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超鈍感女の子 vs 俺様体育系?



桜、さくら、サクラ


花びらの舞い踊る坂道


新しい制服に、新しい鞄


横にお母さんが一緒なのはイマイチだけど、入学式へ向かう気分は最高だった


ん~


今日から高校生


校門へと続く緩い坂を歩いていたら、じゎ~っと合格した実感が沸いた


苦労して受験勉強頑張って良かったぁ


お母さんには内緒だけど


この高校を志望したのはめちゃカッコイイ人がいたからだったりするのよね


去年の秋、いくつか絞り込んだ志望校の中から一つに決めなきゃいけなかったんだけど、ギリギリになっても決められなくて


それならってみんなで文化祭のはしごをしたんだよね


それなりに先輩の感じとか制服とかを何気にチェックしたりして


結構みんな真面目に進路を悩んでたんですよ


そんな中で光ってたのがこの学校の文化部部長さん


モロ私の好み


にっこり笑われて


「僕の後輩になろうね」


って言われちゃったら頑張るしかないっしょ


安直な私はその一言で倍率四倍を勝ち残ったのです


合格したら絶対彼女にして貰うって決めちゃったのです


( ´艸`)ムフフ


「くるみ、何組なの?」


「待って、今探してる~」


クラス表が張り付けてある廊下の壁を端から見ていく


私は真ん中の3組だった


「3組だって」


知らせながらバタバタとお母さんの前に戻った


「みうちゃんは?」


「いけね(汗)、まだ」


私はペロッと舌を出してまたクラス表に戻った


みうと私は大の仲良し


幼稚園から一緒


だから高校も2人で同じとこを受験したんだ


期待したけどみうは隣の2組だった


「みう2組だった」


「あら離れちゃったのね」


お母さんはちょっと残念そう


お人形みたいに綺麗なみうはお母さんのお気に入り


私も頼れるお姉さんみたいでみうが大好きなんだ


\(#⌒0⌒#)/


「くぅちゃん、合格おめでとう、今日から僕の可愛い後輩だからね」


この声は


声のした方を急いで振り向いたら


いた


私は笑って手を振ってくれてるガク先輩の前へピョンピョン飛んでいった


「うっかりましたぁ、バッチシ愛の力です」


私が満面の笑顔としっかりブイサインで決めて見せると


「愛かぁ(笑)」


「先輩の彼女に立候補しちゃいまっす」


ガク先輩は一瞬驚いて、すぐににっこり笑った


「残念、僕奥さんいるんだよね~」


「マジですか、はぁ…」


ガッカリ


「くぅちゃんは妹分だから、特別にお兄ちゃんと呼ぶのを許そう」


「彼女さんがいいですぅ」


とか言いながら、ふくれて見せればもっと笑われた


「ガク、ガキで遊ぶな」


それまで黙って先輩の横に並んでいた人がギロッて私を睨んだから、つい条件反射でガク先輩の後ろへ隠れる


隠れながらちょっとだけ相手を盗み見てみた


だって気になるんだもん


ん~


身長高くて体育会系?


