第2の基地は鉱山基地
「やはり資源が必要だ。」
今基地内では作業員が十分にある状態なのでエネルギーや食料が謎の科学の力でどんどん生成されている。他にもいくつかのアイテムを残っていた資源で作らせた。だが調査や監視用のメカを作らせるとその資源はもういくらもない。基地建造用の建材は十分にあるのだがカテゴリーが違うようで転用が出来ない。
「金属類が欲しいな。」
木材とゴム材なんかの植物系資源は周辺の森から採取できるので物的資源としては金属類が足りない所。そして鉄だけでなく他の軽重金属も欲しいし出来れば希少金属も欲しい。
なので今はレッド、ブルー、イエローと一緒に金属探知器を持って鉱山を探している。基地の洞窟を出てすぐは森なのだがちょうど反対側が山脈だ。そこを俺は「飛翔」を使って、スライム3人娘は背中から翼を生やし山脈上を飛びながらの探索だ。
レッドは不慣れだが何とか翼を操って飛んでいた。その点、ブルーはすぐに慣れてスイスイと空を飛んだ。ブルーは元がバブリースライムだからか体躯変形による翼の操作が得意なようだ。ただイエローは飛ぶのがどうも苦手のようで、結局今は俺のマントにしがみついている。
それをレッドとブルーが叱るが、イエローはどこ吹く風だ。そして俺のマントにスリスリと頬を擦り付けている。
それを見てレッドとブルーがさらに怒る。……イエローだけ、今度みっちり練習だな。
そして飛んでいると、
「ここはウィズダール山脈-南3です。」
とコンソールに表示された。ここは名前が付いている場所のようだ。しかも南3とあるから他にも南1や南2もあるという事になる。そして少し飛んでいると、
「ウィズダール山脈-南3を支配しました。」
と表示された。この一帯は魔物等の敵生体が居ないためマップに収めるだけで支配地域となった。続けて
「ここはウィズダール山脈-南5です。」
「ウィズダール山脈-南5を支配しました。」
「ここはウィズダール山脈-南-7です。」
「ウィズダール山脈-南7を支配しました。」
と表示された。
マップを見ると青くなっているから順調にこの一帯を支配地域としているようだ。
で、山脈付近を飛んでいると、ある物を見つけた。
「ふむ。これは……街道か」
「人間が通るよ〜」
「……人間が使う道」
「人間! 食べたら美味しい!」
山脈の外れ、草原との間に街道を見つけたがスライム3人娘達はこれは人間の街道だと言う。
「ここは聖王国グランセル-帝国ダーズセル間街道です。」
とコンソールが教えてくれた。
ふむ。この世界は人間がやっぱりいるらしい。しかも王国や帝国まで。街道をよく見ると馬車らしき車両の跡や動物の足跡がある。原住民はそこそこの文明レベルを持っているようだ。
「ふむ。ここを監視ポイントとしよう。レッド。装置の設置しろ。」
レッドに作らせた監視装置を設置させる。この街道を通る人間が居たら記録とアラーム発令をする装置だ。街道を辿って人里の調査もしたいが……現状は資源の調達の方が先決だな。街道を通った人間は様子を見つつ可能ならば誘拐する方針にして街道の事は後回しだ。
太陽を見るとちょうど真上あたりにある。今は昼時のようだ。で、また色々と飛び回っているとお目当ての物を見つけた。
「ここはウィズダール山脈-中央6です。」
とコンソールが知らせてくれたと同時に、
「ヴァイスクラウド様、この近辺に鉱山があるようです。」
金属探知機を持ったブルーが知らせてくれた。
「ふむ。ではあそこの平らな土地に降りるか。」
鉱山予定地の中心地には盆地があった。その盆地に降り立つ。
この土地は……特撮やなんかでヒーローと悪の勢力が戦う場所「採石場」のような雰囲気があった。何の人の手も入っていないので、雰囲気だけだが。この悪の勢力を作り上げたゲーム内でも採石場はメインの戦闘場所の1つだからか、採石場は戦場というイメージがある。
「……ヴァイスクラウド様。……資源の採集方法。……どうしますか?」
そうだった。少し感傷に浸っていたようだ。
「ここに第2の基地、鉱山基地を作る。」
コンソールのマップを確認するとここ周辺はすでに支配地域だ。だから基地建造が可能だ。しかも基地作成のための資源だが本拠地に保管してある建材を何のペナルティも無く使えた。建材の運搬などは不要なようだ。
「これは本当に謎の力だな。」
このゲーム内の技術は殆どが科学的な代物だ。(という設定資料集がある) 飛翔の時に脚から飛ぶ謎の粒子もそう言った類だ。だが資金と資源が揃えば基地が建造されるのはゲーム的な力だ。
俺は謎の力で採掘基地を建造した。
山壁にボコッと穴が開きその洞窟の奥に採掘基地の設備がどんどん作られていった。発電所、倉庫、食料部屋、生活のための部屋を始め採掘機や採掘道具の製造のための部屋などを作った。
さて採掘基地も本拠地と同じく稼働させるには構成員を配置しなければいけない。
「ここの採掘担当は……」
ここの採掘を誰に任せようか。今現在ネルフス帝国には超万能の配下が3人いるが鉱山採掘にずっと従事させるのはもったいない気がする。
「採掘は……捕獲した魔物達にさせよう。」
「わかりました。」
そのために色々と準備をしないとな。
魔物達には人並みの知能を付与して。採掘基地内には居住場所のスペースが足らないから、この辺りの土地を魔物達の居住区にして。ストレス発散用の施設も必要か。色々とやる事がありそうだ。俺は3人娘達にそれぞれ作業指示を出した。
さて本拠地に一度戻ろうか?と思ったら、
遠くの山で何かキランと光る物が見えた。
なんだ?
よく見ると遠くにポツンと一軒家が見える。
ふむ。この山奥に誰か住んでいるのだろうか。
「飛翔」
俺はその一軒家目指して飛び出した。
#0001基地(名も無き洞窟) 本拠地
構成員4人
#0002基地(ウィズダール山脈-中央6) 鉱山基地
構成員0人