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第19話

「やばい、この調子でこいつのお散歩に付き合ってたらバッテリーがなくなるぞ」


健太は眉間に皺を寄せた。


「タカ、早く五十二号機を家に戻してくれ」


「わかってるよ」


僕は慣れないドローン操作で健太の家まで向かっている。


健太の操縦する五十一号機のバッテリーの残量が減ってきた為、僕が操作していた五十二号機を一旦家に戻し、充電後に五十一号機とバトンタッチする作戦なのだか、僕のドローン操作があまり早くないため予定通りことが進まない。


僕はドローンの高度を一気に上げて、健太の家に向かうことにした。


高く飛べば障害物も少なく直線で帰ることが出来る。


「よし、もうすぐだ。由美さん、窓を開けて!」


「うん、了解!」


無事に五十二号は帰還した。


僕は急いで、機体のバッテリーパックを交換した。


「よし、飛べ!」


窓から五十二号は飛び立った。


また、僕は高度を上げて、五十一号の元へ向かった。


「健太、五十一号が見えてきたぞ!」


「よし、操縦を変わろう」


僕と健太はリモコンを交換した。


健太の操縦する五十二号は、神木が確認できる位置まで近づいた。


「よし!これでなんとか追跡を継続できるぞ」


健太は一息付き、グミに手を伸ばした。


健太はドローンを飛ばしたり、ゲームをしたりするときにグミを食べることが多い、適度に咀嚼すると集中力が上がるみたいだ。


すると、神木が急に加速し、走り出した。


「あいつ、能力を発動したぞ!」


僕は思わず、画面に近づいた。


「くそ、マズイな」


健太は顔をしかめた。


ドローンと神木の距離がどんどん離れていく。


「おい、健太!このままじゃ見失うぞ!」


「わかってる!ギアを上げる!」


健太の操縦するドローンのスピードが上がり、神木との距離を詰めた。


「もしかして、神木の奴、僕らの追跡に気づいたのか?」


「いや、気づいてないと思うけど、なんで急ぎ出したんだ?」


「タカ、五十一号で先回りして様子を見てから、家に戻してくれないか?」


「了解」


僕は、五十一号を一気に上空まで上げて、神木の行先あたりを偵察しに行った。


「なるほどな」


「どうしたんだ?」


以前あった鬼塚とヤンキー達が、他のグループと戦っている様子が見えた。


「いや、神木の手下達が他のグループの奴らと喧嘩してるみたいだな。それを助けに行くのかも知れない」


「なるほどな。ならこちらの追跡には気づいてないと考えて良さそうだな」


健太は少しほっとしたようだった。


「じゃあ、僕のドローンは一旦帰還させるぞ」


僕はコントロールをギュと持ち直した。


「ああ、そうしてくれ。追跡がいつまで続くかわからないから、またバッテリーを交換しておきたい」


健太は真剣な眼差しで操縦を続けた。


「健太君、すごいね。こんなに長い時間、ドローンを操縦してても集中力が切れないだから」


由美さんは健太の集中力に感心しているようだった。


「まあ、こういうことだけはね。ドローンの操縦が好きだから集中出来ているだけだよ。勉強になると全然ダメなんだもんなぁ」


「好きなことでもこれだけ集中状態を維持できるのはすごいよ」


僕は改めて思ったことを素直に言った。


「まあ、俺オタクだし、何かに集中しやすいタイプなのかもな」


健太は明るく笑いながら言った。


「あっ!神木と手下達が合流したぞ!」


健太はドローンの高度を少し上げ、様子が見やすいような屋根を探し始めた。


「この辺にしておくか」


健太はドローンを適当な家の屋根に着陸させた。


神木が鬼塚とヤンキーABCと合流した。


相手は十人ほどいた為、鬼塚達も苦戦していたようだ。


「ヤンキー同士の抗争ってところか」


「ああ、そのようだな。あいつらも飽きずに争えるものだな」


健太は呆れているようだった。


幸運にも、僕らのドローンによる追跡に気づいている様子はない。


意識が戦いに向いているため、流石の神木も気づくことが出来なかったみたいだ。


「本当に容赦ないな」


健太が神木が高速で殴り倒していく様子を見ていった。


「おいおい、やりすぎじゃないか?」


僕は画面に近づいた。


「死んじゃうよ…」


由美さんが口を覆った。


十人の敵のうちの一人が吐血し、倒れた。


「コイツら、やっぱり危ないぞ!」


健太は、コントローラーを握りしめた。


「健太!何をする気だ!」


僕は健太の行動を制しようとした。


ここでドローンで攻撃しても、勝てるはずもないし、神木に作戦がバレる可能性もある。


「あの人たちを助けないと!」


健太は、その瞬間ドローンを離陸させた。


「おい、健太!バレるぞ!何か策はあるのか?」


「大丈夫だ!バレないようにやる!」


すると、ドローンは静かに移動し、神木達から離れ視界に入らない位置に移動した。


「ミュージックスタート!」


ピーポー!ピーポー!


ドローンから大音量のパトカーの音が流れ出した。


「ヤバい!警察だ!」


神木達がサイレンの音に反応し、その場を立ち去ろうとした。


「一旦、行くぞ!」


神木の号令で、皆は逃げ出した。


「よし、良かった」


健太は肩を撫で下ろし、ホッとした様子だった。


神木とヤンキーABCは鬼塚が運転する黒のワゴン車に乗り込んだ。


「一旦、サイレンを止めて、追跡しないと逃げられるぞ!」


「ああ、わかってる!」


健太は、パトカーのサイレンを止めて、バレないように低空飛行で神木達の乗るワゴン車に近いた。


ワゴン車は発車した。


それを低空飛行で追跡するドローン。


「くそっ、けっこう早いな」


ドローンの最高速度はおおよそ時速70キロが限界だ。


あいつらが法定速度をしっかり守って60キロで走行をしてくれれば、引き離されることはないはずだ。


「あとはバッテリーがいつまで持つかだな。こんなスピードで飛び続けるのは難しいんじゃないか?」


僕は自分が操縦するドローンを急いで、家に帰還させようとしていた。


「タカ、安心しろ!タイミングを見計らってGPSを車に取り付ける!」


「えっ、そんなこと出来るのか?」


「こんなことがあろうかと思って、ドローンにGPS発射システムを搭載しておいた」


「健太君、スゴイ!」


由美さんの瞳が輝いた。


「でしょ?」


健太は嬉しそうに言った。


俺らみたいなオタクが由美さんみたいな美少女に褒められることなんかないわけで、健太の喜びは計り知れないのだろう。


「よし、車が信号待ちで止まったタイミングでGPSを発射して車に取り付ける」


健太の目はまるでハンターが獲物を見つけた瞬間の輝きを放っていた。


「もうしばらくしたら信号だな」


僕は健太の操縦するドローンの現在地を示す画面を見ながら言った。


「了解」


神木達の乗る車は止まった。


「よし!今だ!」


健太はGPSを発射した。


バッシュ!


「やった!装着完了だ!」


「ミッションコンプリートだな!」


僕と健太はハイタッチをした。


お読み頂き、ありがとうございます。

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