短い髪なのに昔のお侍さんみたいな雰囲気


ちょっと怖そう


「タク、くぅ虐めるなよ」


ガク先輩は呆れた動作で隣の人を肘でつついた


私もガク先輩の後ろで大きくうんうんて頷いた


こんなおっきな人に怒られたらマジ泣きます


「チビ、身長いくつだ?」


タク、ってガク先輩に呼ばれた人がニヤニヤしながら聞いてきた


この人、めちゃ感じ悪


だってガク先輩が言ったこと全然聞いてない


ホントは言いたくなかったけどガク先輩も聞きたそうだったから渋々答える


「…150」


「なわけねぇだろ」


「あるもん」


ちょっぴり四捨五入してもいいじゃんか


「タク、くぅをからかうな」


ガク先輩がよしよしと私の頭をいい子いい子してくれた


ん~


やっぱガク先輩優しい


「ん~、…146だな」


「うげっ」


前言撤回


跳び跳ねてガク先輩からも離れれば、2人が一緒に爆笑しやがる


ムッカー


マジムッカー


目一杯ふくれてから、2人にアッカンベーをしてやった


にゃろう


「こいつ(怒)」


マジですか


ガク先輩はお腹を抱えて笑ってるのに、タク先輩たら怒って捕まえにきた


タク先輩ってガキみたい


この状況で捕まったらもろゲンコツ着そうだよね


だから速攻お母さんの後ろまで全速力でダッシュ


絶対捕まらないよん


これでも毎年リレーの選手だもんね


げっ


は、はぇぇ


ヤバッ


つ、捕まる


私はギリギリ捕まらずにお母さんの背中にしがみついた


「お母さん、あのおじさんが虐める~」


にひひ


ぎょっとしてやんの


「くるみ」


お母さんはあたふたと私と追い掛けてきたタク先輩を交互に見ていた


「この人なの?」


「違う~、先輩奥さんいるってぇ~」


否定した私と笑いすぎて涙目になってるガク先輩と、目の前でムスッとしてるタク先輩を不思議そうに見比べるお母さん


やっとお母さんにも状況が飲み込めたのか


クスクス笑って


「残念だったわねぇ」


と私を振り返ってきた


「それで、この人なの?」


「ちが~う」


私は全力で否定した


こんな怖そうな先輩真面目にいらないですから


出来るなら二度とお目に掛かりたくない


「この野郎(怒)、全力で拒否りやがったな」


「ぅん」


タク先輩がいくら怒ってもこっちには要塞級のお母さんがついてるんだい


にょほほ


「仲がいいこと(笑)」


…はぃ?


お母さん


天然なのは親子ですから分かりますが…


どこをどうすればそんな結論に到着するんでしょうか


この状況のどこが仲良しなんだ


「甘えんぼですけどよろしくお願いしますね」


「はい」


「…えーーーーー」


吹雪に凍り付いてる私と反対に、タク先輩は悪魔の顔でニヤリと笑った


( ̄ー☆ニヤリ


「おら、行くぞ」


「…え、え、えぇー」


待て


マジ待って


いきなり担がなくても


私荷物じゃないし


待ってってば


思い切り手足をバタつかせて暴れた


何回かヒットして


「いてっ」


とか聞こえたけど、降ろさないし


担がれて連れていかれたのは生徒会室だった


乱暴にソファーへと放り落とされる


「いった~、痛いでしょ」


ムカついて睨めばグッて顔が近付いてきた


ぎょっとして後ろへ逃げようとしたけど背もたれが邪魔して動けなかった


「よくも男の股関蹴っ飛ばしやがったな」


「…お婿にいけなくなる?」


キョロキョロ逃げ道を探しながらも、内心自分にグッジョブと拍手を送っていた


「責任取って貰おうか」


「…へ、お医者さん代?、インポって治るの?」


「…お前な~(怒)」


教訓


口は災いの元


ゴメンナサイ


「…それで付き合う事になったの」


みうは話を聞いても理解できないみたいで、困ったように私を見ていた


「お婿に行けなくなった責任取れとか言うんだよ、マジ有り得ないし」


「…お婿に」


みうはお腹を抱えて笑った


「面白い先輩ねぇ(笑)、体育部部長だっけ?」


「らしいょ」


私はタク先輩が何でも興味ないから目はみうの卵焼きに釘付けだった


みうのお母さんのだし巻き玉子はめちゃ美味しい


「はい、交換ね」


「ぅん、あぁ、唐揚げ持ってっちゃやだぁ」



もう口に入ってるし


成長盛りの子供から唐揚げ取るな


「私の唐揚げ」


「戻そうか?」


みうが食べかけを舌に乗せて見せてきた


私が強奪に行こうとしたら首をむんずと捕まれた


「ぐへっ」


自分の制服で首が絞まるってどうよ


笑えないから


「彼氏以外から餌付けされてんじゃねぇ」


声に驚いて振り返ればタク先輩がいやがった


「苦しいじゃんか、私猫じゃないから」


つうか


3年が1年の教室に乱入してくんな


アホタク


冷たく見上げていたみうと一瞬だけ睨み合ったタク先輩が


「唐揚げしまえば」


と失礼な事を言った


みうだけじゃなくて


クラスのみんなも突然の乱入者に唖然としてるし


…てか


みんなの視線変じゃない


女子は分かるけど


男子までタク先輩にハートマークみたいな


…何で?


ん( -_・)??


何かいい匂い


私は目を瞑ってクンクンと匂いをたどった


まさしくこれは揚げたての唐揚げだょ


ジュル


「おすわり」


「にゃん」


タク先輩は隣の椅子を借りてきて横に座ると、持ってたビニール袋からお弁当を2つ出した


どこかで買ってきた?


…すげぇ量


それも2つ


2つともご飯の量が半端ないくらい詰まってる


唖然と見てた私の口にタク先輩が半分食べちゃったけど熱々の唐揚げが飛び込んできた


「美味いか?」


「…まい」


幸せ


美味しい



ハンバーグまであるぅ


よだれを垂らして直視していた私の口に、タク先輩が切り分けたハンバーグもめでたく到着


しゃーわせ









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