したくないとかどの口が言ってる。とでも言いたげなユージンの視線を無視してクエスト参加を申し込む。
「出発は2日後ですね。進行方向で、ご紹介出来る案件はこちらです。どうでしょう?陸上部の合宿帰りの荷物です」
アール→ラインリール
積荷コンテナ✕1
内容・28人分の生活荷物
ラインリール大学陸上部
「承ります」
「出発日に立ち合いのもと積載コンテナを積み込みまので、出発時間はこちらで決めさせて頂きます。では、2日後08:50にカウンターまでお越しください」
ホテルにチェックインを済ませる。部屋はスーペリアスイート〜6名と言う部屋で、ベッドにもなるソファのあるリビングと、クイーンサイズのベッド2つの寝室、キングサイズのベッドの寝室。
1番大きいベットをルイにして、寝床を決めると惑星エールで乾杯。
「明日、運転無いと酒が飲める〜」
「宇宙船内で酒を覚えたら駄目だって格言あるしな」
「標語じゃなかったっけ?」
まずは1杯飲みながらすごし、夜はブッフェのディナーである。
「・・・2人がモラルとか言及するほど気にするの意外だったんだけど・・・」
「モラルから外れた行為した覚えなえ無いけど」
「人生の邪魔をするようなモラルさんは存在しないんだよ、ユージン」
・・・・・。
「それは、知ってるモラルさんと違う気がする」
ユージンは話題を変えた。
「操縦して給料はもらってるけど、正直働いてる感覚無いから、このクエストっていいんじゃない?」
「ずっとニューミヤのおじさんに甘えているところはあるが、商売したくてとかそういうの無いから、何したいとか無くて悪いな」
「親父殿は、肉付いいスペアリブで再生付きなんだから、存分に臑齧っていいよ。オレに齧られるより喜ぶから」
シオが気にする事無いなとルイは言う。
「ルイが齧らなくてもよくすればいいんじゃない?」
「それだと、親父の生きがい奪うから・・・。親孝行だよ」
不労所得で会社を運営しているが、実際にはただのアクティブ旅行なのは、シオも自覚はある。
「・・・サトウシオヤ商会の仕事始めです。取り敢えず配送業やります。2人とも改めて乾杯」
「「乾杯」」