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如来ストリーム  作者: 古屋裕
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如来ストリーム 制咜迦童子

やあ、皆さん、こんばんは。


素敵なゲストと、素敵な時間をお送りする如来ストリーム。


始まりましたね。


さて、今回のゲストは、不動明王の眷属である八大童子の中心的な存在で、矜羯羅こんがら童子と共に、不動明王の脇侍を務める、制多迦(せいたか)童子さんを、お招きして、お送りしたいと思います。


こんばんは。


「どーもー。」


さて、早速、制多迦さんに、ご質問したいと思うのですが、不動明王と言えば、大日如来の内心の決意の象徴であると説かれますね?


「そーだねー。」


では、大日如来の内心の決意とは、一体、どの様なものなのか、お話してもらってもよろしいでしょうか?


「まー、良いけど、俺は、童子だから、あんまり難しい話は出来ないよ?」


「童子ってのは、つまり子供だろ?」


「なんだかな~、大人は、難しい話だとか、複雑な事を理解出来る事が、高度だって、勘違いしてるけどな~。」


「それは、自分は頭が悪いって言ってるようなもんなんだからな?」


「お前も、そう思わね~?」


いやいや、そんな事はないと思いますよ?


「いや、おまっ、何で分かんねーんだよ?」


「つーかよ、賢い奴は、小難しい話だって、子供にも分かるように、説明するもんだろ?」


はあ。


「それが、専門家みたいな、如何わしい奴らにしか、分からないような言葉で、人をたぶらかす大人の何と多い事かねぇ。」


「つーかよ、子供には、分からないような世の中にしちまった時点で、大概の大人は、まあ、ボンクラって事になるんじゃねーかー?」


そんな事ありませんよ。


皆、必死に頑張ってますよ。


「ははは。」


大人は、社会をより良くする為に、汗水流して働いているんですよ?


「どうかなー?」


「大体、社会にルールってものが増えてくのも、社会が複雑になってくのも、モラルがないからだろ?」


「物事を小難しくするしか、能がないなら、そりゃあ、無能って話だろー。」


「つーかよ、そもそも、戦いを終わらす為の戦いをするって発想は、そりゃ、誰がどう見たって、バカの発想だろ?」


「って、そんなもん、子供にだって分かる話だと思うけどな~。」


「その点、大日如来の内心なんて、シンプルなもんよ?」


「童子のオイラにだって分かるんだからな。」


「全て助ける。」


「これだけ。」


「なー?すげぇ、シンプルだろ?」


「だから、俺は、それだけを守ってるのよ。」


なるほど、大日如来の内心は、そうしたものなんですね?


「そうだよ。」


「他に、何があるんだよー?」


いや。


それでは、次の質問なのですが、そんな大日如来の内心の決意を守るべき、制多迦さんですが、経典の中では、悪性の者と説かれていますよね?


大日如来の内心を守る者が、何故、悪性の者なのですか?


「そりゃ、俺が童子だからだよ。」


「童子ってのは、つまりは、鬼の象徴なのさ。」


「鬼なんだから、俺には、善悪についての判断もないし、頓着もないの。」


「ただ、全員助けるって言う、大日如来の意思に共感するからこそ、それを守ろうって俺は、誓ったんだわ。」


「だからな?」


「口だけの輩がいたら、この金剛棒で、ぶっ叩く訳よ。」


「テメー、怖気付いてんじゃねー、大日如来の決意をなめんなよ?ってな。」


「だから、人からすれば、俺は、悪性に見えるのかもな~。」


確かに、正直な話し、どっちが輩なんだって思いますよ。


「ま~、俺は、良いとか悪いとか、あんまり考えないからなー。」


「そもそも、小賢しい話は、菩薩共にでも、任せてりゃ良いと思ってるからね。」


「オイラの出る幕なしだよ。」


いやいや、そうは言っても、そもそも、制多迦さんは、この世界、長いですよね?


童子としての、制多迦さんから見て、この世界から争いや貧困、差別がなくならないのは、何故だと思いますか?


「そりゃ~、全員助けようって意思を、誰も持ってないからだよ。」


「そんなもん、オイラが言わなくたって、本当は、誰だって分かりきってる事だろー?」


いや、そうは言っても、それぞれの置かれた環境や、立場ってものがあるでしょうし、どうしようもない事情を抱えている場合だってあるんじゃないですか?


皆が、努力してると思いますが。


「はぁ?」


「そりゃ、必要なのは、努力じゃなくて、止める事、終わらす事だろ?」


「だったら、止める事や、終わらせる事よりも、立場や事情の方が大事って事になるんじゃねーの?」


「ま、それは、子供には分からない世界だと、大人は言うかも知れないけどな~。」


「それが、大人の世界だってよ~。」


はは。


「な~、笑っちまうだろー?」


「オイラが見る限り、子供の事を問題だ、問題だと騒ぎ立ててる大人達の殆どは、自分達の方に問題があるとは、考えないんだぜ?」


「そもそもな、そう言う輩は、自分が悪いかも知れないとは、絶対に考えないんだよ。」


「政治家なんぞ、足の引っ張り合いで、使い物にならねーじゃねーかよー。」


「つーか、そんなみっともない姿を子供が見て、どう感じるかなんて、想像力は、微塵もないんだろうなー。」


「家が火事なのに、火を消すには、どうすれば良いのかを話し合うバカが、何処にいるんだよー。」


「だからな、オイラみたいな、童子に言わせれば、問題を終わらせるなんて、簡単な事なんだよ。」


「問題を、どう収めようかなんて考えずに、問題は、さっさと終わらせれば、良いって事なんだからなー。」


まあ、確かに、シンプルで良いですね。


「だろ?」


「だけどな~、どうも、大人は、子供の命よりも、大切な事情があって、それを終わらせる事が出来ないらしい。」


「つーかなー、世の中の問題を終わらせる事が出来ないのは、大人の事情。」


「じゃあ、分かりやすく、それを子供に説明してみろって思うけどな~。」


「大人の事情よりも、子供の方が大切だって言ってるのに、その問題を解決出来ない理由があるなら、それを分かりやすく、説明してみ?」


「ま、それが嘘だったり、口だけだったら、この金剛棒で、ぶっ叩くけどな~。」


う~ん、これは、さすがに、耳が痛いお話ですね。


止める事を考えるのではなく、今すぐ止めて、その後の事は、それから、考えれば良いと言う事ですかね。


本気で、それを終わらせたいのなら、それは有効かも知れませんが、少し、直情的過ぎる感じがしてしまいますね。


「まー、オイラは、童子だからね~。」


「あ、そろそろ、時間?」


「じゃ、最後に言わせてもらえれば、本気で、世界の平和を望む奴がいたら、俺は、必ず、すっ飛んで行くから。」


「そんで、絶対に俺は、そいつをどんな事があっても守るから。」


「だって、それが、大日如来の御心ってヤツだからな~。」


「そもそも、全員守る意思がないのに、何で、平和を願えるのかって事なんだけどな~。」


「そんなもん、子供にだって分かる事だと思うけどな~。」


なるほど。


なかなか、温くない感じの配信になってしまいましたが、まあ、それが、大日如来の内証なのでしょうね。


「これでも、気を使って、優しくした方だけどな~。」


はは、童子ですからね。


いや、ありがとうございました。


「どーもー。」


それでは、次回もお会いしましょう。


如来ストリーム。

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