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如来ストリーム  作者: 古屋裕
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如来ストリーム 弘法大師

初めまして、皆さん。


素敵なゲストと楽しい時間をお届けする如来ストリーム。


さて、今回の配信は、特別企画として高野山よりお送り致します。


DJは、アフロさんに変わりまして、この如来ストリームのプロデューサー、もょもとが、務めさせて頂きます。


いやあ、実は、本日、母と二人で高野山を観光に訪れたのですが、母は、しきりに、「弘法大師と空海って、どっちが偉いの?」って聞いて来ましたので、私は、「さあ?多分どっちも、同じくらい偉いんじゃね?」って答えてやりましたよ。


母親は、今頃、ホテルで休んでいると思いますが。


さて、空海さんと言えば、真言密教の開祖であり、未だ高野山で生き続ける、不死身の超人ですから、今回は、空海さん直々に、密教の真髄について、語って頂きたいと思います。


それでは、空海さん、宜しく、お願い致します。


「こちらこそ、よろしくお願いします。」


さて、空海さん。


そもそも、秘密仏教が、いわゆる密教と呼ばれるものですよね。


仏の教えを、あえて秘密にしなければならない理由があるのでしょうね。


もちろん、秘密なのですから、おいそれと話す事が出来ないのも、理解しています。


しかし、それだと配信になりませんから、無礼は承知で、秘密仏教の秘密を、話せる範囲で構いませんから、お話しして頂けると、ありがたいのですが。


「秘密にしようと思って秘密にしている訳ではないよ。

ただ、明らかに出来ない教えは、誤解が生じると間違った結論に達して、衆上を惑わす事がある。」


「そうした教えは、言葉にはせずに、象徴に込める事によって、より本質的な事を相手に伝える。」


「本当に大事な事は、黙っていた方が、相手に染み渡るものだからね。」


それが密教ですか?


「しかし、それを理解する為には、地に足をつけながらも、高次元に対して、意識を開く必要がある。」


その為に修行が必要になる訳ですね。


「密教は、文字や理論によって伝わるものではないという、禅で言うところの、不立文字に基づく思想だね。」


ふむふむ。


「だから、私は、密教の本質を伝える為の手段として、言葉の意味よりも、所作や、そこに隠されている本質を感じ取りなさいと弟子には、教えたものだよ。」


なるほど。


「密教とは、その人から、滲み出るものであり、また、その人の生き方、そのものだからね。」


「さて、密教の話は、のちのち語るとして、今回は、少し、あなたの話をしようか。」


私のですか?


「そう、何故、あなたが、高野の地に、足を踏み入れなければならなかったかと言う事を。」


いや、普通に観光として行ったつもりですが?


「いいや、本当は、分かっている筈だがね。」


「数年前から、あなたの内面は、急激に陰と陽の統合が起こっていたと言う事を。」


「そして、その為に、現実世界で、様々な場所を巡る事になり、その集大成として、この高野山にやって来たのだと言う事も。」


う~ん…。

確かに、ここ最近は、様々な場所に導かれるようにして行きましたが、高野山が、旅の集大成なんですか?


「今回の旅で、数年前から始まった内面の統合のプロセスは一応の決着が付いた。」


「あなたの旅は、出雲から始まり、伊勢を経て、そして高野の地に至る。」


「出雲は、日没の象徴であり、陰を。

伊勢は、日出ずる象徴であり、陽を。

そして、この高野は、陰と陽が極まった土地なのだ。」


「それ故に、私は、この地に寺院を築いたのだよ。」


そうだったんですか?


私の旅にそんな意味が?


しかし、空海さんは、何か、私に詳しくないですか?


「それは、私は、あなたと、無関係では無いからだよ。」


そうなんですか?


「それも、後で説明しよう。」


分かりました。


では、高野山が、陰陽極まった土地であると言うのは、一体、どう言った意味なのでしょう?


