魔女ジェシカの改造完了
次の日の朝、俺とスライム3人娘はジェシカの改造完了を確認するために手術室に集まった。
「よし、改造は完了した。レッド。治療ポッドを開けろ。」
「おっけ〜。」
治療ポッドが開き、そこにいたのは……
茶色がかった金髪が肩まで伸びている身長170cm程のスレンダーな女性。元の姿が120cmほどの小柄な老婆だとは誰も信じない程ジェシカは様変わりしていた。
治療ポッドの中の彼女は真紅のドレスローブを着ている。
目を覚ましたジェシカは治療ポッドから上体を起こした。
「気分はどうかな。ジェシカよ。」
「ふう。……ふふっ。すごいね。あんたは。本当に私の脚を治して……しかも若返らせるなんてさ。」
俺は手を貸して治療ポッドから立たせたるとジェシカは自分の体を動かしたりして体の感触を確かめる。
「ふふ。脚が……脚が……また歩ける日が来るなんて。胸も……全然苦しくない。こんな事が……。」
だが自分の顔を触った時にまだ大きな傷が残っている事にジェシカは気づいた。
「あんた、顔の傷は残したのかい?」
「ああ。その傷をつけた相手にわからなくなっては困るだろう?」
「ははっ! 確かにそうだよ! この傷が無いと奴は会っても若返った私だと気づかないからね。」
顔の傷を残したのは……これはジェシカの「復讐」に関するアイデンティティだから。ジェシカの頭の中を少し覗いた時にわかった事だ。
で、今回ジェシカに実施したのは脚の治療と若返り化、改造は身体能力強化と各種生体機能 (跳躍や飛翔など)を加えた。ジェシカの改造容量は意外と高かったので他にも色々と改造した。
「ジェシカよ。お前には我が帝国の魔法研究の礎となってもらう。」
「ああ。構わないよ。ただ……」
「ふむ。どうした?」
ジェシカは拳をギュッと握りしめる。
「たださ。あんた……嫌がっている女を無理矢理にさ……連れ出すんじゃ無いよ!!!」
ジェシカは俺に思いっきりグーパンチをした。ジェシカの強化された肉体によるパンチの威力は高くクリーンヒットした俺は手術室の壁まで吹っ飛ばされた。
「ぐはっ!」
「!? ヴァイスクラウド様!」
スライム3人娘達は明らかに狼狽した。イエローなんかは自分の手を槍に変化させて今にもジェシカを攻撃しようとしている。
「やめろイエロー。大丈夫だ。」
「でもでも! ……む〜!!!」
イエローは地団駄を踏む。
「ジェシカよ。わかった。私は今後、嫌がる女性を無理矢理連れ出さないと約束しよう。」
「ったくもう。私との約束だよ。ヴァイス。」
「ああ。ジェシカとの約束だ。」
怒っていたジェシカはプリプリとしつつも大人しくなった。
「ヴァイスクラウド様。(ジェシカへの洗脳は) 大丈夫なんですか?」
ブルーが心配して聞いてきた。
「ああ。大丈夫だ。(洗脳は)問題ない。」
問題なくジェシカへの洗脳は完了している。洗脳というものは「押し」ばかりでは完全には成り立たずに何処かに綻びがあれば解けてしまう。北風と太陽のように「引き」の要素も加えて強固な洗脳とする事ができる。だから今のジェシカは俺が約束を守る限り帝国を裏切る事は無い。俺の事を愛称のヴァイスで呼んでいる事もその証だ。
「ジェシカ。早速だが魔法について聞きたいことがある。ついて来てくれ。」
「ああ、わかったよ。」
ヴェンデルにかかっている魔法の事を聞かねばな。
「レッド、ブルー、イエロー。改造ワイバーン兵士達を鉱山都市の防衛に当たらせろ。外敵から都市を「守る」ようにな」
俺はスライム3人娘達に命令を出すとジェシカを連れてヴェンデルを閉じ込めている雪山基地へと向かった。
〜〜〜
その後のイエローとブルー。
「ねぇねぇ、ブルー。」
「なあに。イエロー。」
「ヴァイスクラウド様ってさあ、殴られるのが好きなのかなあ。」
「そんなわけないじゃな…… (はっ、でも、もしかして。洗脳を完了させるために殴らせてたみたいだけど……でもそれならわざわざ自分を殴らせる必要もないし。他の人でも良かったんじゃ……えっ? まさか……そんな。ヴァイスクラウド様にそんな趣味が。……) 」
ブルーは悶々と悩み始めた。
「今度、ヴァイスクラウド様に殴りかかってみよう!」
「バカ。やめなさいよ。イエロー。」
「まあ、見ててよ。」
後日、「女の敵〜」と言ってヴァイスクラウドに殴りかかって、「何を言っているんだ」とゲンコツを喰らうイエローの姿があった。
#0001基地(名も無き洞窟) 本拠地
構成員5人
#0002基地(ウィズダール山脈-中央6) 鉱山基地
構成員210人
#0003基地(古黒龍の洞窟) 雪山基地 (暫定で)
0人