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「お済みの皿をお下げします」



「はい、よろしくお願いします」



 マンゴーアイスを食べ終わりましたが、レオン殿は復活しません。

 どうしましょうか。とりあえず半熟オムレツにチーズを入れてもらった物をお代わりしに行きましょう。





「只今の時間から焼きたてワッフルの提供もございますが、ご一緒にいかがですか?」



「よくわかりませんが食べます」



「トッピングはシュガー、苺ソース、蜂蜜、お好みで生クリームを載せてお召し上がり下さい」



「ありがとうございます」



 ワッフルと呼ばれる網目のような。……パンケーキ? にトッピング3種と白い生クリームを皿の隅に乗せて、チーズオムレツにデミグラスソースを乗せた物をテーブルに運びます。



 レオン殿はまだ撃沈中。本当に具合が悪そうなのでそろそろ助けましょう。



「頭に手を乗せても怒りませんか?」



「耳に触れなければ……うぅ……」



 うむ。耳ですか。

 私の大きな手を全部乗せるとレオン殿の耳に触れてしまいそうなので2本指で失礼します。



「どうですか? 良くなりましたかね?」



「???? 何したんだ?」



「解毒みたいな物です」



「えぇっ!? あぁ、竜人種だもんな。毒消しの魔道具まで個人で所持してたのか。ありがとうトカゲの旦那」



「どういたしまして」



 はじめにアツアツのオムレツを食べます。チーズが伸びる伸びる。もぐもぐ。




 ワッフルは速攻でお代わりしました。

 アイスや果物をトッピングしても美味しいと言われたのでバニラアイスに果物数種類と、生クリームに苺ソースを乗せて席に運びます。


 レオン殿は粥を啜っていました。



「二日酔い明けはコレに限るんだ。勝手に相席したが大丈夫だったか?」



「大丈夫ですよ。完全にアルコールが抜けたわけではないので、水分を多めに取る事をオススメします。少々脱水気味みたいですね」



「マジか。コレ食べたらオレンジジュースでも飲むな」



 レオン殿に体調が悪いのに部屋で休んで無くて良いのかと聞いたら「いや、トカゲの旦那いつチェックアウトするか聞いてなかったから来た」と言われました。ちょっと嬉しいですね。

 ちなみに私は10時までですが、レオン殿は延長で12時までだそうです。



「今の時間から徐々に料理が昼メニュー用に入れ替わるから、朝急ぎじゃない常連は大体遅くに食堂に顔出すんだ…ほら、運ばれてきた」



「ん?」



 空になった皿と交代して、何やら肉の塊やら、先程はなかった料理が並びはじめました。



「……もうそんなに入りません」



「あの肉の塊はヒートシープの骨付き肉でな、香草がまぶしてあるんだが肉の臭みがあんまりなくて美味いんだ。あれ食いに来たんだ俺」



「コレ食べたら取りにいきましょうかね」




 他に数点美味しい物を教えてもらいましたが、結局新しく出て来た料理は全て口に入れました。

 このお腹の苦しみは幸せの証です。こっそりズボンのベルト穴を3つも緩めたのは内緒です。



「こんなにお腹いっぱい食べたのは妹の結婚式以来ですね」



「それ、数千年前の話か?」



「ほんの500年前ですよ」



「俺のご先祖様の世代の話だな。何かトカゲの旦那と話してると時間感覚おかしくて笑えてくるな」



「私のかわりにいっぱい笑って下さい。腹が苦しくて、今笑うと先程の青と赤のスライムが口から出て来そうなんです」



 あのスライム達を見に行ったらゼリーに変わって、カラーが増えてさらに増殖していました。あんな見た目なのに美味しいのは罪ですね。




 そろそろ宿のチェックアウトの時間なのでレオン殿とはお別れです。



「また泊まりに来たかったですね。本当に残念です」



「トカゲの旦那、一般にはまだ出回って無い秘密を教えてやろうか?」



「何ですか?」



「実はな──」











 ー3日後ー



 ペシッ




「見事な女の子ですね」



「兄者、初対面の姪に対しての扱いが雑です」



「貴女の時はもっと酷かったですよ。まぁ、その時はお互い様でしたね」



 数日前に孵化した姪っ子のカルファが突撃して来たので、ベビーベッドに優しくはたき落としました。


 ちなみに妹の初対面時は突撃して来た妹により、私は右腕を負傷しています。あの時は綺麗に骨がポッキリ折れましたよ。


 竜人種の女の子は孵化したてだと、同族の女性以外には総じて攻撃的です。性格にもよるかと思われますが、特に長く卵から孵らないと攻撃性は増します。


 2000年孵化しなかった妹の時は、それはそれは凄まじいモノでした。あの時は大変でしたね。


 今絶賛反抗期中のマルカが1番可愛らしかったです。歯が生えそろわない口で齧り付く程度でしたからね。



「これ、オーナーからの出産祝いだそうです」



「あらあら、まぁ「ピィ!」……あら?」



 カルファが「あたちの!」と言いながら妹から奪ったのは、ウサギの縫いぐるみ。貴女ので間違いありませんので、問題ないでしょう。

 後はいただいた前掛けもウサギの縫いぐるみとカルファにお揃いでつけてあげると完成です。



「娘が破壊的に可愛い」



「その言い方ですと、貴女が家を全壊させた時の事を思い出しますよ」



「そんな事もありましたね」



 当時は大変な思いをしましたが、今ではいい思い出です。


 


 買い過ぎたと思った大量のお土産ですが、ご近所の方にもお配りし中々に好評でした。

 ちなみに妹はセームタオルを、マルカはやはりボディクリームを気に入り、カルファはウサギの縫いぐるみ以上の物は無かった様です。





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