彼の人は何処へ?
「バジリスクの目!?……本物か?」
「もちろんです。黄色の石に緑の筋が入った目はバジリスクの物です。その証拠に一度焼いて見せても良いですよ」
第一王子が、へぇと興味津々で手に取り、透かして見て、ニヤッと笑った。本物のようだなと言ったあとに、私をマジマジと上から下まで見た。
「確かに、その腕前と手に入れるまでの早さはS級バイヤーに相応しいな。良いだろう。父王に頼み、王宮の出入りを許可する」
「ありがとうございます」
「いくつの国と契約している?」
「このラジャスター国を含めますと、六カ国目となります」
「六カ国!?……なるほどな。なかなかやり手なんだな」
とんでもありません、まだまだでございますと営業スマイル。
残り2つのバジリスクの宝石を持っていることは秘密にしておこう。数が多いと希少価値も下がるからタイミングが大事よね。密かに他に売りつけようと計算している私だった。タダでは転ばない!
「それでは、また何かご入用の際は商工会に『アリシア=ルイス』とご依頼してください」
「ああ……ご苦労だった。報酬も受け取ってゆけ」
お盆の上の重たそうな袋。
「ありがとうございます」
今度は営業スマイルではなく、本気スマイルを見せた。
「けっこう楽しめそうなやつだな」
は?と私が思わず聞き返すと、第一王子は、いや、何でもないと言って楽しげにハハハッと笑うと、手を振り、下がっていいと言った。
私はしっかり報酬の金額を確かめてからさっさと出た。ケチっていない。輝く金貨が入っていた。思わず頬が緩んだ。
しかしヴァンはいったいどこへなんの任務を果たしにいったのだろう?それが気になった。
商人は情報を得るためにネットワークがある程度ある。だけど、それ以上に戦闘魔道士はうまくその姿を隠す。新月の闇の夜のように。
読んで頂きありがとうございますm(_ _)mカクヨムでもカエデネコで活動しています。よかったらのぞいてみてください(*^^*)更新はあちらのほうが早いかと思います。




