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規格外の改造魔物


本拠地洞窟前の森を歩いて探索する。

「ここは名もなき森-西です。」

とコンソールに表示された。ここは森の西側か。周囲を見ると明らかに見たことの無い木や草。雰囲気も何処と無鬱蒼としている。やはりここは日本や外国のどこでも無い場所だ。

さて、俺はこれからこの森で基地を機能させるための構成員を調達する。でその構成員だが。まず俺は3タイプの軍団の人員開発の研究を極めている。


改造生物(モンスター)軍団

ロボット軍団

改造強化人間軍団


構成員の調達方法は基本的に人あるいは動物を改造するかまたはロボットを作り上げるかだ。

「人間が見つかれば話が早いんだが。」

日本が舞台の元のゲームだと構成員を作るベターな方法は「人間を攫って改造」だ。人間であればほんの少しの改造と洗脳だけで構成員が作れる。

ロボットを作るためには希少鉱物が多く必要だが悲しい事にせっかく集めた資源が空の状態の今では作れない。希少鉱物を集める作業員もいないし。

次に改造生物は動物と動物の掛け合わせだったり遺伝子操作、一部器官の拡張、特性の付与などで作るが比較的万能の作業員を作ろうとしたら多くの点の改造が必要で手間がかかる。

現状、人の集落が少しも見当たらないこの辺りでは……

「この森にいる動物か何か捕まえてそれの改造生物を作る、だな。」

手がかかるだろうが仕方ない。


と、思っていると何かの動く気配を察知した。

「なんだこれは……」

サッカーボールくらいの液体の球体がプニプニと動いている。ウインドウが表示されてその生物の名は「はぐれスライム」と出た。

「ふむ。スライムとは。ここはファンタジーの世界か?」

そのスライムはプルプル震え出すとこちらにボヨンと飛んで体当たりしてきた。避けるまでもなくデコピンで弾き返す。

「最弱の魔物(モンスター)の代名詞、スライムか……」

弾き飛ばされたスライムは地面で蠢いている。


俺はそのスライムに対して……

捕縛(バインド)

転送(ファックス)

基地まで転送させた。

「こいつで改造生物を作ってみるか。」

元のゲームで生物の調達となると基本的に日本の動植物か稀にレアとして猛毒持ちなどの特性持ちの動物を仕入れるとかだった。だから、ファンタジーの生き物で改造生物を作るのは初めてだ。正直どんな改造生物に出来るかわからない。



基地に戻るといくつかの部屋が完成していた。で、早速スライムを手術室に運び出して試したら……。

「かなり高性能な改造生物が出来そうだ!」

結論から言うとスライムはかなり強力な改造生物になりそうだった。分裂、擬態、触手、各属性などの特性を付与出来る容量(キャパ)がこのスライム1匹だけで十分にあり作業員だけではなく戦闘要員としても使えそうだった。肉体改造後の精神の改造についても、

容量(キャパ)は……問題なしだな。一般の野生動物より知能や知識付与にかなり余裕ありだな」

生物を悪の勢力の構成員とするための方法は色々あるが……知能の低い単純な生き物の場合は忠誠を誓うという習性をプリセットした知能を付与し軽微な洗脳による構成員化がベターだ。俺は久し振りにワクワクしながら改造を進めた。



改造を終えたスライムに話しかけてみる。

「気分はどうかな?」

「ヴァイスクラウド様! この体すごい!」

と赤い色のスライムが元気よく喋る。改造後スライムは付与した属性に関係した色になった。

「お前にはネルフス帝国のために働いてもらう。帝国の骨子を支える重要な仕事だ。まず擬態してみせろ」

赤いスライムは姿を変える。黒いテカテカのボンテージスーツを全身にぴっちりと身につけて赤い髪を黒のリボンで結んでポニーテールにした女の子が現れた。擬態先に「怪盗」の要素を入れたのでこの姿だ。擬態した姿の性別や年齢は元の種族のそれに左右されるが、

「ふむ。お前はメスのスライムだったのか?」

「スライムは単性だよ〜!」

「なるほど。……お前の事レッドと呼ぶ事にする。それとも元の自分の名前があったりするか?」

「レッドが良い!……でも……群れから追い出された私なんかが……ここにいていいの?」

「ふむ。レッドを追い出した者達はとんだ馬鹿者達だな。お前はかなりレアな魔物だ。規格外の改造魔物にする事が出来たのだからな。これからは我が帝国のために働け。」

「わかった〜!」

レッドはポコポコと小さいスライムをどんどん生み出した。その小さいスライム達はそのまま各部屋に散らばり作業を始めた。

「食べ物を作る部屋だ〜。楽しみ。」

「その前に発電しないと何も動かないんだよ。」


「拷問室怖い〜。」

「サボる子は、牢獄からの拷問室送りだよ〜」

「キャ〜! 怖〜い! キャ〜!」


レッドから分裂した小さいスライム達は触手を伸ばして作業し始めた。全員がワーキャー言いながら働いている。少しうるさくも感じるが……多少の喧騒があった方が明るくて良いか。


これでこの基地の殆どは機能するようになった。しかしこの世界の魔物(モンスター)は規格外だな。改造容量が高いので強力な改造生物を作り上げる事が出来た。

「レッド。この辺りの魔物を他にも捕まえる。付いて来い」

「おっけ〜!」

他の魔物を捕まえるために俺はレッドと探索に出た。



(1人になってからはずっと森でコソコソ逃げる生活だったけど……こんな素晴らしい体を貰えて! もう逃げたり隠れたりしなくて良いんだ! )

レッドは1人考える。

(もう寂しい思いも……しなくていいと思って良いのかな。ヴァイスクラウド様? )


#0001基地(名も無き洞窟) 本拠地

構成員2人

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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして。良作の予感… 続きも楽しく読ませていただいてます! [一言] >レッドはポコポコと小さいスライムをどんどん生み出した。 擬態した状態で分裂ではなく生み出したという所がポイン…
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