33 告白
長いです。どこで分割すればいいのかわからないので、そのまま載せます
深いため息の後、バルドリックは観念したように留め具を外し、マントを脱いだ。
魔法がかかっているとはいえ、仮面一枚でこんなにも印象が変わるのだとは、ウルスラも思いはしなかった。顔の認識だけではなく、魂の認識すら誤認させるとは。きっと普通の仮面であれば、ウルスラは初見でナハトの正体に気づいていたはずだ。
「いつから気づいていたんだ?」
バルドリックは黒い上着も脱ぎ、ガリアナに預ける。ガリアナは受け取ったマントと上着をくしゃくしゃに丸め、部屋の隅に置いた。
「相変わらずだな」
「本来の職務じゃないんで。というか、うちにそんなこと気にする人はいないんですよ。育ちのいいあなた以外」
茶器をガンガンぶつけながら、ガリアナはバルドリックの分のお茶も入れる。
「いや、育ち以前の問題だろ」
苦笑まじりに答えながら、バルドリックはソファに腰を下ろした。
「で?」
バルドリックに視線を向けられ、ウルスラは何の話をしていたっけ。と首をかしげる。間にガリアナが入ると本当に話が進まないようだ。カップが置かれた位置から判断し、ウルスラはバルドリックの隣に腰を下ろす。バルドリックはほんの少し、ウルスラから離れるように体を動かした。
バルドリックはウルスラを見据える。その表情は、はじめて彼を見た時と同様に無表情だった。何も興味がないと言っているような、無関心を貫く表情。そのくせ、ウルスラを見極めようと目の奥を覗き込んでいる。
やはり、甘さなんで欠片もない。レヴはああ言ったが、バルドリックがウルスラに恋や愛といったものを向けているとは思えなかった。だからこそ、ウルスラも冷静になれる。
「いつから気づいていたか、ですか? レヴさんがナハトの姿で目の前に現れた時ですね。確信したのは、レヴさんの話を聞いた時ですけど」
「ヴォルフォクス、お前は何を言ったんだ?」
バルドリックは鋭い視線をレヴに向ける。
「王家の呪いと、聖女の条件ですが」
カップに口をつけながら、レヴはのんきに返す。バルドリックは仮面を外したというのに、レヴをまだつけたままだ。蒸し暑くはないのかな、とウルスラもカップを傾ける。ものすごく薄い味だった。
「お前が考えている聖女の条件は違うと言っているだろ。愛がどうとかではなく、純粋に治癒能力が問われる」
噛みつくようにバルドリックは言う。レヴはウルスラを見た。解釈をウルスラに任せるとでもいうわけか。ウルスラは、レヴに対して許せないことがあったのでにっこりと笑う。
「本当にレヴさんってヴォルフォクスなんですか? あの?」
小さな狼狐の。犬や猫、それに類する愛玩動物のつもりでいたので膝にのせていたが、これが成人男性だったと思うとぞっとする。
「まあ確かにそうなんですけどね。虫けらを見るような目で見るのはやめてください」
「虫けらの方がましです」
「ひどい言われよう」
ぼそりとバルドリックがこぼす。
「そうは言いますけど、殿下、あなただって似たようなものじゃないですか。今でこそましになっていますけど、初めのうちは強姦魔に出会ったかのように怯えられていたくせに」
「強姦魔……」
レヴの言葉に、バルドリックはショックを受けた顔をする。ウルスラもあえてバルドリックを怖がっている感情を隠しはしなかったが、まさか周囲からそう見えているとは思わなかった。
「くそ。お前の正体もばらしてやる」
「わかります。レオナードさんですよね?」
ウルスラは正面に座る青年を見据える。
レヴは――レオナードは肩をすくめながら仮面を外した。茶色の髪と目が、にっこりとウルスラを見る。警察署で会った時とは印象ががらりと変わる。ぽやっとした間の抜けた人ではなく、笑顔を浮かべながら裏で高速で計算していそうな人だ。
「改めまして。レオナード・ヴォルフォクス・シュバルツと申します。このノイ・アーベントイアーの代表者です」
