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女子高生――岬

いつまで生きればいいのだろうか。いつになったら死ねばいいのだろうか。


そんな事を思いながら、毎日を送っている彼女の名は工藤岬。


『つまらない』


ボソッと呟く本音は宙を舞いながら、空へと消えていく。


誰も彼女の声に見向きもしない、そいれが現実だ。つらいを通り越して壊れてしまった心はいつまでもさまよい続ける。


「つまらないのなら終わらせばいいだろう?」

『え』


いつもなら返ってくる事のない言葉が彼女の耳を霞める。


「ね?岬」

『貴方は?』

「私には名前がない。だから無と呼べばいい」

『無……』


再生するか崩壊へと突き進むかは彼女次第。私は本当の願いを叶える為に生きている支配人。


「君を救うつもりはない。だが、君に本当の快楽を与えてあげる」


それが生きる快楽なのか絶望と言う名の快楽かは君が選択すればいい事だから。


『なんなの……』


怪訝な顔で見つめる岬の瞳から少しの光を感じる。私とは違うものを持っている。その瞳の奥からは純粋ささえも感じてしまうほどに


――綺麗だ。


「久木を知っているだろう?」

『……ええ』

「なら分かるはずだ」

『まさか』

「そう、そのまさか」


怪しく微笑みながら、彼女へとまた一歩近づいていく。怯える素振りを見せない彼女は本当に今回のターゲットにふさわしいのかと疑問に思ってしまう。


『来てくれたのね。道化師』

「そんなに会いたかったのかい?」

『……憧れてるから』

「それは光栄な事だ」


道化師……私の事をそう呼ぶのが普通だろう。決して表舞台に立つ事のない支配者なのだから。


「だけど私は『無』だ。そう呼んでくれた方が都合がいい」

『……分かったわ』


可愛い鳥は本当の地獄を見た時、どんな選択肢をするのだろうか。


「よろしく」

『よろしく』



それが私と岬との出会いだった――

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