7 わるだくみ
「お待たせ。状況どう?」
ルイがシュガーソルト号に戻ると、艦橋でレーダーと、エボシの映像をシオが見ていた。
「気のせいだったらいいが、こんなに欠けてたかなって気がして」
「シオくんも気になったんだ。残ってるデータあったから調べてみた。接近期だから写ってたよ・・・盗掘」
「帝国軍?」
「分からないけど。さっきの軍艦がパトロールしてるとしたら、正規の軍所属ではないのかもね」
「・・・で、残って何してたんだ?」
「ちょっとローレライを」
「ローレライ?」
「空域を通ると、通信ノイズと謎の音が館内に響いて、電気制御に少し不具合と少し進路が変わってしまうそういうのあったらコワイよね」
「スペースホラーの定番だな」
かわいいイタズラだとくつくつ笑い合う。
〈お知らせしまーす。ご飯の準備が出来ました〉
ユージンの館内放送が響いた。
「・・・派手なきっかけを付けるかもしれない」
ルイの肩をぽんと叩き、シオは、ダイニングキッチンに先に向う。
シオは変わらない普通の声音に、態度だった。それなのに何故だかルイは鳥肌が立った。
「今日は・・・レーションBはロールキャベツセット。パンはこの四角いの・・・えっと、チャバタロールが2つ」
キッチンにはクッキングヒーター、冷凍と電子レンジ、お湯や水で作る粉飲料フレーバーが設置されているが、3人の食事は1食1パッキングの冷凍宇宙船レーションだ。
宇宙港の売店には必ず置いてあるので、食べた分は入港時に注文して出港時に受け取るとスムーズに補充できる。
食事を終えて、紅茶を飲みながらルイはシオを見た。
「さっきの話、派手なきっかけって・・・」
「エホシをこのままにして、知らない奴に削られるのはいやだから・・・このオトホシそのものを墓で慰霊碑にしようと思う」
「何の話?」
ユージンがもぐもぐしながら聞く。
シオは、端末をホログラムの銀河航路3D表示し該当箇所を点滅させる。
「地球へ行くルート。この先少しの帝国空域を抜けて、狭い航路から星間航路に合流できるか?」
「この艦なら通れるけど、帝国空域行くの?!もう入っちゃってるようなもんだけど、航行許可ないから見つかったら・・・」
「【非常ボタン】」
シオの言葉に、それならとユージンは納得した。
「接近期が終わる明日23:00に出発する・・・しっかり別れの挨拶しないとな」