「シュバルツ……」
そう、警察署で会った時にもそう名乗っていた。ウルスラに最後まで仕えてくれたあの男の子孫。顔立ちも風格も違うし、頭より先に体が動くところは全く違うが、よくよく見れば彼の面影がある。合成された魔獣が狼狐だというところが。
懐かしさに目を細めたウルスラを見て、レオナードは焦ったようにバルドリックに視線を向ける。潔白を訴えかけるように、首を左右に振った。バルドリックからは、なぜかレオナードに向けて殺気が飛ぶ。
レオナードは咳払いをした。意識が前世に引っ張られていたウルスラははっとする。
「まさかこんなにあっさりばれているとは思いませんでした。たった二回しか会っていませんよね?」
「魔王だとばらしていながら、仮面をとらないのなら私が知っている方だと思いました。その中で殿下とかかわりが深いのはオーディーかレオナードさんでしたので」
「オーディーはあの場にいたし、除外されますよね。でも、ナハトの正体が殿下だというのはなぜわかったんですか?」
「ナハトと殿下のエスコートの仕方が一緒でしたから」
ウルスラはあっけらかんと言い放つ。ウルスラをエスコートする人なんて、今までその二人しかいなかったので(実際は同じ人物だったが)、そういうものだと思っていたが、レオナードに腰を支えられた時にエスコートには癖が出るのだと知った。
「殿下のエスコートは癖がないのが癖みたいなものですからね」
「おそらく、正体がばれるのを恐れて殿下にあまりかかわるなと忠告をしてくれたのでしょうけど、殿下の方からかかわってくるんですから」
ウルスラは呆れたようにため息をついた。それに、ここでの呼ばれ方も王子だし。まさか、魔王の息子の意味での王子ではなく、スティード王国の王子をさすとは思わなかったが。
「まあ、殿下はいろいろと拗らせていますからね」
たっぷりと意味を含ませた言葉で、レオナードはバルドリックを見てにやにやと笑った。うるさい、とバルドリックはレオナードを睨みつける。それを見て、ウルスラは思わず笑ってしまった。
「でもヒントはたくさんあったように思います。初めてナハトに会った日、妖虎に襲われている私を助けに来るのが早すぎたとか。一緒にいるのがオーディーではなく、レオナードさんだったとか。怪我をした人間がいなかったかしつこく聞いてきたのは、私がナハトのことを誰かに話すかどうかを確認したかったからですね?」
「おおむね正解です。ちなみに、ナハトが一週間ほど行かなかったことがありますよね?」
「ええ」
確か、ウルスラがナハトを拒絶した後だ。冷却期間を置いたのだと思っていた。
「あれ、公務の合間にアクセサリー職人のところに通っていて、時間がなかっただけなんですよ。学生と王族とナハトと、三つの身分をこなすってかなりハードでしてね。さすがにあなたのところへ行く時間は取れなかったんです。授業中に居眠りをしていることもありましたね」
「なんでそれを知っているんだ?」
愕然とした顔でバルドリックはレオナードを見る。
「警察には非番という日があるんですよ」
レオナードは軽く肩をすくめる。
「今考えると、殿下のウルスラ嬢への接触は異常ですよね。夜になると毎日会いに行くなんて、しかも女性の部屋にですよ? 一歩間違えれば犯罪ですよ犯罪。いや、最初から家宅侵入という罪を犯してますが。令状取ろうかな」
「それは彼女に遠隔操作の治癒魔法を覚えてもらうために仕方なく……!」
「並行して合同授業でも会ってたんですから、そちらで魔法陣を組み立てればよかったのでは?」
「あ」
突然思いついて、ウルスラは声をあげる。バルドリックは驚いたようにウルスラの方を見た。心配そうな表情を浮かべている。
「何かあったのか?」
「いえ。殿下って、ナハトの時は魔法陣なしで魔法を使っていましたよね?」
でも、バルドリックとして活動しているときは魔法陣を使っていた。
「それくらいは普通に使い分けができる」
