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如来ストリーム  作者: 古屋裕
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如来ストリーム 地蔵菩薩

やあ、皆さん、素敵なゲストと、楽しい時間をお送りする、如来ストリーム。


今回のゲストは、恐らく、日本で一番馴染みのある菩薩さんですよね。


仏になる力を持ちながら、あえて仏となることを拒否。


そして、自らの意思で、人の身のまま地獄に落ち、すべての苦悩と、さ迷い続ける魂を救おうと決意した。


そう、お地蔵さんこと、地蔵菩薩さんに、お越し頂きました。


それでは、地蔵菩薩さん、どうぞ。


「よろしくお願いします。」


さて、地蔵菩薩さんと言えば、六道を隈なく巡り、一切の衆生を救い続ける菩薩として、男女問わず、子供から、老人まで、あらゆる世代の人達から、絶大な人気を誇りますね。


さて、そこで、お訊ねしたいのですが、そもそも六道とは、どう言ったものなのですか?


「六道とは、天道、人道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄と言う、六つの迷いの世界を言います。」


迷いですか。


「人の世は、(えにし)と申します。」


「例えば、大都会で、確率的には、ほぼ間違いなく遭遇する事はないであろう、知人や友人と出会う。

そう言った事は、誰にでも起こり得る事でしょう。」


ああ、そう言う事は、稀にありますね〜。


それで、その人と“世間は狭いね”なんて話になるんですよね。


「しかし、そうした、巡り合わせとは、実は、世間が狭いのではなく、住んでいる世界が同じだからこそ、起こり得るのです。」


言われてみれば、世界には数え切れない程の人が存在してるのに、出会える人なんて、ごく限られてますよね。


それが縁ですか。


しかし、例えば、苦手な人から逃げて、逃げて、違う環境を求めても、そこでも、同じようタイプの、苦手な人に出会ってしまう。


その他にも、出会う人が、何故か、自分と似たような境遇だったなんて事が頻繁にある。確かに、人の縁って不思議ですよね。


「その通りです。そうした因縁が結んだ、衆上が住する世界を、六道と呼ぶのです。」


ふむ。


「人の縁とは、対象を引き寄せるエネルギーです。」


「その者が、為すべき事。その者が、乗り越えねばならない事。」


「好む、好まざるに関わらず、人の魂が、求めるエネルギーは、必ず、己が本当に必要としている対象を引き寄せるのです。」


ああ、聞いた事ありますよ。それは、カルマと呼ばれるものですよね。


「では、少し、このカルマと呼ばれるものについて語りましょう。」


お願い出来ますか。


「カルマとは、その者が引き寄せている因縁の事です。」


はい。

しかし、カルマと聞くと、ネガティブなものを連想してしまいますね。


「それは誤解なのです。」


「カルマが無ければ、その者は、この世に存在する理由もなくなる故に、カルマは負債でありながら、恩恵でもあるのです。」


「そもそも、この世は右でも左でもなく、中庸なのです。しかし、その中庸から外れるならば、カルマを作り出す事になります。」


「そして、カルマには、いくつかの種類があります。」


「まず、その者の偏った考え方が引き寄せる、個人的なカルマがあり、次に、その者が生まれた家系が引き受けているカルマがあります。」


「個人的なカルマは、現世で作り出したものや、輪廻を経て、過去世から、引き継いでいるものがありますが、どちらにせよ、そのカルマは、自身自身が作り出したものです。」


「家系のカルマは、その家系に産まれる為に、引き受けたものです。

地域差や、個人の資質としての差異はありますが、通常は、家督や長子が、その多くを引き受けているでしょう。」


「更に、その者が暮らしている土地にまつわるものや、所属する団体が持つカルマがあります。

地域や民族、そして国家などが、これに該当します。」


「カルマについて、大まかに説明しましたが、理解して頂けたでしょうか?


まあ、何となく分かりました。


つまり、そうしたカルマを解消する為に、人は、この世に、生まれて来ていると言う事になるのでしょうか?


