幼馴染が妹と浮気して私に婚約破棄を宣言した時、慰めてくれた義兄、しかし私が愛してしまった義兄は裏切り者でした…
「あのバカのことは気にすることはない」
私は泣き続けるしかありませんでした。
だって私は幼馴染のルークに婚約破棄されてその相手が…。
「ローズは性格が悪いから」
「……」
私は妹といっても、血のつながりがない妹であるローズにルークを取られたショックで泣き続けていました。
私の母が死んで、再婚した継母の連れ子の二人、義兄のアルフォンスと妹のローズ。二人が兄妹になったのです。
私は二人のことを本当の兄妹だと思っていました。
でも…。
ローズは私の好きな人をいつも奪うのです。
婚約が決まる前に何度も恋人をとられ、さすがに婚約者までとらないだろうと思ったのですが…。
幼馴染であるルークのことは弟みたいに思っていましたが、私は彼を愛し始めていたのに。
「…あいつは人のものをとるのが趣味なんだ」
「…でも」
「気にするな、あの馬鹿ルークのことも忘れろ。お前一は切悪くない。よい婚約者がまた見つかるさ」
私はアルフォンス、アル兄さまに慰められ、二人を許すことにしたのです。
お父様がお許しになってしまったのですから仕方ないのです。
一年がたち…。
「婚約式は一か月後だね」
「はいアル兄様」
「もう兄様はやめてくれ、アルでいいマーガレット、いやマーゴ」
「はいアル」
私はアルに慰められ、愛を打ち明けられたのです。
私も彼を愛してはじめて…。婚約を父は喜んでくれました。
「血の繋がりもないし、これでアルが跡取りとなるものを反対する人間もいなくなるだろう!」
これでよかったんだと思いましたが、妹とルークが出席しないと聞いてやはりなとは思っていました。でも…。
「あの人ちょろいでしょ。やっと落とせてよかったわねアルお兄様」
「おい声が大きい!」
私は妹に出席するように説得するよう父に言われ、妹たちの新居に行ってそして…アルとローズの会話を聞いてしまったのです。
「大丈夫よルークは出かけているし、でもあの人の恋人をとれって言われたときは驚いたわ」
「…それを外で言うなよ」
「わかってる。お姉さまにも言わないわよ。あなたが愛したアルって人は実の妹に姉の恋人をとるようにそそのかす悪い人でした~。だって跡取りになるにはお姉さまとの結婚が一番いいですものね!」
「……お前」
「いわないですけどお、お小遣いは欲しいですわ。かわいい妹にどうぞくださいな!」
「わかった、あのくそ鬱陶しいメソメソ女を口説き落とすのにお前も協力してくれたしな」
私は扉越しに聞いてしまい。そっと足音を立てずに家の外に出ました。
これ以上聞きたくなかったのです。
誰も信じられない。私は館に帰りたくないと思いましたが、帰らないわけにもいかず泣き顔はまずいと思い顔を洗いました…。
「顔色が悪いがどうした?」
「なんでもありませんわ少し風邪気味で」
「そうか大事にしろよ」
アルが帰ってきましたが、具合が悪いと言って私はベッドで寝ていました。顔を合わせたくなかったのです。
考えました。もうあんな人と婚約なんかしていられない。跡取りになるために騙したなんて許せない!
「…正当な血を引くのは私だけ」
私はある法律を思い出しました。正当な血をひくものが跡取りになる。
今はだいぶ緩められて養子でも大丈夫となりましたが、実は女でも正当な血をひくものがいれば優先されるのです。
子爵の家の跡を継ぎたいのなら阻止してやりますわ…。
「おいマーゴ、婚約を破棄するとはどういうことだ!」
「私、正当なる血を受けつぐ者としてやはり近親婚はいけないと悟りましたの」
「近親婚とは…」
「あなたがお父様と養子縁組をした時点で私とお兄様は兄妹」
「血のつながりはない!」
「しかし、宗教上、私たちは兄妹、その婚姻はやはりお父様の評判を悪くしますわ」
私はお父様にあの二人のことを打ち明けました。すると父も憤り、私のいうことを信じて私の提案を実行するようにしてくださったのです。
「お父様もやはりそのほうがいいと言ってくださいましたし、婚約を解消して、私たちは兄妹ですわ。私がこの館の跡取りになりましたから、もうそろそろあなたも独り立ちしてくださいなもう21歳ですわよね。次期当主の命令ですわよ」
私が笑って荷物をまとめて出て行ってというと、アルが悔しそうに唇を噛みます。
時期当主の命令は絶対です。
彼にうちの館のものは持ち出さないでくださいねと念押ししました。
着替えだけ持って出ていくアルお兄様。でもお金を持ち出したのはわかってますし、窃盗で訴える用意も万全ですわ。すべては当主と時期当主の財産、許しがない限りはだめですもの。
妹とルークにも復讐をしないと、私はにっこりと笑って誓いました。
お読みいただきありがとうございました
良かったら下の☆☆☆☆☆評価やブクマを押して応援していただけると嬉しいです