「普通じゃないんですけどね。僕は魔法陣の構造が全く理解できませんし。そのおかげで魔道具を使うしかなくて、警察では万年下っ端ですよ」
「そういえばレオナードさんはなぜ警察隊に入ったんですか?」
魔法陣の魔法を使えなというハンデを負うなら、まるきり向かない。たぶん腕力もそれほど強くはない。
「そりゃあ、警察が泥棒なんて、だれも思いませんから。警察内部にいると、ある程度情報操作もできますし。後は稼がないとさすがの僕もやっていけないので。何気にいいんですよ、警察隊の給料。さすが公務員」
「給料泥棒だけどな」
「ひどいな、これでもちゃんとやっているんですよ事務仕事。ほんとあいつら、証拠品でさえ雑に扱うんですから。あれでもかなりまともになったんですよ」
書類の山のことを思い出したのか、レオナードがげっそりとした表情になる。しゃべるなといわれていたガリアナは「そっちの仕事に精を出すくらいならうちの山積みの仕事も片づけてほしいな」と独り言にしては大きな声でしゃべっていた。レオナードもバルドリックも華麗にスルーを決める。
「こんな奴に二年前、事情聴取でナハトにならないかと持ち掛けられた時には驚いた。この冴えない男が本当にあのナハトなのかと」
「もともと仲間だったんじゃないんですか?」
「ソロで活動してましたよ。さすがに一人じゃしんどいなと思っていた時に、盗んだものを殿下に取り返されてしまって。都合のいいことに、いずれ魔の森に捨てられる方だったので、取引を持ち掛けたんです。追放後、保護するから手伝ってくれと」
「それで、殿下は追うふりをしてナハトを演じていたんですか?」
ウルスラが問いかけると、バルドリックは静かにうなずく。
「君がどこまで聞いたのかはわからないが、俺はいずれ呪いが発動して魔王として殺戮を繰り返す。魔族のために紅の魔王が身を犠牲にしたことを聞いて、少しうらやましくなったんだ」
「羨ましい?」
「すべてを滅ぼすのではなく、守るために戦うのはかっこいいだろ? 三百年たった今も、彼女は愛されている」
バルドリックは目を細めた。愛おしさと憧れが入り混じったような目だった。ウルスラのことを思っているわけではないのに、ドキリと鼓動が高鳴る。
「だから、彼女が守ろうとしたものを俺も守りたいと思った。でも君は違うだろ? いつもの怪我をした動物を放っておけないという精神はやめるんだ」
「聖女の精神なんかじゃありません。私は聖女から最も遠い人間なんです」
ウルスラはきゅっと唇を引き結んだ。一度大きく息を吸い、そして一気に吐き出す。
「三百年前の大元の原因は、私にあるんですから」
バルドリックもレオナードも、ウルスラが言った言葉を理解できていないようだった。ウルスラはゆっくりと、覚えている事柄を一つずつ語っていく。
「私はとあるプロジェクトの一員でした。魔法陣化できない『呪い』を魔法陣にすることで、バルデマーの、ひいては王家の呪いを分離することを目的とした研究をしていたんです」
聖女に頼り切らない魔王対策が必要だった。魔力値が高かったウルスラはプロジェクトチームに抜擢された。その中で、バルデマーに会うこともあった。貴族位の持たないウルスラが彼と話すことは畏れ多かったが、バルデマーは身分を気にしない人だった。否、絶望の未来しかなかった彼は他人がどうでもよかった。
派手に女遊びをしていたし、よくトラブルを起こして顔をぼこぼこにされて帰ってきていた。治癒魔法をそれなりに使えたウルスラは、そんな彼の怪我を治す担当でもあった。見栄っ張りの癖にどこか甘えたがりで、そのくせときおりかっこいいところも見せてくれるバルデマーに、ウルスラが心を奪われるのにはさほど時間はかからなかった。同時に、研究に没頭した。呪いを成就させないために。
「あらゆる魔法陣を開発しました。呪いを分離するためにはまず、呪いを合成しようという方法も取りました。初めは小さな動物から。次第に大きな動物へ。そして、最後に行きつくものは何か、わかりますよね?」
