超鈍感女の子 vs 俺様体育系?5
「くぅちゃん
混んできたからこっちへおいで~」
ガク先輩が混雑から庇ってくれるように私を先輩の前に立たせてくれる
「僕につかまってね~」
「ぁい」
ガク先輩の胴に腕を回してつかまれば
「いい子だね~」
って笑顔が降ってきた
「タク妬ける」
「妬くかよ」
みんなで爆笑
笑いながら胸はチクン
今日1日
頑張れ自分
よっしゃ~
(≧ ≦)Ωv
ガク先輩の話題は電車が混んでるの忘れるくらい豊富で、私はお腹痛くて涙が出るまで笑った
「…え
ここってミッキー」
私のテンションは一気に
きゃーきゃー言いながら着ぐるみを追い掛けて回った
( ☆∀☆)v
ヘ(≧▽≦ヘ)♪
携帯あったら写メで残しとけるのになぁ
「撮るなよ」
ガク先輩とみうが携帯構えてるのをタク先輩が強引に阻止
は、即却下で失敗した
着ぐるみと握手しまくって満足した私に
「くぅ~
アトラクション行くよ」
ってガク先輩が手招き
「ぁい」
自然後ろはまたみうとタク先輩が並ぶ
ガク先輩ナイス
グッジョブ
「くぅちゃん気付いてたんだね」
歩きながらちょっと屈んだガク先輩が小声で話し掛けてくる
「…何を??」
って聞いちゃってからすぐにガク先輩の言いたい意味が分かった
「あ
みうとタク先輩の事?」
「そう」
私は前を向いて
「美女と野獣」
って笑った
「タクに話す時間をやってね
ふっ切れてないだけだから」
???
…あ…そか…
タク先輩もみう好きなんだ
「…両思い、なんだ」
「ん?
何て言ったの?」
「良かったって言ったんですぅ~」
聞き返してきたガク先輩にそう返して思い切りダッシュした
「くぅちゃん」
「ガク先輩早く
置いてっちゃうょ」
そんな前の様子を見ながら
「………
から元気出しちゃって」
みうが苦く呟いた
「あ
独り言いってんじゃねーよ」
「アンタにくぅは勿体無いわ」
「…んだと」
「そうでしょ
くぅ泣かせて…
私も同罪だけど」
「…あ
お前何いってんだよ
意味わかんねぇ」
みうはギロリとタクを睨んで
「分からないは通用しないわよ」
「お前もか」
一瞬固まったタクはスグに笑いだした
「確かにお前ビンゴ
モロ俺の好み」
「なら当然結果も見えてるわよね」
「…まぁな(苦笑)」
互いに顔を見合せ、自然に笑みがこぼれた
「くぅのどこが好き?」
「どこって、全部」
「はぁ」
ガシガシ頭をかきながら
「理屈なしにアイツは俺ンだってしか言えねーよ」
「…は」
呆れて見返すみうに決まり悪そうな視線を返すと
「…何それ」
口では文句を言いながらもみうが吹き出した
「しょーがねぇだろ
すぐどっちかとか決められるかよ」
「…は」
今度は互いに敵意丸出しで立ち止まると睨み合う
「アンタね」
「当たり前だろ
片やモロタイプ」
横のみうを指で指し
「片やお子ちゃま」
前を歩くくぅを指差す
「ずっとモヤモヤしててよ
お前気になんのにくぅがガクや他のヤツといるとムカつくしよ」
「…呆れた」
チロンとみうに見られてタクはまた頭をガシガシかいた
「私も偉そうな事言えないけどね」
クスクス笑いながら
「今気になる人いてさ
実は私もどっちか決めかねてたんだ(爆)」
「同じじゃねーか」
みうは青空を見上げて
「今は、この空みたいにぬるい恋愛もいいかなぁって感じなんだよね
真夏みたいな恋愛は卒業」
「くぅの逹じゃしょうがねぇから
これからは仲間付き合いしてやんよ」
「あ」
「まずは携帯俺に譲れ」
「…
親にお婿宣言する勇気あるわけ」
( ̄ー☆ニヤリ
「ないでか」
タクの返事に声を出して笑ってたみうが、急に真剣な顔になった
「…そのセリフはさ
くぅにキチンと告ってから言えよ」
はしゃいで前を行くくぅを見ながら
「くぅは知ってると思う
私とアンタが互いをどう思ってたか」
「あ??」
「昨日のくぅ変だったでしょ」
直ぐに思い当たったのかタクも前を歩くくぅに迷う視線を向けた
「くぅの目赤いじゃん
うちら最低」
どちらも何も言えず
ガクとはしゃぐくぅを見ていた
そんな会話とは知らず