「そのままの意味だよ。」


「例えば、高野山は、水銀の鉱脈上に位置しているのだが、水銀とは、陰と陽が極まった不老不死に必要な丹の材料だ。」


「だから、この地は、高次元的にも、物理的にも、陰と陽が極まった土地であるのだよ。」


ははぁ。

確かに、水銀は不思議な物質ですよね。

水なのか金属なのか。


しかし、中国の歴代の皇帝の幾人かは、不老不死を目指すも、水銀中毒で亡くなってますよね。


しかし、水銀は、猛毒で服用したら大変な事態になると思いますが。


「勿論、そのまま服用すれば、猛毒だ。

だから、一手間かける必要がある。」


「それに、それを服用するにしても、肉体的にも、精神的にも修練が必要になる。」


修練と言いますと?


「体内で丹を練る修練だよ。

殆んどの人は、肉体的にも、精神的にも、陰か陽か、どちらかの要素に偏っている。」


「食事など摂取する事で、体内の傾きを中庸に戻す方法を外丹術と言い、呼吸や瞑想、或いは身体を使う事で、中庸に戻す方法を、内丹術と言う。」


「そして、偏りがある場合の反作用がアレルギーと呼ばれるものだよ。」


ああ、アレルギーって、反作用だったんですね。


「心理的反応であれ、肉体的反応であれ、そうした反作用が出ると言う事は、どちらかに偏っている証拠だ。」


「従って、それに対応しうる、厳しい修練を積んでいなければ、水銀を摂取した際に、強烈な反作用が、精神的にも肉体的にも出てしまうだろうね。」


まあ、これ読んで真似されても困りますからね。


「もっとも、これは必要最低限な事であり、それから先は、ここでは語る事は、出来ない。」


それも秘密なんですね。


「しかし、この陰と陽が極まった状態だけが、物事の有り様を、まったく別の要素に変えてしまう。」


「これを錬金術と呼ぶが、錬金術は、物質的のみに当てはまらず、精神構造をも変容させる事が可能だ。」


「だから、今回の旅によって、あなたの内面で、陰と陽の統合と言った、錬金術的な事態が起こり、あなたの有り様は、まったく違ったものになってしまった。」


「だからと言っては何だが、あなたの過去しか知らぬ者が、今のあなたを見れば、全く違った者に見えるだろうな。」


まあ、それは良く言われます。

でも、自分で変わったようには、思えないのですよね。


「本質的な変容は、自分では気付けない事が多い。

表面的な意識で、自覚出来るものは、単なる変化に過ぎず、変容とは、魂の在り方が変わってしまうくらいの全体的なものだから。」


「さて、あなたの内面の変化は、本当のあなたを思い出す旅でもあったのだが。

あなたは、自分が何者で、何が出来るのか、思い出す事が出来ただろうか?」


はい…?


「ふむ、ここまで言っても分からないかな?

では、あなたは、私を良く知らないだろうが、私はあなたを良く知っている。」


「つまり、私は、あなたを、あなたの心の旅へと導いた存在なのだが。」


ああ…!


もしかして、あの時の夢に出て来た、十二人の仙人の内の一人ですか?


「そうだ。」


「その時、私が語った言葉を覚えているかな?」


そりゃ、覚えてますよ。


「我々は、この地に、道教を伝えた存在だ。

この地の様々な場所に叡智が隠してあるから、あなたは、行って、それを感得して来なさい。」


確か、そう、言われましたよね。


当時は、道教?えっ、何それ?って状態だったので、混乱したのを覚えてます。


あ~、大師さんは、あの時の仙人の一人だったんですね。


「ようやく、やっと分かったか。」


「では、ここで、あなたの過去世について語ろうか。」


私の過去世ですか。


「かつての、あなたは、東方の三神山にあるとされる、不老不死の仙薬を求めて、大陸から、この地にやって来た道教の方士の一人だった。」


「もっとも、幾度も繰り返した過去世においては、この私のように、仏に仕える僧侶だった事もあるがね。」


「あなたの魂は、元々が、偏執狂的な性質なのだ。

だから、あなたの過去世は、その殆んどが、宗教的な修業か、道学的な研究や実験に割り当てられた。」


まあ、何となく分かってはいたんですが、そうだったんですね。


「我々が何故、あの時、この地に存在する叡知を感得してくるよう、あなたに、言ったのか分かるだろうか?」


そうですよ。


それからの、人生、本当に大変でした。

前もって、何が起こるかが分かっていたなら、とても、前には進めなかったと思います。


「大変だったのは、充分に理解している。」


「しかし、そのころから既に、あなたの内面の統合は、始まっていたのだ。」


「この地に隠してある叡知は、それ相応の修業をした者にしか分からないし、中には、あなた以外には、分からないものもある。」


そうなんですかねぇ?