結果として、人間と呪いの合成はできなかった。そもそも呪いというものが、どんなものなのかウルスラたちにはわかっていなかったのだ。今もまだ、解明されていない。ただ、あの研究の結果として、人間と魔獣の合成が可能だということを証明してしまったのだ。
「封印しようとしていた研究成果は、王軍に取り上げられました。そして私は実験台に」
王宮の地下牢に閉じ込められたウルスラを助けてくれたのは、バルデマーの乳母や従者たちだった。ウルスラを逃す際に彼らは犠牲になった。「どうかバルデマーさまを助けてください」彼らは口々に言った。
「運よく逃れることのできた私は、バルデマーと合流して知りました。魔の森の近くのアーベントイアーという街の住人を丸ごと魔族化させると。バルデマーは王都で、国王の説得を。私は住民を避難させるために街に向かいました。ですが、間に合いませんでした」
街一面を覆った白い魔法陣。恐ろしいほど精巧で緻密で、見とれるほどに美しかった。そんな感情を抱く自分が憎らしかった。
一夜にして住人が人間から魔足に入れ替わった街。しかも結果は、王軍が満足できるようなものではなかった。決定されたのは、町ごとの処分。
「私は住人に告白しました。私の罪を。そしてそのうえで、魔の森の奥深くに逃げるように言いました。それしか、生きる方法はなかったから。バルデマーは魔族と化した民を逃すために、国王軍が到着する前にアーベントイアーにきました。そして、魔族を殺したと偽装、さらには民が完全に逃げ切るまで時間稼ぎに、残った私とバルデマーは敢えて長引くように剣を合わせました」
お互いが魔法を使うたびに、アーベントイアーの街は削れていった。死体すらも蒸発したと装うために、二人とも敢えて高火力の魔法を使った。激戦になればなるほど、国王軍が戦いに手出しができなかった。
そして、民が逃げ切ったことを確認したのち、バルデマーは魔王を殺した。魔王の呪いを知らない国王軍の前で紅の魔王を討ったバルデマーは勇者として名を残すこととなっただろう。そうするためウルスラはあえて彼を勇者と呼んだのだ。
「君が、紅の魔王?」
バルドリックは愕然とした表情でウルスラを見る。ウルスラは泣きだしそうになる顔を引き締め、頷いた。泣いてはいけない。泣いていいのは、己の役割をしっかり果たしたものだけだ。
「ウルスラ嬢に見ていただきたいものが」
レオナードはガリアナに合図を送る。ガリアナは頷いて部屋から出ていき、すぐに一枚の絵を持ってきた。バルドリックの上着はあんなに乱暴に丸めたのに、白い手袋をはめて丁重に扱っている。
それはナハトが盗んだ『逢魔の七日間・二日目』。中心に紅の魔王が立ち、片手に盛った剣を高く掲げている。だが、もう片方の手には、持っているはずの聖女の首はなかった。
「絵が違う」
「特殊な方法で描かれていて、魔族の魔力に反応して下に描かれた本来の絵が出てきたんです」
足元に横たわる死体の山はなく、生きている者たちが魔王に向かって祈りをささげていた。人ではない。人間の頭に角が生えていたり、指の間に水かきがあったり、尻からは尾が、背中には鰭が生えているものもいる。
魔王に殺されたとされているアーベントイアーの民が、魔王に救われたことに歓喜している絵だった。
「特殊加工されているのはこの絵だけでしたので、他は返すことにしました。僕はこの絵を見た時に、アーベントイアーを滅ぼしはしないと決めたんです。この街に残っている手記にも、紅の魔王への感謝の言葉がつづられたものしか残っていません」
泣きはしまいと決めていたのに、ウルスラの頬を一筋の涙が零れ落ちた。
「よかった」
ほっとしたのは、前世で多くの民を殺したわけではないということを思い出したからなのか、それとも紅の魔王として選んだ道が間違いではなかったとわかったからなのか。ただ、胸の奥から温かいものがこみ上げてきた。