「後ろ、上手くいきそうだね」
「え」
慌てて振り向こうとしたガク先輩を必死に止めた
「見ちゃダメだよ
みうは変なとこ気にするから見ちゃダメ」
「…くぅちゃん」
私に引っ張られるように歩きながら
「…あの子
タクが好きなわけ?」
ってガク先輩が聞いてきた
「うん」
「あら~」
「それより~
どれから乗る」
「………
くうちゃんは最初どれ乗りたい?」
キョロキョロ迷う私とガク先輩に、すぐ後ろから来たみうとタク先輩も混ざって、ルートを決める会議が開かれた
「そっちから回れば二度手間だろ」
「アトラクション重視よ」
みうとタク先輩は真っ向から意見が別れ、側で聞いてる私やガク先輩はハラハラしてた
「歩く距離を考えろよ」
「大して変わらないわよ」
私はガク先輩と顔を見合せてため息をついた
何とかガク先輩が取りなしてみうルートで回り始める
昼を回る頃には平日なのに溢れるばかりの人出になった
「くぅちゃん
はぐれたら困るから手をつなごうね」
「ぅん」
一応はぐれたら入り口で待ち合わせと決めてあるけど…
初めての場所で迷子にはなりたくなかった
「どこも混んでるねぇ」
「歩きながらバーガーかじるか」
「女の子もいるのよ」
「メシに男も女もねえだろが」
…なんだかなぁ
話すようになったら今度はぶつかってばっか
困ってガク先輩を見たら
ガク先輩も疲れた様子でため息をついていた
…お腹空いたな
立ち食いでもいいから何か食べたいょ
空腹で注意力散漫になってたのか、後ろからぶつかってきた人を避けられなかった
「あっ
…つー」
「ゴ、ゴメン」
ドンドン走って行っちゃった人はすぐ人混みにわからなくなっちゃった
ぶつからなかったのに左手の甲が焼けるみたいに痛い
~(>_<。)シ~
見たら真っ赤になっていた
クンクン臭いを嗅いでみたらコーヒーだ
きっとぶつかった時にかかったんだ
痛い、痛いょ
(∋_∈)
「くぅ
ガクがついてて何怪我させてんだよ
こい」
タク先輩がめちゃ怒った顔で私の手を引っ張る
怒鳴られたガク先輩は目を大きくしてタク先輩を見てた
痛いのにそんな怒んなくてもいいじゃん
マジ泣くぞ
え
ええ
待って
マジ待って
そこ男子トイレ
「やっ
やだ」
「グダグダ抜かすな」
もうパニックだった
無理矢理抱え込まれて男子トイレの洗面所に左手を突っ込まれる
勢いよく水を出されて水しぶきが暴れる私の洋服まで跳ね返った
「イヤだぁ」
「すぐ冷やさないと痕になるだろ
暴れるな」
「タク
氷持って来たぞ」
「おうよ」
手が焼けるように痛くて
どんなに暴れてもタク先輩は離してくれなくて
パニックで叫ぼうとしたら
「落ち着け
俺がいるから
黙って任せとけ」
ってタク先輩の落ち着いた声が頭の上からした
つい反動で顔を上げたらタク先輩もビショビショで
短い髪から水滴がポタポタ垂れてた
「コーヒーがかかったのは左手だけか?
足は?」
「……痛くない」
ぴったりタク先輩とくっついてる背中が熱くて
左手も熱くて痛くて
我慢しても涙が出た
「大丈夫だから
俺がいるから泣くな」
頭の中がグチャグチャで何も言葉に出来なくて
「係員連れてきたぞ
医務室があるそうだから運ぼう」
びしょ濡れのままタク先輩に抱き上げられて、係員に連れられて医務室へ行った
「応急処置が良かったね
一晩水に濡らさなきゃ明日はきれいに治ってるよ」
左手は薬を塗られて包帯でぐるぐる巻きにされた
「…しかし(笑)
2人ともずぶ濡れだね」
暴れたのが凄く恥ずかしくなって
私は真っ赤になって下を向いた
…タク先輩に謝らなきゃ
「…ごめ…んな…さぃ…」
「まだ痛いか??」
タク先輩がそっと包帯の上から手を重ねてくる
小さく首を降ったらホッとしたように息を吐いた
「服乾かしたらメシにしよう」
ニッと笑うタク先輩の笑顔に救われた気がした
医務室を出たとこにみうとガク先輩もいて
2人ともよしよしって頭を撫でてくれた
(‥、)ヾ(^^ )v
「災難だったね」
「大事にならなくて良かったわ」
「まず飯にしよう」