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人物詩録の殺人予告  作者: 波多見錘
8/8

乱入

 「だから援交なんてしてないって!」


 「嘘をつくな!じゃあ、この写真は何なんだ!」


 「知らない!そんなおじさんも、背景のホテル街も知らない!」


 私は、羽中凱斗(はなかかいと)。今、先生と押し問答をしている詩織の父親だ。


 私は学校の先生に娘が援交をしていると呼び出されていた。


 しかし、私は娘がそんなことをしていないと思っている。昔から素行が悪く、疑われるのは仕方ないと思うが、詩織はそういう娘ではない。


 「先生、何かの間違いではないのでしょうか?」


 「お母さん、こうして証拠がある以上否定しようのない事実です。受け止めてください。」


 「で、でも…、娘は、詩織はそんなことをする娘じゃないんですよ。」


 私の妻、羽中楓花(はなかふうか)がそう訴えるが、写真(証拠)がある限り無駄だろう。


 「さて、ここからが本題ですが、娘さんのされたことは立派な問題行為です。学校としても退学を検討させてもらいます。」


 詩織の顔がどんどん青ざめていく。


 「だから先生、私は援交なんてやってないって!」


 「しかし、学校側で退学の判断を出される前に、自主退学という形が一番穏便かと思いますが…。どうしましょうか…。」


 「だから、やってないって!」


 「詩織っ!」


 必死に訴える詩織に、楓花が怒鳴る。


 必死に泣くのを堪えてるのか、声が震えてる。


 「こんなことをして、迷惑をかけてすいません。自主退学という形にしてくれると…」


 「お母さん!」


 「分かりました。では、退学手続きをしたいと…」


 バンッ


 勢いよく扉を開け、女教師と男子生徒が入ってくる。しかも、私はそのうちの男子生徒を知っている。


 「秋嶋君?」


 「はい、あの時は色々とお世話になりました。」


 私の娘は彼に酷い仕打ちをしてきた。秋嶋君は一体何しに来たんだろうか。


 「先生、詩織は援交なんてやってないですよ。」


――――――――――――――


 教室を出た俺は職員室に向かおうとしたが、今はトイレにいる。


 授業中に職員室に行くのは問題になりそうで怖かったからだ。


 まあ、それならと俺の予想が正しいか調べているところだ。


 「あった…」


 そうして俺はようやく発見した。


 何を?と言われれば、あのおっさんの画像だ。


 どこにあったかというと、割と有名なフリー素材のサイトだ。


 動画に使われていたという事は、フリー素材だと思ったんだ。

 だから、俺は動画の概要欄からフリー素材のサイトを調べて、「おっさん」「中年男性」などのワードで検索してみた。


 すると、「中年男性」の110番目くらいに同じ写真を発見した。


 俺は授業が終わったのを確認して、そのページを開いたまま職員室に向かった


 「合成写真?」


 「そうです、これが証拠ですよ。」


 俺は、送ってもらった写真とフリー素材の写真を今里先生に見せる。


 なぜ今里先生かというと、単純に一番話を聞いてくれそうだからだ。


 「確かに同じ人の写真ね。分かった、ついてきて。」


 「はい。」


 今里先生は俺を連れて、小会議室の前に来る。


 「今、羽中さんは退学になりそうになってる。だから、しっかり助けてあげてね。」


 「もちろんです。」


 そう言って、俺は勢いよくドアを開け放った。


 中には、俺の知らない教員と詩織とその両親がいた。


 詩織の父親はかなり驚いた様子だった。


 「秋嶋君?」


 「はい、その件では色々とお世話になりました。」


 彼は、俺の問題に真摯に対応してくれた人だ。お礼を言うのは当たり前だろう。


 俺は教員に向き直って、話を開始する。


 「先生、詩織は援交なんてしてないですよ。」


 教員が呆れたようにため息をつく。


 「そうは言ってもね、こうして証拠があるんだよ。」


 反吐が出る。詩織へのいじめを見過ごしてるやつが何を言ってるんだ。


 「あんた、詩織が嫌いなだけだろ。だから、何も調べずに退学にしようとしてるんだろ。」


 「なんですって!」


 俺の指摘に、詩織の母親が激昂する。


 「いや、私はちゃんと調べたよ…。」


 教員の必死の反論は、今にも消え入りそうな声だった。


 「そんなわけないでしょ。だってこの写真の人、フリー素材だよ。」


 「は?そんなわけ…。」


 「ほら、これ証拠。」


 俺は、開いていたページを教員に見せる。


 「なっ、それは…。」


 教員の顔が一気に青ざめる。


 「福島先生、もういいでしょう。羽中さんは何もやっていません。あなたの思い違いだったんですよ。」


 「しかし…。」


 「しかしも何もありませんよ。羽中さん、この度は本当に申し訳ありませんでした。私共がしっかりと調べていれば、こんなことにはならなかったのに…。」


 今里先生が頭を下げる。


 「いえ、娘の素行が悪かったのは事実ですし、疑われるようなことになったのは娘自身にも原因があると思うので…。」


対して、詩織父もそう言って、頭を下げる。


 「じゃあ、この件は終わり。詩織は、この写真の犯人探す?」


 「いや、いいよ。関わりたくないから。」


 「そっか」


 こうして、俺が強引に話を終わらせて、詩織援交冤罪事件は幕を閉じた。

退学を薦める絵面なんて見たこと無いんでふわっとしてます。

というより、全体的にふわっとしてますね。

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