超鈍感女の子 vs 俺様体育系?3
「くぅ、前」
へ?
げげっ('〇';)ン
タク先輩が廊下にいるよ
何でいるかな
「心外だな、ちゃんと彼女扱いしてるだろうが」
電池切れの私に絡むな
「こうして待っててやってるだろ」
「頼んでないです」
はっきり言ったのにタク先輩は私の横歩くし
背の高いみうとタク先輩に挟まれたら私の小さいのもっと目立つじゃんか
だんまりな空気が気まずかったのか、みうが
「携帯いつ買いに行くの?」
と聞いてきた
「土曜日、お父さんと一緒に買いに行く予定」
「やっと携帯ゲットだね」
私はうんうんと何回も頷いてから
「長かったぁ」
とぼやいた
そしたら横から
「まさか…、携帯ないのか?」
ってタク先輩が話しに割り込んできた
「くぅの家は厳しいから、中学生に携帯は贅沢って買って貰えなかったんだよ」
「…へえ」
真面目に驚いてるタク先輩をみうはチロンと見て
「そんな会話もなくてよく彼氏って言えるわね、くぅの見解正解だわ」
昔からお姉さんタイプのみうは、こんな時言うことに容赦がなかった
「2人っきりで話したのは入学式しかねぇもんよ、仕方ねえだろ」
「…は」
口を尖らせるタク先輩にみうがキレた
「別の彼女探せば?、あんたにくぅは勿体ないわ」
私の手を引っ張って走り出したみうに条件反射でくっついていく
駅まで走ったらさすがに息が苦しかった
「くぅ」
「みう」
呼ばれて振り向けば中学で同級生だったシオジーと、シオジーと同じバレー部だった健ちゃんが駅の改札口で手を振ってた
「シオジー」
速攻シオジーまで駆けていってハイタッチ
健ちゃんにも元気にパンとタッチした
みうも2人にタッチ
「どしていんの」
「これからくぅの学校へ練習試合の申し込みに行くところだったんだ」
あ~納得
「シオジー、もうレギュラーなれたんだ」
「補欠だけどな」
「健も補欠?」
みうが健ちゃんに聞いた
「俺はレギュラー」
シオジーがVサインの健ちゃんに蹴りを入れて
「アシストが薄いから入れたんだろ」
「つきも実力」
ニヤニヤの健ちゃん
相変わらずいいコンビ
「週末コート借りるから2人も来いよ」
「私ダメ、お父さんと携帯買いに行く~」
「やっと持てるのか」
シオジーが一番は俺なって言ってガシッと捕まえてきた
「ぐるじい」
思い切り肘でシオジーのお腹に一発
甘いんだな
足蹴りが来るって読んで体捻ってたの見えてたもんね
シオジーはぐへっとか言って、私におんぶするみたいにぐうって屈んだ
「お~も~い┗(-_-;)┛ン」
「何やってんだよ」
タク先輩の声にギョッとして顔を上げたらバチッと目が合っちゃったよ
「俺の前でいい度胸だな」
「…は?」
タク先輩は後ろにいたシオジーを引き離すとぐって捕まえてきやがった
「こいつ、俺ンだから」
…疲れる
シオジーと健ちゃんはポカンと口を開けて、睨むタク先輩見てた
「…みう、こいつ誰」
シオジーが間抜けな顔でみうに聞いた
「体育部長、くぅの彼氏宣言したおまぬけ」
「はあ」
シオジーってばタク先輩を睨み返してるよ
てかさ
彼氏じゃなくてお婿
「お前こんなのが趣味かよ」
険悪な顔でシオジーが私に確かめる
普段から目付きのきついシオジーなんだぞ
そんなんだから怖がられて彼女も出来ないんじゃん
自覚ないだろ
つうか~
誰がよいかって聞かれたら勿論だよね~
「私の好みはガク先輩」
「はあ」
「何だと」
げっ
シオジーとタク先輩がハモったよ
何なんだ
みうはツボにはまってお腹抱えて笑ってるし
「ガクだと」
「あのお顔完璧理想」
「…出た
くぅのメンクイ」
ヘッドロックに来やがるタク先輩と
脱力してその場にう○ち座りするシオジー
みうは泣きながらお腹を抱えて笑っていた
「…公道で何してんの」
聞き覚えのある声に振り向きながら
「ガク先輩~」
私の目は型になった
げっ
い…息が
「タク絞めすぎ」
ガク先輩が、怒り狂ってるタク先輩の腕から私を救い出してくれた
「てめぇ返せ」
「うわっ」
「グヘッ」
強引なタク先輩に焦るガク先輩とまた首にヘッドロックヒットの私
マジ最低
「とにかく待てって
お前くぅ堕とす気か(汗)」
ガク先輩の慌てた声にハッとしたタク先輩はやっと腕の力を緩めてくれた
「…わりぃ」
ボソッと口を開いたタク先輩にガク先輩が呆れてた
「…タク
………
なのか?」
困惑気なガク先輩の問い掛けに
「まだ自分でもわかんねぇよ」
って返しながらガシガシ頭をかいてるタク先輩
ん?