にわかには、信じられないですねぇ。


「かつての、あなたが、今のあなたの為に、隠した叡智もあるのだから、それも当然だろう。」


そんなもんが、あるんですかね。


どこに行っても、自分が、何にも分からないって事だけがよく分かりましたけどね。


「ふふ。人はこの世に誕生する際に、何かしらの約束や、契約を結ぶものだ。」


「シャーマンとしての素養があれば、霊団を率いて、そうした者の成長の為に骨を折らねばならない。」


「神や精霊などと契約をしているのであれば、その場所に赴く必要が生じるだろう。」


ああ、よく、場所に呼ばれると聞きますが、そうした感覚とは、どのようなものなのでしょうか?


「あなたのように、明確に行くように促されるケースは稀だが、同じようなメッセージを何度も目にしたり、その場所に行きたくなったり、行かなくてはならないと思うようであれば、その場所に呼ばれている可能性はあるだろうね。」 


実際、行って何かをするって訳ではないんですけどね。

スタンプラリーみたいな感覚で巡ってましたが。


「その場所に呼ばれているなら、変に気負わない方が良い。

どうせ、個人が出来る事など、たかが知れてるし、何より、仕事をこなしているのは、高次元に存在している、あなたなのだからね。」


「そうした場所に呼ばれると、仕事を任されるかわりに、その人が必要としている叡智を受け取ることが出来る。」


「それは、地殻に埋もれている古い人々の記憶や知識だったり、もしくは、神霊や精霊などが渡してくれる叡智であったりする訳だが、どちらにせよ、そうした叡智を受け取る事で、その人は、徐々に極まっていく。」


極まっていくとどうなるのですか?


「あなたが、世界の殆んどに関心が持てないのは、光や闇と言う二つの要素では、世界は、絶対に変えられないと言う事を心の底から、理解しているからだよ。」


「世界を変えられるのは、光と闇を内包する愛だけだから。」


「つまり、極まると言うのは、白も黒も同時に存在せしめる、愛となると言う事なのだよ。」


しかし、何故、夢にまで現れて、私を導こうとしたのですか?


「千年の長きに渡り、私は、この国の結界を解いて来た。

それも、来るべき弥勒の世の到来に合わせる為に。」


その弥勒の世とやらが、今の時代なんですね?


「そうだね。だがらこそ、その結界を解く為の協力者が必要だったのだ。」


そのお陰で、こちらは相当苦労させられましたけど。


「逆に言えば、その体験があるからこそ、今のあなたがあるのではないかな?」


「どちらにせよ、私の仕事を手伝う為には、カルマの解消が必須であり、同じように、高次元にも意識が開かれていなければならないのだからね。」


その為の苦労ですか。


「本来なら、私に感謝してもしきれない程の叡智を、あなたは受け取っているのだよ。」


はは。


まあ、過ぎてみれば、そんな苦労もすぐに忘れてしまいますからね。


しかし、私は、言うほど立派な人間じゃないですよ?


「それも知っているよ。

何も、協力者は、あなただけではないのだからね。」


「私は、あなた方を通して、世界を見ているし、それが私が、不死である所以でもあるのだよ。」


「さて、この国を覆う結界は、既に取り払われているが、先の震災により、東北地方の水脈や地脈はズタズタに寸断されてしまっている。

だから、依頼があれば、そうした場所にも赴いて、是非、亡くなった者達に対して、冥福を祈って欲しい。」


そうですね。

恐らく、その出来事によって閉じ込められていたものが、再び姿を顕すと言った意味もあると思うのですが、機会があれば行ってみます。


今回は、密教から、ライトワークのお話になりましたが、この弘法大師との対話が、リスナーの皆さんの何かしらのお役に立てば、幸いだと思います。


さて、今回は、高野山より、弘法大師空海さんと、DJもょもとで、お送りしました如来ストリームですが、次回で最終回となります。


それでは次回!


※この配信は2016年4月21日に書かれたものの再放送です。


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