目じりの涙を拭きながら、ウルスラはバルドリックに笑いかける。
「バルデマーは魔王にはなりませんでした。だからきっと、あなたも魔王にはなりませんよ、殿下」
なぜなら、バルドリックはバルデマーの生まれ変わりだ。同じ魂を持つのだから、きっと乗り越えられる。
ウルスラが微笑みを向ければ、バルドリックは困惑したように眉尻を落とす。
「ありがとう。君が信じてくれるだけで、心強いよ」
レオナードはバルドリックとウルスラの様子をにこにこと見守っている。「青春っていいですね」とこぼした言葉に、ガリアナが「おやじ発言」と白い目を向けた。
「さて、ナハトの正体が完全にばれてしまいましたし、ウルスラ嬢が協力するということで構いませんよね?」
「反対したところで、関わる気十分だろ」
諦めたようにバルドリックは言う。突き放したくても突き放せないほど、ウルスラは関係者だった。
「はい。前世ではできなかった、この街を救うということをやり遂げます」
バルドリックは大げさなくらい大きなため息をついた。それを見て、レオナードは苦笑する。ウルスラは満面の笑みを浮かべた。
「さっそく何をすればいいですか? もう禁書庫に乗り込みますか?」
ウルスラとしてはまず、牢に閉じ込めたネズミ獣人を人間とネズミに分離する実験をしたい。うまくいけば、次は魔獣と人間の分離だ。魔族の要素が消え去れば、この街の住人だって外の世界に行ける。
「何を言っているんだ、今はとりあえず帰るに決まっている」
バルドリックは立ち上がりながら、言った。指を鳴らせば着ていた服が黒づくめからデートの時の服装に戻る。
「帰るんですか?」
ウルスラは驚いてバルドリックを見上げた。
「当たりまえだ。君がこちら側についたとしても、君の人生は続いていくんだ。万が一ここが全滅しても、君がちゃんと普通の人生を歩んでいけるように」
「それ、ずるくないですか?」
ウルスラは覚悟を決め、どっぷりとつかるつもりでいた。
「今の君は、興奮して理性的ではない状態だ。落ち着けばやはり元の生活を続けていたほうがよかったと後悔するかもしれない。それからでは遅い。まずは帰る。いいな」
「そうですね。それに王都内で自由に動き回れる人物がいた方がありがたいです」
バルドリックに続いて、レオナードもウルスラを帰そうとする。ウルスラは大人しく従うしかなかった。
「まずはどういうふうに連れ戻すかですね」
顎に手を当て、レオナードが思案する。何を考えることがあるのだろうと、ウルスラは首を傾げた。
「普通に戻ればいいのでは?」
「君は一応、ナハトにさらわれたことになっている。対立している俺に対する当てつけってことでな」
「では戦闘が起きたという跡が欲しいですよね。できるだけ派手に戦って、殿下がナハトから姫君を取り戻したという痕跡が。実はいいところがあるんですけど」
「奇遇だな、俺も多分同じところを思い浮かべている」
バルドリックはにっと笑みを浮かべた。
「シュティルベルトが巨牙熊を囲っていた場所だ。幸い、王軍はアダリーシアとナハトを共犯関係として手配しているから、問題はないだろう」
「でもちょっと待ってください。アダリーシアさまが見つかって、ナハトとは共犯じゃないって証言したらバレますよ?」
「犯罪者の主張をだれが聞く? 特にシュティルベルトの君への嫉妬は異常ともいえるほどだ。誰もが、シュティルベルトの発言は君を陥れるものだと考える。そのあたりはどうとでもなる。気にするな。そうと決まれば、さっそく実行に移すか」
「では殿下、こちらも久しぶりに全力で行かせてもらいますね」
バルドリックとレオナードは、お互いに物騒な笑みを浮かべた。
登場回数が少ないレオナードを果たして覚えてくれている方がいるのか。
5話と20話を参照ください。
ヴォルフォクスは……3話と8話かな。他にも出ていますが。




