迷いの森とエルフの里
今、俺はブルーとイエローと共に本拠地近くの森の上空を飛んでいる。ブルーとイエローはこれから森の魔物達の捕獲と掃討をする。そのための魔物用の捕獲メカを携えて。
「人型の魔物をなるべく臣民としろ。それ以外の魔物はある程度の数を捕獲したら掃討せよ。」
「はい!」「オッケーです!」
人型にこだわるのは俺の好みの問題だ。動物主体の改造生物軍団の織聖 ゲシュペン兄妹が頭をよぎってしまうから。
その後俺はブルーとイエローと別れた。そしてこれからマップ埋め作業をする。
はるか上空を飛んで周囲を見ると森と山や川からなる大自然がはるか彼方までずっと広がっている。海は見えずにずっと大陸が続いている。
「ここは名も無き草原です。」
「ここは名も無き森2-西です。」
「ここは名も無き森2-南です。」
「ここは名も無き森2-東です。」
「ここは名も無き森2-北です。」
見つけたランドマークは東西南北の全てのマップを埋める。面倒だがこれがマップ埋め作業だから仕方がない。
「ここは名も無き川です。」
「ここは名も無き丘です。」
「ここは名も無き草原2-西です」
草原や丘には角の生えたウサギやゴブリンなどの魔物がチラホラ居るのが見える。だが今回は魔物よりもマップ埋め作業優先だ。希少魔物が居れば別だが。
と、草原に水色の球体が居るのが見えた。近づくと「スライム」と表示される。レッド達と同類か? と思い捕獲してみたが。
「ふむ。改造容量は……低いな。」
なんとなくわかってた事だが名前に「はぐれ」が無いからな。だがスライムの中に希少魔物が居るのだと思うと目に付くスライムを全てをチェックしてしまう。コレクター魂が騒ぐのだ。俺は目につくスライムを片っ端から捕獲していった。
「ここは名も無き草原2-東です。」
「ここは名も無き洞窟2です。」
「ここはプール川です。」
そしてたまに名前のあるランドマークもある。おそらく知的生命体の原住民が付けた名前だろう。
「ここは名も無き森3-南です。」
「ここは名も無き森3-東です。」
「ここは名も無き森3-北です。」
「ここは迷いの森です。」
「ここは名も無き森3-西です。」
ん? 今コンソールのログに違和感があった。
「迷いの森だと?」
マップには確かに迷いの森のというランドマークが出現していた。その迷いの森の一角を見てみるが周囲の名も無き森3と特に違いは見られない。迷いの森とは何だ?
色々と周囲を飛んで確かめるが特に上空からは何も見つけられない。何だろうな。迷いやすいだけのただの森か? それとも魔法的な物か?
「あとでジェシカにでも聞こう。」
と、ここでコンソールからメッセージが。
「ヴェンデルの改造が完了しました。」
ヴェンデルの改造が終わったようだが早かったな。ジェシカの改造時は若返りに時間がかかったがそれが無ければ改造は半日〜1日で終わる。
俺は確認のため基地に戻った。
ーー迷いの森近くのエルフの隠れ里でーー
そこには2人の女エルフが居た。
2人は横長い耳を持ちまた肌が雪のように白く外見は若い。だが年齢差は100歳以上ある2人だ。
「族長! 迷いの森上空に変な奴が!」
「落ち着け。私も補足している。あの白銀の鎧の人間は何者だろうか。 勇者か?」
「さあ、私にはわかりませんが奴に攻撃をしかけますか!? 先手必勝です!」
「落ち着けと言っておろう。奴はこのエルフの隠れ里までは見つけられなかったようじゃからな。だが何かを探す素振りが気になる。念のため警戒レベルを一段階上げろ。」
「はい!」
族長と呼ばれたエルフは報告に来た若いエルフに命令をすると溜息をついた。
「はあ。次から次へと問題が起きるのう。」
迷いの森を進んで「越えた」先にこのエルフの隠れ里がある。現在、人口300人ほどのその里では数々の問題が頻発しておりエルフの族長サクヤは頭を悩ませていた。
例年の東のダークエルフとの抗争が今年は激化しており、また水産物採取ための湖の主である水龍を若いエルフが怒らせたせいで宥める方法を探さなければいけないし、少し前から森の動物の狩りの成果が芳しくないし、そしてサクヤの言う事を聞かないやんちゃな若いエルフは少なくない。
「はあ。族長って大変ー。なんか、こう、スパッと全てを解決する方法は無いかのう。」
族長サクヤはひとりごちた。
#0001基地(名も無き洞窟) 本拠地
構成員5人
ヴェンデル改造完了
#0002基地(ウィズダール山脈-中央6) 鉱山基地
構成員317人
#0003基地(古黒龍の洞窟) 魔石採掘基地
0人