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如来ストリーム  作者: 古屋裕
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如来ストリーム 文殊菩薩

如来ストリーム。


こんばんは、素敵なゲストと楽しい時間をお送りする、如来ストリーム。


やってきましたね。


さて、本日のゲストは、智恵において、この方に、並ぶ者はいないと言われる、文殊菩薩さんです。


よろしくお願いします。


「こちらこそ、よろしくお願いします。」


早速ですが、文殊さんは、知恵においては、勝る者がなく、七つの世界の指導者であるとの事なのですが、そもそも、この世界は、一体、何なのでしょうか。


そもそも、我々は、この世界を、どのように考え、見るべきなのか、と言う事をお尋ねしたいと思うのですが。


さて、文殊さんは、この世界を一体、どのように、捉えているのでしょう?


「あなたは、世界に対しての私の主観を知りたいのでしょうか?」


「ならば、先ずは、自分自身に問うべきです。」


「それを聞いて、どうしたいのかを。」


これは手厳しいですねぇ。


「私は、こう考えるべき、こうすべき、と言う意見を持ちません。」


「ただ、あるべき姿を持たずに、ありのままを、この世に観るのであれば、世界の構造を理解するでしょう。」


曇りなき眼で、世界を観ろと言う事ですね?


「もしも、世界のありのままを観るのであれば、この世は、あなた方、一人一人の内面の投影によって出来上がっている事が、分かるのではないでしょうか?」


「まず、熟考してみましょう。」


「社会は、必ず、その時代の人々の精神構造が反映された社会であると言えませんか?」


う〜ん。


確かに、今の社会が複雑なのは、人の価値観が多様化して、複雑になっているからですよね。


「だとしたら、世界に、争いが絶えないのは、人の内面が、常に葛藤しているからではないですか?」


その葛藤の投影が、争いの原因だと仰るのですか?


「違いますか?」


「つまり、葛藤とは、あるがままの姿と、あるべきものの姿との、摩擦の事を言いますね?」


はい。


「ですから、葛藤を抱えている、人の精神構造そのものが、争いなのです。」


人の内面に抱える葛藤が、社会に反映され、あの愚かしい戦争を生み出す訳ですね?


なるほど。


「人は、内面に嫉妬を抱えています。」


「今の自分でない自分になりたがっています。」


「豊かになりたい、誠実でありたい、そして、悟りたい、と…。」


それは、悪い事なのですか?


「良い悪いは、主観に過ぎませんが、自身の内面にある善悪は、必ず葛藤を生み出すでしょうね。」


「もっとも、その状況において、適切な考えと不適切な考えはありますが。」


それでは、争いをなくす為には、どうすれば良いのでしょう?


「あなたは、どうしたいのですか?」


争いを止めたいです。


「ならば、安易に、どうすれば良いのかと、誰かに問うのは止めましょう。」


「それは、己には、争いを解決する力はない、と言う宣言に他なりませんから。」


つまり、本気で解決したいのなら、まず、自分に聞きなさいと言う事ですね。


「先程、申し上げた通り、人々の精神構造、そのものが争いを招いています。」


「そして、その解決方法を、自分でなく、他に尋ねたり、委ねてしまうのも、一つの争いになるのです。」


なかなか手厳しいですね。


「厳しい事を、言っているつもりはありませんが、あなたが理想を追う限り、あなたは、過去を生きています。」


どう言う事でしょう?


「理想とは、あるべき姿、目指すべき未来ですね?」


そうです。


「ですが、本質的な意味において、人は決して、未来を造れません。」


えっ、そうなんですか?


「何故なら、その到達すべき未来とは、どこかで、見て知った過去だからです。」


どう言う事ですか?


「見た事がないものを、思い浮かべる事は、果たして可能だと思いますか?」


出来ませんね。


「ならば、あなたの求める未来とは、過去なのです。」


「そこまでは、理解できますでしょうか?」


はい。


「過去とは、記憶です。」


「ですから、理想を求める人々は、過去の記憶の中に生きている事になります。」


「今、私は、葛藤を終わらせる事が可能なのかどうかを、あなたと共に考えていますね?」


はい。


「それでは、過去は、未来を変える事が可能だと思いますか?」


それは、明らかに、不可能ですね。


「良いですね。」


「ここまで、理解出来ましたね。」


「どうか、リスナーの皆さまも、この事について、共に考えましょう。」


う〜ん。


しかし、過去に学ぶべき事は、沢山あるでしょうし、未来を夢みる事も必要だと思います。


「その通りですが、今、我々は、葛藤に終止符を打ち、争いを止める事が出来るのかどうかを、話し合っています。」


はい。


「つまり、私は、問うているのですよ。」


「人が、イメージ出来る輝かしい未来でなく、まったく、見た事がない世界を産み出せるかどうか、と言う事を。」


それは、可能なのでしょうか?


「どうか、私に、その問いをなさらぬように。」


なら、人が過去に囚われず、未来を生きなければ、絶え間ない葛藤を終わらせる事が、出来るでしょう。


そして、その投影が、世界であるなら、争いのない見た事もない世界を創造する事が、出来るかも知れません。


「ほう、素晴らしい。」


「あなたは、自分自身の力で、一つ知恵を付けました。」


いやあ、それ程でも。


しかし、それも一つの未来であり、理想に過ぎないと仰るのでしょう?


「さて、どうでしょうか?」


「あなたは、どう考えるのでしょうか?」


「私は、答えを持っていないのですよ?」


ううん、さすがに、知恵の文殊さんですね。


考えると、パラドックスにハマって頭がウニウニしてしまいますよ。


「考える事は、大切ですよ。」


「考えから自由になる為には、考えないようにするのではなく、もはや、考える必要がない状態が、訪れるまで、考えるしかないのですから。」


しかし、下手な考え、休むに似たりとも言いますよ?


「それは、悩みについての言葉でしょう?」


「悩みも、思考が過去か、未来にあるから、悩むのです。」


なるほど。


いや、しかし、人が葛藤を終わらせて、見た事がない世界を、産み出す事は可能かと言う、壮大かつ、大変、考えさせられる、お話でしたね。


簡単に、答えは出ませんが、何しらのヒントになった気がします。


それでは、お時間となりました。


文殊さん、ありがとうございました。


「こちこそ。」


それでは、如来ストリーム。


また、次回、お会いしましょう。

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