( -_・)?
何が分かんないの??
「暴力男」
キョトンとしていたらみうが怒った顔でタク先輩を背中から引き離してくれた
ガク先輩はそんなみうを暫く考えるように見てから首を傾げて、それから後ろで唖然としている2人に目をやった
「シオジー達もサクサク用事しに行きなよ
私もくぅ連れて帰る」
ギロリとタク先輩を見返してから、ガク先輩にサクッと会釈するみう
「さ・よ・う・な・ら」
みうに引っ張られるように駅の中へと消えたくるみを見送りながら
「…あっちの方がタクの好みのタイプじゃないか?」
「まぁ、な」
そんなガクとタクの間抜けな会話があった
そんなのも知らないで
怒りに早足なみうにぐんぐん引っ張られる
「何あの男」
ありゃ
ホンキでみう怒らせちゃったょ
タク先輩災難だなぁ
同じ頃
「…なぁ
あいつみうの好みにガッツリじゃね」
「だなぁ」
そんなシオジーと複雑な顔の健ちゃんの会話があった
何となくみうの様子が変な次の日
タク先輩はまたお弁当を下げてやって来た
ギロリと睨むみうをスルーしてさっさと横でお弁当を広げるタク先輩
これは…かなりかな
何て内心冷や汗だった私に
「球技大会の次の日代休だから遊びいかねぇ?
ガク等と俺等でダブルデートってのはどうだ」
「ふへ?」
???…
??……
マジッスか
さすがのみうも箸を止めて目を見開いていた
「携帯買ったら一番は俺だからな」
「一番て?」
「番号教えるのがだよ」
……
妙な間があってからタク先輩がチロンと私を見てきた
「分かってるよな」
「…何が(汗)」
タク先輩は私の目の前に半分食べた唐揚げを突き付けて
「イエス?、ノー?」
「え…(汗)」
分かんないのにどっちかなんて返事できないじゃんか
「行くよな」
「え、うん」
頷いたら唐揚げが転がり込んできた
んまぃ
「一番は俺だからな」
「うん」
ジュワ~って口に
分かんないまま頷いたらそれまで黙っていたみうが吹き出した
「ふ~ん
面白いことになりそうね」
みうのニヤニヤ笑いをタク先輩がギロッと睨み付けた
「生憎一番は私なのよね~
ふふふ…」
「…んだと」
「くぅじゃ機種も使い方も分からないから私が一緒に買いに行くのよ」
超ニコニコのみうと超不機嫌なタク先輩の周りは絶対零度の寒さで
周囲も恐れをなして遠巻きにする状況だった
ホントにビューって音まで聞こえて来そう
「……寒すぎる」
思わず口走って椅子を引いた私の顔はひきつってたに違いなくて
「あ」
「ふふん」
はは…
これって…お昼を食べる空気じゃないですけど
絶対
ずぇぇぇぇーったい怖いってば
神さま
これはどんな試練ですか
心臓に悪いブリザードが吹き荒れる中、待ったなしに近付く球技大会
前日、最後のタイムを計っているとこにシオジーと健ちゃんがやってきた
「くぅ~」
「シオジー」
列から離れるわけにはいかないからおっきく手を振って叫んだ
「あ」
うげっ
タク先輩顔が鬼だ
シオジーをジト見する感じがめちゃくちゃ怖かった
「…何で他校のヤツがここにいるんだょ」
ズンズン歩いていこうとするタク先輩を必死に胴を捕まえて引っ張った
「バレー部との練習試合で来たんだかんね
タク先輩でも邪魔しちゃダメなんだよ」
「あ」
タク先輩は私とシオジーを素早く交互に見て
すぐに
「ラスト一本
タイム計るぞ」
そう叫んだ
んっとに何考えてんだろ
タイムを計ったら速攻解散して無理矢理私の手を引っ張るし
てかどこ行くのよ
引き摺られて着いた場所は体育館だった
…まさかシオジーがホントにバレーしてるか確かめに来たとか言う?
ついタク先輩を見上げたらジーッと前を見てた