「自分らしく生きる為には、その人の成長を阻害しているカルマは、必ず解消しなければなりません。」


「しかし、カルマの解消は、手段であって、目的ではないのです。」


では、人が生きる、本当の目的とは何なのでしょうか?


「生きる事の真の目的は、この世に、自分自身を顕現させる事です。」


ああ。つまり、自分らしく生きるって事ですよね?


しかし、全てのカルマを解消してしまうと、人は、この世で生きていく意味をなくしてしまう筈だと思うのですが。


「確かに全てのカルマを解消してしまえば、人は、この世に存在する為の理由を失ってしまうでしょう。」


「なので、取り組むべきは、自分らしく振る舞えない要因たるカルマの解消なのです。」


「しかし、先程申しました通り、カルマとは、負債でもあり、恩恵でもあります。」


「よって、その解消の為には、それ相応の労力が必要になるのです。」


ああ、確かに、考えただけで、大変ですよね。

   

「だからこそ、同じような境遇の者や、同じような目的を持った者が引き寄せられるのです。」


「その者のカルマを解消させる為の手助けや、学びとして。」


なるほど。


「では、嫌いだったり、苦手だったりする人が引き寄せられるのは、何故でしょう?」


「それが、その者の偏りであり、その者の内面にある醜さだからです。」


そうなんですか?


あんな意地悪で、性格が悪くて、何かと言うとすぐにマウントを取りたがるような、粗野で野蛮な奴が、自身自身が抱えいる醜さだと、そう仰るのですか?


「どうしても認めたくない様子ですね。」


そりゃそうですよ。


「しかし、その者の事を、思い出して、罵っているあなたの姿は、その者に負けずに、醜いのではないですか。」


それが、私の醜さと仰りたいんですね。


しかし、その事に関してだけは、素直に認められない自分がいますね。


どう考えても、悪いのは相手の方で、私が悪い訳ではないと思ってしまうのです。


「起きてしまった事に関しては、同情します。しかし、醜さについてだけ言えば、それが事実なのです。」


「あなたが体験する世界は、あなたの内面の投影に過ぎないのですから。」


う〜ん。


これは、簡単に納得出来るものではありませんが、この件については、後で、熟考してみたいと思います。


しかし、許せない事を、許せるようになるのは、とても難しいですよね。


「そうした許せない思いを抱えているのは、その思いを抱える必要があるから、そうしてるのでしょう。」


「その思いが、引き寄せるものから、何かを学び取りたいと、本心では願っているからです。」


そう言うものですかね。


「そう言うものです。」


「それに、解決に時間を要するものもありますから、それ程、深刻にならないように。」


なるほど。


しかし、反発とは、まるで磁石のようなものですよね。

同質のものだからこそ、反発し合うのでしょう。

うう。悔しい気もしますが、これについては、勝手に納得して、許してしまうような気がしますね。


「この、カルマについては、まだ語らねばならない事が多くありますが、しかし、それは、何れ、この配信に登場する、私でない何者かに譲りましょう。」


はい。


今回は、地蔵菩薩さんに、カルマによる引き寄せをテーマに語って頂きました。


しかし、名残惜しくも、時間となってしまいました。


では、最後に、地蔵菩薩さん、何かございましら…。


「そうですね、では。」


「人が、生きると言う事は、私のように、この世を行脚すると言う事に、似ています。」


「この世には、平坦な道や、登り坂、下り坂がありますね。」


「人生の、ある部分だけを切り取って眺めるのなら、下り坂ばかりだと思えてしまう事もあるでしょう。」


「あるいは、登り坂ばかりに思えてしまう事もあるやも知れません。」


「しかし、全体を観るのなら、登り坂と下り坂は、必ず等しくあるのです。」


「旅とは、そのようなものであり、それは人の生もまた同じなのです。」


「それに気が付いたのなら、人は、どうして私ばかりが、とは言わないでしょう。」


「ですから、今、人々に必要な価値観とは、局地的な見解ではなく、全体的な気付きなのだと、そう思うのです。」


……。


いやあ。充実した話を、ありがとうございました。


「こちらこそ、ありがとうございました。」


それでは、また、次回、お会いしましょう。


如来ストリーム。

バイバイ。

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